転生したら守護者?になり称号に『お詫び』があるのだが

紗砂

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裏切り

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それにしても……と思うのは、カリンの事だ。
カリンが出ていったきりで戻ってこない。
俺の客に手をだす馬鹿はもうここにはいない。
と考えると、まさかカリンは迷ったのだろうか?


「リューク、カリンは……」

「……置いといてやれよ。
俺も気持ちは分かるからな……」


それはどういう意味でだろうか?
失恋という意味か、それともまた別の…裏切りという意味か。


「で、カイはカリンの事、好きなんすか?」

「なっ……何でそんな話になんだよ!?」

「いいじゃないっすか!
まぁ、バレバレっすけど」


……その自覚はあった。
突然の質問だったせいもあり、俺は顔に赤みが指しているだろう事は分かっていた。


「……悪ぃかよ……。
どうせ言うつもりは無ぇんだから問題ないだろ。
俺は、魔族として生きるって決めちまったんだからな」

「何で……。
カリンは、カイさんが受け入れてくれるのなら家だって捨てると…そう言っていたんですよ!?
何でそれを………」


静かに話を聞いていたリナだったがとうとう耐えきれなくなったのか叫び始めた。
だが、そう言われても俺が考えを変える事はない。


「尚更だ。
俺よりもカリンに相応しい奴は何人も居るさ。
俺の都合に巻き込む訳にはいかねぇよ」


そう、俺の都合に巻き込むわけにはいかない。
俺は、命を狙われることが多い。
そんな中にカリンを巻き込めるはずがない。


「……カイ、カリンならば問題ない。
アレはお前のためにかなり無茶をしたんだ。
お前の隣くらい……」

「……無理だ。
俺は…カリンとは寿命が違い過ぎる。
もし、カリンと一緒になってもあいつが死ねば俺は狂う自信がある。
たから、無理だ。
今ならまだ…諦められる」

「カリンは、魔族にだって……」

「違ぇんだよ!!
俺と冬夜に死の概念はねぇんだ!!
俺は魔族になった時に魔神の加護を受けた。
魔神の加護の効果は死の概念が無くなる事。
魔神が居なくなんねぇ限りはな。
分かっただろ!」


俺は半ば八つ当たり気味に叫んだ。
そのせいで魔力がほんの僅かに漏れてしまい、慌てて俺は魔力を制御した。


「悪ぃ……」

「……カイ、もう昔みてぇに居られねぇのかよ……」

「……今は、な。
さっさと条約を認めれば俺も自由になる。
冬夜とも仕事で色んな国へ行く事になるだろうしな。
だから……リューク、そっちは頼む」

「……そういうことかよ。
仕方ないな、いいぜ。
ただ、少し時間かかるかもしれないぞ?」

「別にいいさ。
それで条約が結べるっていうならな」

「そうか。
なら、俺はお前に協力するよ、カイ」

「……あぁ、サンキュー、リューク」


リュークに伝わって良かった。
だが、本当にリュークは大丈夫なのだろうか?
色々と心配だ…。


『涼!!
おい、お前ちょっと助けてくれ!!
うおっ……おい、やめろ!!
話を聞……』


ブツッ。


……冬夜からの念話だ。
何があったのだろうか?
……まさかとは思うが……カリンがなにかやっているのか?
いや、そんなはずは……。


「……なぁ、お前らさ……。
カリンが何処行ったか知らね?」

「……さぁな」

「知らん」

「……知らないっすよ?」

「……さぁ?」


白白しい回答に俺は理解した。
カリンが冬夜の所にいると。
だが、あの冬夜の様子だと逆に冬夜が襲われ……まさかとは思うが……。


「…テメェら、グルだな」

「カイが悪い」

「お前が種族を気にするからだ」

「カイの責任っすよ!」

「大丈夫です!」


リナは何が大丈夫なのだろうか?

