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帰還
しおりを挟む作戦が成功し、私達は皆の元へ帰る……のだが、ここは魔国だ。
そして私達がいたのは……。
……果てしなく遠い。
リオは魔力切れという事でバテてしまったためもう転移は使えない。
そして私の魔力も少し…というか大部足りない。
「仕方ない…か」
私は1人呟くととぼとぼと歩き出した。
2,3時間歩いた頃、私の魔力とリオの魔力が回復してきたため、リオへと魔力を渡し転移を使って貰った。
……私は歩く必要があったのだろうか。
…あったと思いたい。
「お姉ちゃん!!」
「ルー!!」
「ルーシャ!」
私が戻るとエリー、リマ、イラが出迎えてくれた。
どうやら対校戦は延期になったらしい。
当たり前といえば当たり前なのだが……。
その後、先輩達が目を覚ましていた様でリマやエリーが説明してしまったらしく宿で……。
「で…?
ルシャーナ、勝手な行動は慎めと言ったと思うんだが…?」
先輩は笑顔で私を問い詰める。
何故か先程の戦いよりも余程恐怖を覚えるのだが……。
「こ、これには深い訳が……」
「ほぅ?」
さらに笑顔が怖くなった気がする。
もしかして私は墓穴を掘ったのだろうか?
「説明」
「は、はい!」
それから長い時間をかけ全てを説明し終わると先輩は私が逃げられないよう、ガシッと肩を掴んできた。
「…よぉ~く分かった。
ルシャーナ、お前は勝手な行動はやめろ。
確かにお前よりは弱いかもしれないがな、だからと言え俺等は先輩だぜ?
下級生なんだから俺等をもっと頼れ」
そう言って先輩は私の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
だが、先程とは違い怒りよりも呆れや諦めと言ったような感情や瞳の奥に強い信念が見えた気がした。
「で、ですが私は巫女で……」
「だからっつっても人間だろうが。
称号なんて関係ねぇよ。
偶には弱味を見せてもいいんじゃねぇのか?」
そんな先輩の姿、言葉に私はある1人の人物を思い浮かべた。
「……先輩、アンリみたいです」
「そう言うのはお前だけだろ」
「…弱味を見せていいと言ったのはアンリと先輩だけでしたから」
アンリに言われた時は泣いてしまったが……。
まぁ、それは子供だったからだ。
色々と1人で抱え込んで爆発しただけなのだ。
今はもうそんな事はない。
私は先輩から解放されると1人で部屋に篭って考え出す。
『巫女』とは何か。
私の役割とは何なのか。
私は本当に周りに頼っていいのか。
弱味を見せていいのか。
だが、全ての答えは出なかった。
「私は……」
『…ルーシャ、僕はいいと思うよ?
ルーシャが全部抱える必要はないと思うもん!』
能天気な声が頭の中に響く。
この感じにもだいぶ慣れてきたものだと苦笑してから再び考え出した。
私はエリーを守りたいという一心で今まで力を望んできた。
だが、この学園に入学してから大切な人はもっと増えてしまった。
…いや、色々な出会いがあってから、の方が正しいのだろう。
ならば私の在り方は決まってくるはずだ。
私の進むべき道が、在り方が、生き方が……。
全てが決まってくる。
私の命をかけて守る。
そんな意思から契約で自分自身をも縛ろうとしているくらいなのだから。
「…私は、
『全てを守るための盾となり剣となる。
私の心が折れようと、この命ある限り絶対に……』」
私は今残っている殆どの魔力を使用し自分自身を縛る。
だがこれで決まった。
私の進むべき道が。
この道はきっと茨の道となるだろう。
だが、それは私にとってというだけだ。
皆にとっては光の…希望の道になるのだ。
だから私は諦める訳にはいかない。
たった1人しかいない『巫女』の称号を持つ者として。
大切な家族を守る、長女としても。
そして何より…私を慕ってくれている友人達のためにも。
「ねぇ、リオ。
リオは、私についてきてくれる…?」
その声は小さな、掠れるような声だった。
だが、リオは私の中でちゃんと答えてくれる。
『うん。
だって僕はルーシャが大好きだから!
ルーシャと居られるなら何処までもついて行くよ!』
いつもはこんなことを感じないはずなのに…私は弱っているのだろうか?
何故だか嬉しく、そして悲しく感じる。
それを表すかのように私はくしゃっと顔を歪めた。
『ルーシャ、僕だけじゃないからね?
癪だけど…きっとアマテラスやシルフィードだってそうすると思うんだ』
そして、だから…と続けたリオは顔が見えないのに何故か、悲しそうな、申し訳なさそうな顔をしている様子が浮かんできた。
『ルーシャが全部抱えなくていいんだよ?』
泣かないで、苦しまないで…そんな事を言われているような気にもなる。
『分かるよ…。
ルーシャ、苦しんでる。
ずっと、ずっと…苦しいって辛いって…叫んでる…。
助けてって手を伸ばしてる…。
ルーシャの心、泣いてるもん…』
リオはまるで自分の事のように私の心の奥底に潜んでいた言葉を投げかけてくる。
『辛い』『苦しい』『何故私が…』
『助けて』『自由になりたい』
そんな私の隠していた感情が暴き出される。
「…ありがとう、リオ。
でも大丈夫。
エリーやリマを守るためだから。
私は受け入れる」
そう言って笑った私の表情はきっと悲しげであり、寂しげであっただろう。
だがそれでも…私は進まなければいけない。
この世界にいるたった1人の『巫女』なのだから。
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