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裏切り
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しおりを挟む「カリン」
俺は、愛しい奴の名前を呼ぶ。
その声は、いつもよりも甘く、優しい気がする。
まるで、自分の声じゃないようにさえ感じるくらいだ。
「な、何よ……」
「いや、冬夜にもちゃんと言わねぇとと思ってな。
お前も来るか?」
「えぇ、勿論よ」
本当にこいつは……。
「んじゃ、行くぞ」
「えぇ」
俺は、カリンの手に触れながら転移の陣を発動した。
設定した場所は勿論、冬夜の執務室だ。
「よっ、暇か?」
「暇じゃない。
涼、ここに転移するのはやめろ」
暇じゃないと言いつつも、机の上にはお茶しか出ていない。
……全く仕事してねぇじゃねぇか。
「正式にカリンと婚約してきた。
儀式自体はもう少し先にしようと思っている。
まぁ、そこはこっちの案件がどれだけ早く終わるかによるが……」
「分かった。
涼、婚約者の件については十分注意しろよ。
こっちでもお前を狙う奴はかなり多いんだからな」
意外にも冬夜は俺たちの事を考えてくれているらしい。
「あぁ、分かっている。
建前としては友好の証とすればいいだろう。
俺のここでの立場とカリンの家の立場も同じくらいだからな」
あくまで建前だが。
そうすれば少しは手出ししにくくなるだろうしな。
「あぁ、それで納得すれば、な」
「あとは溺愛している姿を見せればいいだろ」
「……程々にしろよ?」
冬夜は苦笑を漏らしてはいたが、やめろとまでは言われていないので問題ないだろう。
冬夜の執務室を出ると、壁に寄りかかるようにしてフェイルがいた。
「……カイ、お前と兄さんの寿命と他の魔族の寿命は全く違うぞ」
「そんな風に言わなくとも……!!」
「カリン、大丈夫だ。
フェイル、もし、カリンが俺より先にいくようであれば……俺は魔神を消す」
「……そうか。
ならば、祝福をするさ。
それは、兄さんを苦しみから解放する方法でもあるからな」
どこまでもブラコンの奴だ。
だが、わざわざ俺にそれを言ってきたということは、俺を心配してのことだろう。
あの、ブラコンフェイルが……。
徐々に変わりつつあるこの国に俺は自然と笑みを浮かべた。
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