転生したようです?

紗砂

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入学試験です!

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いよいよ入学試験の日となった。そのため、私は辺境からこの王都へと来ていた。

それにしても昨日は大変だった。ライト様が突然家に来るし。
そのせいで使用人たちが大騒ぎだった。

お父様やお母様、お兄様なんかは動揺の色など見せなかった。


結局色々と話をするだけに終わったのだが……。
まぁ、いいや。今はこれから始まる入学試験の事に集中しよう。


「フィー」

「フィー、久しぶりですね」


試験会場で私の名を呼んだ人はやはり…というべきかライト様だった。
もう一人は少し前に知り合ったケヴィン様。
宰相様の子供で父同士の仲がいいのだ。
そのせいか、私達はよく三人でいる事が多かった。


「ライト様、ケヴィン様」

「フィー、入学試験頑張ろう」

「はい。三人で合格出来る様に頑張りましょう」


昨日の続きを話しているとそれぞれの会場が開き、私達は一旦別れ筆記試験を行った。


筆記の問題は意外と簡単なものが多くスラスラと書き進めて行くことが出来た。

次に行う実技の試験はライト様と同じく平地で行う事になった。
番号的にはライト様が前だったので実技も私より先に行う。ケヴィン様は別の会場だ。


「ライト様、頑張ってください」

「ありがとう、フィー」


ありきたりな言葉ではあったがライト様は嬉しそうなので良しとする。


『我、神の力を受け継ぎし者。神々の代行者なり。
制約に基きここにその力を示せ』


神大魔法、ライト様のみが持つこの魔法は平地に大きなクレーターを作り出した。


「これ程とは……」


と試験管が感心、恐れなどの感情を見せる一方で私は笑顔でライト様を労った。


「ライト様、お疲れ様でした」

「フィー……。怖くないの? 僕は……」


ライト様は自らの力を恐れているようだった。
そんなライト様に私は何ともないように口にする。


「怖くなんてありませんよ? ライト様なら悪用しないと思いますから」

「そ、そっか。ありがとう。あ、フィーも頑張って!」

「はい、ありがとうございますライト様」


私はライト様の応援を受けて前に出ると魔法の詠唱を始めた。
多分、この力がなければライト様の力に対する少しくらいの怯えはあっただろう。
だが、この力があれば問題ないように感じたから。だから私は怯えなくてすんだのだ。


『我、ここに願い奉る。我が願いはこの地の修復。
全ての痕跡を拭いて元の在りし日の姿へと戻す事。
我が光は癒しの光。さぁ、輝いて。奇跡を起こす金色の力を今ここに』


と、優しい声が大地に響き渡る。体から金色に輝く魔力が流れ、銀色の髪を金色に変えていく。

そして、光は大地を癒しいつかの緑を甦らせる。大きなクレーターをも消し去り木々や花々が咲き乱れる。
その光景はまるで女神のようで、まさしく奇跡の光だった。


「綺麗……」


それは一体誰が呟いた言葉だったか。それは分からないがこれだけは分かる。
これは『奇跡』だと。紛れもなく神の域に入った者の所業だと。

だが、この光景を作り出した当の本人は何ともないように戻っていった。

事実、この魔法を使った後の私は何の異常もきたさなかった。何故か。
それは、大地の魔力を使用したからだ。
大地を甦らせるその代償を永年そこに溜まってきた魔力で代用したのだ。

そのため体には何の異常もなく、どこかにあるとすればそれはすり減った精神力だけだった。


「ライト様、どうかしましたか?」


私は呆然と変わり果てた自然の姿を見ていたライト様に問いかける。


「フィー、お疲れ様。すごく綺麗だったよ。
……羨ましいくらい。僕には、破壊の力しかないから」


悲しげに笑うライト様に私は微笑んだ。


「ありがとうございます。ですが、ライト様の力も十分誇れるものだと思います。
『強大な力は破壊しか生み出さない』
昔、誰かがそう言いました。ですが、私はそうは思いません。
例え、強大な力を持っていたとしてもそれは持つ者によって変わります。
破壊か、守護か。私にはとてもライト様が破壊を選ぶとは思えません」


驚愕に目を見張るライト様に私は尚も言葉を続けた。


「それにもし、破壊しか生み出さないというのなら、私が変えます。
私の力は奇跡を生み出す力ですから。可能性は無限にあります。
どの可能性を掴むかは本人次第……。今が無理ならば今から変えていけば問題ありません!」


最後のは私の持論だ。未来なんて何も分からないがこれだけは分かる。
自分の未来を決めるのは自分自身だと。過去は変えられないが未来は変えられるのだ。
だから今の自分の力にそう悲観することは無い……と、私は思う。


「ありがとう、フィー。……僕は、フィーを守れるようになるよ。
フィーが言ったように誰かを守るための力として使っていく。
そして、フィーに相応しくなれるように頑張るよ」

「はい!」


最後、変な言葉を聞いた気がするが。きっと気の所為だろうと思うことにした。


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