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6歳になりました
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時が経ち、私は既に6歳となっていた。
「フィー、教会へ行くぞ」
「教会……?」
「えぇ、そうよ。フィーの魔法の適正を調べるのよ」
どうやらそういうことらしい。魔法、という言葉に私は目を輝かせる。
日本にはなかった魔法、しかも生活魔法ではなく属性魔法。
これが楽しみではないはずがなかった。
その時の私はあの、クジの事は忘れてしまっていたのだから。
「お母様とお父様はどんな属性を持っているのですか?」
教会へ行く馬車の中、私はキラキラと目を輝かせて両親に尋ねた。
「私は水と風よ。とはいっても、風の適正はあまり無いのだけど…」
「私は火だな。アレンは火と風だったはずだ」
知ってはいたが魔法は遺伝の関係もあるらしい。
光を取りたかったのだが、チャンスはあるだろうか?
光の中には治癒系の魔法も含まれるので私としてはかなり重用する属性なのだ。
「フィーはどんな属性が欲しいの?」
「私は風と光が良いです!」
風なら上手くいけば空を飛ぶこともできそうだし。
やっぱり、空飛んでみたいよね。
「そう、取れるといいわね」
「はい!」
お母様とお父様はそんな私を微笑ましそうに見つめながら優しく撫でてくれた。
この優しい両親が私は大好きだ。
教会に着くと、祭司の階位を持つ人が私達を出迎えた。
「お待ちしておりました。ランドウルム伯爵様。
本日は適正検査という事でしたが……」
「あぁ、この子、フィオナを頼む」
「畏まりました。フィオナ様、こちらへどうぞ」
私は少し不安になり、お父様を伺うとお父様はフッと笑った。
「フィー、大丈夫だ」
「はい」
そのお父様の言葉で私はその祭司に付いていく。
連れて行かれた先は真白い部屋だった。まるで、どこぞの不審者のいたような……。
「では、適正検査を始めます」
『我等を見守りし神々よ、汝らが子に真なる御加護を……』
などと呟いた後、水晶に触れるように私に言った。
その言葉通りに水晶に触れるとプレートが落ちてくる。
……一体、どんな仕組みになっているのだろうか。
何故推奨からプレート? さすがは異世界。意味がわからない。
そのプレートを祭司は拾うと顔色を変えた。
「こ、これは……! 私の手に負えるものでは……!!」
プレートを机の上に置くと、その祭司はどこかへ行ってしまった。
そして、ポツンと残された私はその原因となったプレートを取り、見てみる事にした。
……いや、何か一言くらい言ってからどこか行こう? 別にいいけど。
【フィオナ・ランドウルム
火・風・水・土・光・闇
『浮遊』『奇跡の光』『無限成長』】
と書かれたプレートに私はあの不審者を思い出す。
そう、あの時引かされたクジだ。あれに書かれていた六つの事を。
「こんな、こんなチート要らない……!
何してくれるんだ、あの不審者め!」
少し乱れてしまったのも仕方ない。
しばらく考えてから、私はお父様とお母様の元へ帰る事を決めた。
ただ、あのクジに書かれていたことは、まだあったはずだ。
魔力量増大と暗器適正という、二つが。
「お父様、お母様!」
「……フィー?」
「祭司様はどうしたの?」
「どこかへ行ってしまいました」
嘘ではない。原因というか、理由を言わなかっただけで本当の事である。
そう、私はこども。こどもだからわからない。うん、これでいこう。
「そうか……。まぁ、いい。店を予約してある」
「では、そこで話しましょうか」
「はい!」
私はプレートを隠したまま、教会から立ち去った。
この新しい人生を棒にふるような事を私がするわけがないのだ。
「フィー、プレートは持っているか?」
「はい」
私はお父様の言葉に対する返事と共にプレートを机の上に出す。
何かあった時、お父様とお母様が知らなければ問題になると思ったからだ。
「なっ……」
「これは……」
「異能持ち……。神の子、か」
「……あなた」
異能とは属性以外の魔法であり、そのものしか持たぬ特別な魔法の事だ。
神の子、とは特異な子供の事を指す呼び方だった。
特異と言っても魔力が全くない、などという者ではなく、強大すぎる力を持つ者の事だ。
そしてその者達は皆、寿命が短い。
それは、力が強すぎるが故に体が持たないからだ。
だが幸い、と言うべきか私には成長に補修がある。
そのため、寿命は他の者と比べても大差はない、と信じたい。
「しかもこれは……」
「えぇ、他の神の子と比べても異常としか……」
どうやら異常らしい。あの駄神め。面倒な事をしてくれた。
私は普通で良かったのに……。これのどこがお詫びだ。
「ですが、フィーを教会には!」
「……あぁ、分かっている。
王家に庇護を頼もう。それでいいか、アンナ」
「……それが、この子にとって最善だと分かっていますから」
どうやら決まったらしい。
「お父様、お母様…?」
「あぁ、済まないフィー」
「さぁ、食べましょう?」
そのお母様の悲しげな笑みに私は表情を曇らせたのだった。
「フィー、教会へ行くぞ」
「教会……?」
「えぇ、そうよ。フィーの魔法の適正を調べるのよ」
どうやらそういうことらしい。魔法、という言葉に私は目を輝かせる。
日本にはなかった魔法、しかも生活魔法ではなく属性魔法。
これが楽しみではないはずがなかった。
その時の私はあの、クジの事は忘れてしまっていたのだから。
「お母様とお父様はどんな属性を持っているのですか?」
教会へ行く馬車の中、私はキラキラと目を輝かせて両親に尋ねた。
「私は水と風よ。とはいっても、風の適正はあまり無いのだけど…」
「私は火だな。アレンは火と風だったはずだ」
知ってはいたが魔法は遺伝の関係もあるらしい。
光を取りたかったのだが、チャンスはあるだろうか?
光の中には治癒系の魔法も含まれるので私としてはかなり重用する属性なのだ。
「フィーはどんな属性が欲しいの?」
「私は風と光が良いです!」
風なら上手くいけば空を飛ぶこともできそうだし。
やっぱり、空飛んでみたいよね。
「そう、取れるといいわね」
「はい!」
お母様とお父様はそんな私を微笑ましそうに見つめながら優しく撫でてくれた。
この優しい両親が私は大好きだ。
教会に着くと、祭司の階位を持つ人が私達を出迎えた。
「お待ちしておりました。ランドウルム伯爵様。
本日は適正検査という事でしたが……」
「あぁ、この子、フィオナを頼む」
「畏まりました。フィオナ様、こちらへどうぞ」
私は少し不安になり、お父様を伺うとお父様はフッと笑った。
「フィー、大丈夫だ」
「はい」
そのお父様の言葉で私はその祭司に付いていく。
連れて行かれた先は真白い部屋だった。まるで、どこぞの不審者のいたような……。
「では、適正検査を始めます」
『我等を見守りし神々よ、汝らが子に真なる御加護を……』
などと呟いた後、水晶に触れるように私に言った。
その言葉通りに水晶に触れるとプレートが落ちてくる。
……一体、どんな仕組みになっているのだろうか。
何故推奨からプレート? さすがは異世界。意味がわからない。
そのプレートを祭司は拾うと顔色を変えた。
「こ、これは……! 私の手に負えるものでは……!!」
プレートを机の上に置くと、その祭司はどこかへ行ってしまった。
そして、ポツンと残された私はその原因となったプレートを取り、見てみる事にした。
……いや、何か一言くらい言ってからどこか行こう? 別にいいけど。
【フィオナ・ランドウルム
火・風・水・土・光・闇
『浮遊』『奇跡の光』『無限成長』】
と書かれたプレートに私はあの不審者を思い出す。
そう、あの時引かされたクジだ。あれに書かれていた六つの事を。
「こんな、こんなチート要らない……!
何してくれるんだ、あの不審者め!」
少し乱れてしまったのも仕方ない。
しばらく考えてから、私はお父様とお母様の元へ帰る事を決めた。
ただ、あのクジに書かれていたことは、まだあったはずだ。
魔力量増大と暗器適正という、二つが。
「お父様、お母様!」
「……フィー?」
「祭司様はどうしたの?」
「どこかへ行ってしまいました」
嘘ではない。原因というか、理由を言わなかっただけで本当の事である。
そう、私はこども。こどもだからわからない。うん、これでいこう。
「そうか……。まぁ、いい。店を予約してある」
「では、そこで話しましょうか」
「はい!」
私はプレートを隠したまま、教会から立ち去った。
この新しい人生を棒にふるような事を私がするわけがないのだ。
「フィー、プレートは持っているか?」
「はい」
私はお父様の言葉に対する返事と共にプレートを机の上に出す。
何かあった時、お父様とお母様が知らなければ問題になると思ったからだ。
「なっ……」
「これは……」
「異能持ち……。神の子、か」
「……あなた」
異能とは属性以外の魔法であり、そのものしか持たぬ特別な魔法の事だ。
神の子、とは特異な子供の事を指す呼び方だった。
特異と言っても魔力が全くない、などという者ではなく、強大すぎる力を持つ者の事だ。
そしてその者達は皆、寿命が短い。
それは、力が強すぎるが故に体が持たないからだ。
だが幸い、と言うべきか私には成長に補修がある。
そのため、寿命は他の者と比べても大差はない、と信じたい。
「しかもこれは……」
「えぇ、他の神の子と比べても異常としか……」
どうやら異常らしい。あの駄神め。面倒な事をしてくれた。
私は普通で良かったのに……。これのどこがお詫びだ。
「ですが、フィーを教会には!」
「……あぁ、分かっている。
王家に庇護を頼もう。それでいいか、アンナ」
「……それが、この子にとって最善だと分かっていますから」
どうやら決まったらしい。
「お父様、お母様…?」
「あぁ、済まないフィー」
「さぁ、食べましょう?」
そのお母様の悲しげな笑みに私は表情を曇らせたのだった。
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