転生したら守護者?になり称号に『お詫び』があるのだが

紗砂

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裏切り

カリン視点

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「何なのよ、あの馬鹿っ……!!
仲間だって言ってたじゃない……」


私が怒っているのはカイだけじゃない。
そうせざるを得ない状況にしてしまった自分自身の弱さにもあるのだ。
だが、それでも…。
私は戦いたかった。
カイを守りたかった!
カイにそんな選択させたくなかった。

そんな思いが溢れだす。


「カイ……」


私にはカイを責める権利なんてない。
それは重々に理解している。
だからこそ、私は私を責め続けているのだ。


私は、カイの事が好きだ。
どうしようも無いくらいに。
だから尚更責め立てるのだ。

いつも明るいアイツが。
自分が苦しんでも他人のために頑張るアイツが。
大切なもののためならばなんだってするアイツが。

どうしようもなく、好きなのだ。


「バカ……」


もう1度、今度は力なく呟くと涙を拭った。

アイツがその気なら私もそうしてやろうという思いで。
ただ、もう1度カイに会いたいから。

今度はちゃんとこの気持ちを言いたかったから。
カイに好きだと伝えたいから。

私は公爵家でカイは平民。
一見、釣り合わない身分違いの恋。
だが、あの勇者パーティーであるというならば話は別。
勇者パーティーでなくても加護が2つあるというなら喜んで受け入れるだろう。
その2つが合わさればとんでもない優良物件になる。
だから障害があるとすれば、今この瞬間だけなのだ。


「さぁ、そうと決まれば準備を始めないといけないわね。
まずは……そうね。
強くなる事から始めましょう」


そして、準備が整い次第、魔界に行けるようにしておかなければ。
そう考えるとやることはかなりある。


「カリン、少し、いいか?」


そんな時だった。
リュークが私を訪ねてきたのは。


「何よ」

「俺、カイを助けに行くことにし……」


思わず、扉を勢いよくあけてしまった。
扉は思い切りリュークにぶつかったらしく鈍い音がして、リュークは鼻を押さえ蹲っていた。


「私も行くわ」

「なっ……危険なんだぞ!?」

「分かっているわよ。
でも、私達はパーティーなんでしょう。
私達なら問題ないと思うけど。
まぁ、念の為に個人のレベルは上げないといけないと思うけど」

「……悪い」


リュークもカイを失いかなり傷ついていたはずだった。
だからこそ、私とリュークは同じ答えに辿り着いたのだろう。
まぁ、リュークのとこにはレクトも行っていたからすぐに立ち直るだろうとは思っていたけど。

リナに関してはきっとこういう事を予想していたんでしょうね。
もう回復魔法の精度を上げるために色々と行動をしているし。

私ばかり乗り遅れているみたいで好きじゃない。


「早くカイを助けに行くわよ」

「あぁ」


そうして決めたのはこの1年はそれぞれが強くなるために動くということ。
そして、来年にカイを助けに魔界へ行くということだ。
それまでに並行して、色々なものを準備しなければいけない。

そう思うとやることが多いと思うのだった。
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