まぁ、取り敢えず……。
急いでカリンを止めなければ行けない。


「俺の仕事を増やすなっての!」


ダルいが仕方ない。
俺は冬夜の部屋に転移すると、冬夜をカリンから遠ざけ、既にカリンの持っている冬夜の血を取ろうと試みる。


「カリン、それを渡せ」

「嫌よ」

「カリン!!」

「っ…絶対に渡さないわ!!」

「あぁもう!!
分かった、分かったからやめろ!!」


カリンが魔族になろうとしている事は理解した。
それも、俺のために。
それだけの決断をカリンにさせたのだ。
俺も男として腹を括らなければいけないだろう。


「…冬夜、いいか?」

「あぁ、いいぞ」

「そうか」


冬夜の許可も取れたのだ。
色々と問題はあるが……まぁ、大丈夫だろう。
俺がもっと強くなればいい事だ。

俺はある決断をすると、転移を使いある場所へとやってきた。
俺の故郷である村の近く。
綺麗な花が咲き乱れる丘だ。


「カリン、俺は…俺は、カリンのことが好きだ」

「っ……!」

「だが、俺は魔族でお前は人間だ。
カリンが魔族になったとしても、だ。
お前は家を捨てることになるんだぞ」

「そんなもの、どうでもいいわ。
私はどうせ家を出ていかないと行けないのだし……」


カリンはやはり変わらない。
自分の意思を曲げないところも、素直なところも。
だからこそ、俺はカリンが好きなんだろう。
自分の決めた事を最後まで通す、そのカリンの生き方が。


「はぁ……俺の負けだ。
カリン、俺に付き合ってくれるか?」

「えぇ、勿論よ!」


カリンは本当に嬉しそうに笑い、俺に抱きついてくる。
ふわりと香る甘いカリンの匂いにドキッとするが平静を保ち続けた。


「カリン…今はまだ、魔族になるな。
1度家族と話してこい。
……いや、俺も行った方がいいか?」

「えぇ、そうね。
カイ、来てくれる?」

「あぁ……。
王都でいいか?」

「えぇ」


今度は王都へと転移すると、俺は自分に隠蔽の魔法をかけ、人間としての姿へと変えた。
そして、カリンの実家へと着くと、客人としてもてなされる。


「カイ、と言ったな」

「はい」


俺は、カリンの父親である公爵に向き合っていた。


「娘と婚約をしたいという話だが……」

「えぇ、ですがその前に、言わなければならないことがあります」

「なんだ?」


厳ついイメージのカリンの父親だったが話してみると娘離れが出来ていない父親という雰囲気だった。

俺は隠蔽の魔法を解き、自分の本来の姿になる。


「魔国、序列第2位と…魔王付きの公爵位カイ・ルーディンスと申します」

「なっ……!?
魔族!?
しかも、カイ・ルーディンスと言えばあの……魔王のお気に入りであり、各国で条約を……」

「えぇ、まぁ。
…僕は、元々人間でしたから。
それはあなた方が魔王と呼ぶディナートも同じです。
ですから、余計に争いたくは無いんですよ。
それに、リュークやカリン、両親も居ますから。
あいつは、ただ寂しがり屋で臆病なだけです。
本来、恐れる必要など何もない」


いつの間にか話が脱線してしまっていた。


「魔国に娘は行かせない。
わざわざ危険な所へ嫁がせなくとも他にもっといい嫁ぎ先がある」

「……俺も最初はそう言って断っていました。
ですが、カリンは魔族になろうとした。
そこまでの覚悟を見せられては断るにも断れないでしょう。
それに……」


と、俺は言葉を続ける。
1年前とは変わった魔国を思い出し。


「俺の上には魔王しかいない。
縦社会の魔国にとって俺を害する事は禁忌とされる。
今回の件は魔王にも許可を取った。
式を挙げる時はどうやら魔王直々にやってくれるらしい。
俺には、守護神の加護も、転生神の加護も……魔神の加護もある。
それだけ加護があるんだ。
大切なやつくらいは守れる」

「守護神と転生神……まさか、お前は勇者の親友なのか!?」

「まぁな。
本当にタチが悪くなってたぞ、あいつら。
リュークもグルでカリンを魔族にしようとしてたくらいだ。
……ったく、止めたからいいものを」


せめて、魔族になるならば俺の血にして欲しい。
それ以外の奴……例えば冬夜の血をカリンが飲んだとする。
そうすると自分のものだという証になるのだ。
嘘でもそんなのは嫌だ。
調べるならそこら辺まで調べろっての。


「アレは、母親に似たからな。
カリンの母親も気が強く、我を通す奴だった。
どうせ、私がここで君を追い返したところでカリンは君を追って出ていくだろうな。
ならば……カイ・ルーディンス、娘をよろしく頼む」

「えぇ、命に変えても守り続けます。
この命が尽きるその時まで愛し続けると誓いましょう」

「ふっ……あぁ、心強いな」
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