転生したら守護者?になり称号に『お詫び』があるのだが

紗砂

文字の大きさ
19 / 42
学園

13

しおりを挟む



俺は、久しぶりに、筋肉痛に悩まされながら学園へと登校した。

これも全てリヴィアのせいだ。
そう、俺はあれから結局リヴィアに捕まって、倒れるまで手合わせをしていた……いや、

だが、考えてみて欲しい。
目が覚めたばかりの怪我人にそこまでやらせる奴がどこにいるだろうか。
(ギルドにいる)


「カイ、大丈夫か?」

「あんま動きたくねぇだけだから問題ない。
けど、全身筋肉痛のせいで痛ぇ……」


ケラケラと笑うリュークに俺は恨みがましそうに睨みつけると焦ったように
「悪ぃ悪ぃ」と口にした。
そんなリュークに俺は、まