17 / 42
学園
11
しおりを挟む「ぐっ……」
俺はアイギスを伝い、ずっしりとした重さとかなりの衝撃を感じながらも盾役としてしっかりと役割を果たす。
とはいえ、負担は増える一方であり、リュークも苦戦気味で士気は下がる一方だ。
だが、これがアイギスでなければ……きっとすぐに砕け盾役としての役割を果たせずにいただろう。
「カリン、魔力ポーションをあけてくれ」
「はい」
「サンキュ」
俺はカリンから受け取った何本めかになる魔力ポーションを飲むと瓶を捨て、陣を描く。
これはあまり得意ではないが…仕方ない。
前世で地雷と呼ばれたものに似た魔法を幾つも仕掛けていく。
5つを仕掛けたところで俺は見てしまった。
リュークがオークに吹き飛ばされるその姿を。
「リューク!!」
「う……あ…カ、カイ……わ、悪ぃ…。
……し、しくじっ、た……ぐっ……」
「リューク!?
いい、喋るな!
リナ、頼む!
カリンは下がってくれ」
俺は頭の中が真っ白になり何も考えられなくなってくるのを感じながら、声を掛けると今までで一番、大きいだろうと思うほどの声で叫んだ。
「何が、何が守護者だ!
何が加護だ!!
俺はダチの1人も守れねぇじゃねぇか!!
プライドなんてそんなもん捨ててやる!
クソジジイ、俺に大切なもんを守れるくらいの力を貸しやがれ!!
代わりに俺のもんなら何でもくれてやる!!」
結局、最後は人、いや…神頼みだ。
だが、それでもいい。
プライドなんて要らない。
ただ、大切なものを守れればそれでいい。
『なら、お主の職が代償じゃ。
代わりにわしは、新たな選択をやろう。
どうじゃ?』
「それでリュークを守れんのかよ」
『それはお主次第じゃな』
「……分かった。
いいぜ、くれてやるよ」
『よかろう』
そのクソジジイの声を聞きながら俺は新しい力が流れてくるのを感じる一方で、何か大切なものが流れていくのを感じる。
だが、そうでなければリュークを助けられない。
ならば……力なんていらない。
リュークを親友を助けられればそれだけでいい。
その力の使い方は自然と理解していた。
「開け、ワールドメモリー」
ワールドメモリーにはどうやらこの世界の事が全て書かれているらしかった。
俺は膨大な量の情報のせいで、酷い頭痛を感じながらも必要なものを探す。
そして、それは見つかった。
「リナ」
「は、はい!」
「今から俺が転写する魔法陣を使え」
「え……」
戸惑っていたリナだったが俺はただ、淡々とリュークを助けるための行動にうつす。
「転写」
「っ……!?」
リナは頭を抑えていたが、それがどういったものかを知ると目を見開き、俺を見つめてきた。
「リナ、急げ」
「…分かりました!」
俺はリナが陣を描き始めるのを確認してから同じように、ワールドメモリーから取り出した魔法を使おうとする。
「…ちっ、思ったよりもキツいな……」
攻撃を避けながら陣を描いているせいかそれともこの陣が特別複雑なせいか中々進まない。
陣を描き続ける事15分。
ようやく完成した。
まさか陣を書くだけで魔力ポーション2本を空にするとは思わなかった。
「開け、無限牢獄」
まるで、ブラックホールのようなものが出現するとその中にキングオークは吸い込まれる。
それをしっかりと確認してから俺は、意識を手放した。
そして、気づけば何度目かになる白い空間に、俺はいた。
クソジジイはいつもとは違い、少しだけ悲しむような表情をしている。
『お主は……お主は、友のためであれば人であることを辞める気か?』
「なんだよ、急に」
『いいから答えよ。
お主は人であることを辞めるつもりか?』
俺はいつになく真面目なジジイの言葉に少し考えてから返事をする。
なぜ、そんなにも悲しそうな顔をするのかわからない。
俺とジジイの間にはそんな深い関係はないはずだからな。
「……それしか助ける手がねぇならな」
『……そうか。
お主ならば、あやつをどうにか出来るやもしれぬの……』
「……あやつって、誰だよ?」
『……今のお主には関係はあるまい。
じゃが、お主はいずれ選択を迫られるじゃろう……。
友か、世界か、自身か、どの選択を選ぼうとお主の勝手じゃ』
ジジイはやはりクソジジイだった。
それが確認出来たのはいいのだが……それにしても何故このクソジジイはこんな悲しげな表情を浮かべているのだろうか?
いや、それよりも、だ。
今の俺に関係ないって事はつまり後には関係あるかもしれないって事だ。
それなら今教えろ、とは思うが面倒事にはあまり関わりたくない。
……特にこのクソジジイの案件は。
よし、知らなかった事にしよう。
俺は僅か数秒でそう決める。
だが、それよりも気になるのは……選択を迫られるってとこか。
世界か、友人……。
友人、か。
それは、リュークのことだろうか。
はたまたほかの人物か……。
『今、お主、わしを面倒などと思わんかったか?』
妙に鋭いジジイだ。
本当に面倒な奴だが一応リュークを助けてもらったからな。
「…ソンナコトネェヨ………?」
『何故、棒読みなんじゃ!?
しかも、疑問形じゃと!?』
棒読みと疑問形の部分を指摘されるが俺は笑顔を崩さない。
「……キノセイ、キノセイ」
笑顔で棒読みとは…何やら既視感があるが…まぁいいとしようじゃないか。
『だから何故棒読みなんじゃ!
お主程失礼な奴はいないぞ!』
「え?
そうか?
他の奴は頑張って耐えてたんだな……大変だっただろうに……」
俺が思わず口にした余計な一言に転生神のクソジジイはうるさく突っ込んでくる。
『耐えてたとはなんじゃ、耐えてたとは!
わしはこれでも神なんじゃ!
そこそこ信望もあるのじゃぞ!?』
「これでもとか一応って付けてる時点で駄目じゃね?
ってか、そこそこなんだな……」
またもや余分な一言を口にしてしまう。
俺は少しだけ後悔しながらクソジジイの言葉を受け流す。
『お主、絶対聞いとらんじゃろ!?』
「…キイテルキイテル」
『じゃから何故棒読みなんじゃぁぁぁぁ!!』
仕方ないだろう。
聞いていないんだから。
それにしても……相変わらずうざいジジイだな。
「はぁ……煩い奴だな」
『神に向かって煩いじゃと!?
失礼にも程がある!!』
「地獄耳だな」
俺が関心したように口にすると、クソジジイは自慢げに胸を逸らす。
……自慢する事じゃないと思うが。
『どうじゃ!
参ったか!』
「……あぁ、参った参った」
テメェの馬鹿さ加減とうざさ加減にな。
と、心の中で付け加えておくのを忘れない。
あぁ、やっとこれで終わる……そう思うと自然と溜息が出ていた。
一体それは、このクソジジイのせいなのか、それとも今までの疲れのせいか…どちらだったのだろうか。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる