脇役だったはずですが何故か溺愛?されてます!

紗砂

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誕生日プレゼント

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文化祭の準備もいいが、そろそろ兄の誕生日だ。
今年の誕生日は盛大に祝うらしい。
なんでもその時に海野家の後継者の発表をするだとか。

まぁ、私には関係ない話だけどね。
だって、兄が後継者ってのは決まってる事だし。
だから、私がやることと言えば兄を祝うことくらいだと思う。
他には、一応海野家の人間として縁を作るくらいだろう。

それにしても、兄の誕生日プレゼントはどうしたものか。
毎年の事だけどコレがいい、とか言ってくれないせいで困るんだよね。


「咲夜、どうかしたか?」

「……いえ、お兄様の誕生日プレゼントを考えていただけですわ」

「……あぁ」


天也は少し考えた後、顔を上げ、私に向かって微笑んできた。

くっ……心臓に悪いっ……!!
この破壊力はヤバい。
本当、一度やられてみれば分かると思うけど。
あ、でもそうすると敵が増える……。


「咲夜、俺も何か用意しようと思っていたんだ。
これから一緒に買いに行かないか?」


……それは、放課後デートみたいではないか。
いや、みたい、ではなくそうなんだろうけど。
まぁ、私も困ってたし丁度いいんだけどさ。
狙っていた感覚が半端ないよね。


「お願い致しますわ」


まぁ、それでも2人で過ごせるのが嬉しいから申し出は受けるんだけど。
それに、天也なら同性って事でアドバイスとかもくれるかもだし。
あー、でもあの兄の好きそうなもの、ってなると厳しいかな?


「あぁ、そのまま制服でいいか?」

「私は大丈夫ですが……」

「ならそのまま行くか。
車は呼んである」

「ありがとうございます、天也」


私は鞄を持ってくると、天也の隣を歩く。
その際、やはり視線が気になるものだがまぁ、仕方ない。
天也はモテるしね。


「今まではどんなものを用意していたんだ?」

「えーと、ペンダントや万年筆などでしょうか?」


去年はペンダント、その前の年には万年筆を、その前は時計をあげた覚えがある。


「なら、ネクタイやネクタイピンはどうだ?
悠人先輩はこれから公式の場に出ていく事が多くなるだろう?」


確かに、これからそういった機会が増えていくだろう。
ならば、自然と使ってもらう機会も増える筈だ。
これまでに渡してきたものは使っているところを見たことないし……。
うん、丁度いいかもしれない。


「そうですわね……。
そう致しますわ。
天也、選ぶのを手伝ってくださいませんか?」

「勿論だ」


天也ならセンスは良いと言われているし丁度いいだろう。
まぁ、本当なら私が選ぶべきなのだろうが。
あまり自信はないんだよね。

車に乗り込むと、今更ながらの疑問が浮かぶ。


「店はどこにする?」

「そうですわね……まだ開店してはいませんが……。
Clameの2号店へお願いします」


実は、ドイツでは成功をしたということでこちらでも店を出す事となったのだ。
ただ、勿論家族には内緒にしている。
いずれは伝えるつもりだけど。

そして、Clameならばいい物もあるのでは、と考えたのだ。
ロイが選んだものだし。
宣伝にもなるし。


「2号店……か。
分かるか?」

「問題ありません」

「なら、そこへ頼む」


車の中で、私と天也は文化祭の話をした。


「もうすぐだな」

「えぇ、去年の文化祭はクラスの方にはあまり関わらずにいたので今年こそはちゃんとやりたいですわ」

「……せめて悠人先輩を止めてからにしてくれ」

「ふふっ、それは保証出来ませんわね」


去年の文化祭と言えば、やはり、天也の告白が記憶に残っている。
あれは本当に驚いた。
まさか、攻略対象者から……と。
まだあの時はゲームの登場人物、という感じが強かったからね。
だが、それがあったからこそこうして幸せな日々を送れているのだ。
そして、この世界がゲームの世界ではないのだと、現実だとハッキリと突きつけられた気がしたのだ。
それからだろう。
私が天也や奏橙達を攻略対象者として見なくなったのは。


「天也、ありがとうございます」

「……何だ、急に?」

「なんでもありませんわ」

「それはないだろう……」


最初の頃は私が天也に振り回されているような感覚だったが、今では私が天也を振り回しているような気がする。
まぁ、気持ちとかの意味ではよく振り回されているといえるが、行動では、ね?


「到着致しましたが……まだ開店はしていません」

「問題ありませんわ。
車は店の裏にスペースがありますわ」

「篠崎、車を回したらこちらへ来てくれ。
そうすれば分かる」

「承知致しました」


篠崎さんは天也の言葉に頷くと、私達を降ろし、すぐに車を裏へと置いて戻ってきた。

そして、店の横側へいき、関係者専用の扉から中へ入る。


「よっ!
お嬢、こっちは大抵終わってるぜ」

「咲夜様、お疲れ様です」


何故清水と真城がここに居るのか。
全く持って理解できない。
そんな私の疑問を見透かしたように、笑顔で答えたのは真城だった。


「お嬢がこっちに来るって聞いたからな。
お茶も用意してあるぜ。
それと、めぼしいネクタイやピンはカフェの方に並べてある」


……仕事早いな。
というか、何処で知ったんだか。
私達がそういった話をしていたのは学校と天也の家の車だけだというのに。
お茶を用意してあるところからすると、学校なのだろう。
さすがは情報屋、というべきなのか呆れるべきなのか……分からなくなってくる。


「お前のとこの奴は色々と大変そうだな」

「その分、楽しいですわよ?」

「だろうな」


天也が苦笑をもらすが、私はそれを気にせずに真城や清水が用意してくれたスペースへと移動する。


「やはり、紺や黒のもの、ですわよね……」

「あぁ、紺の方が使い道も多いんじゃないか?」

「そうですわね。
では、この3種類でしょうか」


紺の中からコレというものを3種類に絞り、それを別にして残りは片付けてもらう。


「……ロイは居ますの?」

「裏で待機しておりますが、お呼び致しますか?」

「えぇ、お願い致しますわ」

「承知致しました」


多分、ここには司も居るのだろう。
そして真城と清水、ロイまで居るのだ。
司だけ居ない、というのは考えにくいうえ、このお茶と茶菓子ときた。
確実にいると考えていいだろう。
……何で全員揃ってここにいるんだか。


「咲夜様、お呼びですか?」

「えぇ、ネクタイに合うピンをいくつかに絞ってください」

「承知致しました」


しばらくして、ロイの持ってきてくれたピンと合うものを選び出す。


「わぁ、このネクタイピン綺麗……」


そう思わず呟いて、手に取ったのはシルバーを基調とし、黒と金のラインが入った高級感の溢れるシンプルな作りをしたネクタイピンだ。


「悠人先輩の雰囲気ともあっていていいんじゃないか?」

「天也がそう仰るのでしたら、これに致しますわ。
あとはネクタイですわね……」


ネクタイピンに合わせるように決めようとするがシンプルなせいかかなり幅広く使えそうだった。


「これはどうだ?」


天也が選んでくれたのは、紺の生地に斜めに白いラインが入っている。
確かにこのネクタイが一番ピンに合う気がする。


「こちらにすることに致しますわ」

「咲夜様、ラッピング致します」

「えぇ、お願いします」


清水にネクタイとネクタイピンを渡すとラッピングをするために裏へと向かっていく。
その最中、私達はお茶をする事にした。


「やはり、美味しいな」

「ふふっ、そうでしょう?」


司のお茶は本当に美味しい。
しかも、お茶だけでなくお菓子も美味しいのだ。
特にマカロンが。


自慢げな私に呆れたような表情を天也は浮かべていたが、私は特に気にするような事も無く微笑んだ。

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