脇役だったはずですが何故か溺愛?されてます!

紗砂

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放課後

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私はこの頃日課になりつつある放課後の集まりの事を考えていた。
光隆会の集まりといい学年委員の集まりといい何故私にばかり面倒事がまわってくるのだろうか?
そして、何故終わると扉の前に兄が立っているのかと。

私は重々しく溜息をついた。


今日の集まりは光隆会だ。
そのため、私達は4人で会議室へと向かっていた。


「天也の好きな方はこの学校にいませんの?」

「は!?
い、いきなりどうしたんだ?」


天也のあまりの慌てように思わず笑ってしまいそうになる。
だが、その反応からするときっと好きな人がいるんだろうなぁ……と、漠然と思った。


「いえ、先程文化祭は好きな方と回るものだとお聞きいたしましたので…。
天也にそのような方がいる場合は誤解されるかもしれませんので一緒に回れないと思ったんですの」

「………ったく、そんな事かよ…。
そんな事だろうとは思ってたけどな!!
……期待しただろうが…」


天也が最後に言った言葉は聞き取れなかったが何故か怒っているのは分かる。
もしかしてアレだろうか?
元々私と回る気は無かったとか?
だから勘違いするなという事か?


「僕の方には聞かないんだ?」

「奏橙には紫月がいますもの。
分かりきった事は聞きませんわ」

「………それはそれで……」


奏橙は私に何か文句でもあるのだろうか?

意味が分からない。
2人してなんだというのだろうか?

……まさか、こんなところで話すなという事だろうか?
人に聞かれたくないとか?
まぁ、他に人はいないからいいか。


「愛音はどなたかいませんの?」

「うーん……いません、ね……。
咲夜はどうなんですか?」


愛音に言われて考えてみるが1番最初に浮かんだのは兄だった。

……これは多分兄のシスコンというイメージが高いからだろう。
そして、私の好きな人がいるとして、兄にバレればきっとその人物が危険になるからだろう。
そうと思いたい。

次に浮かんだのは天也だった。
多分、恋愛感情というよりも初等部の頃からの友人だったからだろうが。
そう考えると…うん。


「いませんわね……」

「…そ、そうか…!
いないのか………」


天也はパッと嬉しそうに笑みを浮かべたがすぐに俊と落ち込んだように俯いた。


「……奏橙、天也は情緒不安定なんですの?」

「気付かないって凄いよね」


答えになってない返答をされた。
私は意味が分からずに首を傾げていると奏橙は天也に何か耳打ちした。
すると天也はハッと顔を上げる。
そしてジッと私を見ていた。

……一体、なんだというのだろうか?


「咲夜、俺は諦めるつもりはないからな」

「……何が?」


つい素が出てしまったが仕方ないだろう。
それほどに意味のわからないことだったのだ。

それよりも…天也は諦めないと言ったが何を諦めないのだろうか?
…全くもって分からない。

もしかして勉強かな?
……きっとそうだろう。

私の疑問にも答えずに天也はどんどん先に行ってしまう。
私は多少の文句はあったものの何も言わない事にした。


何事もなく、予定通りに光隆会の会議が終了すると私達4人は帰らずに話しを続けていた。


「それにしても…当日の見回りか……。
2人1組だったよね。
なら、1年は4人だし、天也と咲夜、僕と愛音でいいか」


奏橙に勝手に分けられた。
…何故私と天也なのだろうか?
ここは普通、愛音と私、天也と奏橙だと思うのだが。


「いざって時のためだよ。
女子2人じゃあ危ない事があるかもしれないからね。
僕としては、悠人先輩が怖いから咲夜と2人は遠慮したいんだ。
だからだよ」

「おい、待て。
奏橙、俺も悠人先輩は怖いんだが?」


そう言われてしまうと反論出来ないのだ。
私は無いとしても愛音は可愛いからそんな事もありそうだと思ったからでもある。
ちなみに、天也はスルーされた。


「咲夜、安心しろ。
咲夜は俺が守……」

「咲夜!
僕の可愛い可愛い可愛い天使よ!
さぁ、迎えに来たよ。
帰ろうか!」


兄が乱入してきた。
……そして私は天使ではない…。
大学から毎日迎えに来なくとも良いというのに……。
本当に心配症だ……。

ため息をつきそうになった時、隣からチッと、舌打ちが聞こえた。
私は隣の天也を見ると何事も無かったかのように平然としていた。


「天也、今舌打ちしましたよね?」

「何のことだ?」

「いえ、舌打ち…」

「知らないな」

「舌…」

「知らん」

「…………」


認める気は無いらしい。
私が折れるしかないだろう。
私はため息をつくと笑顔で立っている兄のもとへ近づいた。


「お兄様、お待たせしてしまい申し訳ありません」

「気にしないでいいよ。
僕の可愛い天使のためなら何日でも何ヶ月でも、何年でも待てるからね」


何年って……私は何処に隠れろと?
兄から逃げ切る事は不可能だと分かっているのだが……。


「お兄様、冗談はおやめ下さい」


兄が何ヶ月も待てるわけがない。
多分1日もすれば私を探しに来る。
そんな自信があった。


「そんなに長く咲夜を離しておくつもりはないけど……」


兄がボソッと呟いたそんな言葉が聞こえてしまった。

あぁ、やはり……。

とおもうのと同時にヒヤリと背中に冷たいものが走った。

それらを含めて結局私は兄の発言についてはスルーする事にした。

だって怖いし。
兄が段々と狂気に呑まれていくような……。

そんな時、先輩が入ってきた。
会長こと明来あくる先輩だ。


「悠人先輩?
どうしたんですか?」

「うん?
……あぁ、明来か。
僕はただ、可愛い可愛い天…咲夜を迎えにきただけだよ?」


もう突っ込む気すらおきなかった。
……明来先輩も凄く引いてるよ?
駄目じゃん。


「悠人先輩……が?
わ、笑ってる……!?」


…え?
そこ!?
しかも兄は基本的に笑っていると思う!


「……お兄様は良く笑っていますよ?」

「いや、悠人先輩が笑うなんて…!!
ありえない!
おかしい!!
怪奇現象だ!」


いや、怪奇現象って……。
兄が笑ったからってなんだというのだろうか?
それだけで怪奇現象って何……?
うーん……良くわからない……。


「あの無表情な先輩が笑うなんてありえない!
はっ……!!
もしや、偽物か!?」


兄は偽物認定されたようです。
……兄が無表情ってそっちの方が偽物な感じするんだけどなぁ。

私はチラッと兄を見てみるとニッコォ…と笑っていた。
ただし、殺気でも出ているのではないかという様子で、だったが。
見ている方も怖いのだが。

私はその様子を見て、兄から少しだけ離れる。


「……明来、ちょっといいかな?
咲夜、悪いけど少しだけ待っていてくれるかい?
すぐに戻るから……」

「分かりましたわ。
行ってらっしゃいませ、お兄様」


兄は冷たく笑って明来先輩に付いてくるように言うと、私には優しげに微笑んだ。
その対応の差に少し戸惑うが天也や奏橙の時の方が酷いため私も笑顔で接した。

ここで兄を送り出さなければ私の方にも被害がくるかもしれないと思ったので私は笑顔で送り出す。

兄はそんな私の頭を優しくポンポン、と叩くと明来先輩の襟をつかみそのまま出ていってしまった。


「…会長、終わったな」

「余分な事言わなければよかったのに…」


天也と奏橙の2人は他人事のように会話を続ける。
その様子に私は明来先輩を心配しつつも兄がやり過ぎないことを祈る事にした。


「明来先輩…無事ならいいのですが…」

「保身に走った奴がそれを言うか?」


どうやら天也にはバレていたらしい。
私は笑顔で誤魔化す事にした。

……元はと言えば明来先輩が兄を偽物扱いしたり怪奇現象と言ったりしたからなんだ。

それに、兄妹だとしても兄が怖いし。
少しくらいは……いいよね…?



ーー悠人ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



僕は咲夜に断りをいれてから明来の襟を掴み、引きずって今は使用されていない教室に入る。


「ゆ、ゆゆ悠人先輩!
な、なにを……」


なにを?
ふふっ…分かっているだろうに。
偽物だの怪奇現象だの…好き放題言ってくれたしね。
全く…それで咲夜に僕に対する嫌悪感でも抱かれたらどうするつもりだったのか……。


「明来、君の発言で咲夜に嫌われていたらどうするつもりだったのかな?
他のどうでもいい奴等とは違って咲夜には知られたくない事があるんだ。

……で?
誰が、偽物で怪奇現象だって?」


そんな事で咲夜が僕を嫌ったりするような事はないと分かってはいるものの、万が一のことがある。
それに、咲夜の中での僕の評価が少しでも下がったらと思うと……ね…。

僕は笑顔すらも作らず、の無表情に戻る。


「ゆ、悠人先輩!
それは、言葉のあやというかなんというか……」


明来が必死に言い訳を探しているようだが、そんな事で気が収まるとでも思っているのだろうか?
そんな事、あるわけが無い。

……まぁ、咲夜に『お願い』されたら少しだけ控えるけれど。
あくまで少しだけ、ね。

本当、咲夜は可愛い。
あの海のように綺麗で深く、暖かい蒼い瞳で見上げられ、首をコテン、と傾げる姿とかは本当に可愛い!
写真…いや、動画に残したいくらいだ。
あの艶のある、金糸のような髪も綺麗だし……。
前に何回か結わせてもらったことがあったけどサラサラだった。
しかもマカロンを上げると嬉しそうに笑うし、大切そうに抱き抱えるんだ!
小動物のようで可愛い!!

うわぁぁぁぁ!!
本当、咲夜が可愛い!!
可愛いすぎて辛い!!

そんな可愛い咲夜に嫌われるなんて……考えただけでも嫌だ。
そんな事あった日にはきっと……。
だから、そうなるかもしれない理由を作った明来を僕は許すつもりはない。


「少しだけ……お仕置きが必要のようだね?」


僕は咲夜の事を思い浮かべ、うっすらと笑みをうかべながらガクガクと震える明来の襟を掴んだ。






その後、部屋だけでなく廊下にまで悲鳴が響いたという……。


勿論、何をしたのか咲夜には何も話してはいないし明来にもしっかりと口止めしてある。
口を滑らせたら今回よりも更に酷い事になる、とだけは言って帰した。


咲夜を待たせてしまっていることを思い出し、急いで迎えに向かったが相変わらず咲夜の周りで害虫が騒いでいた。

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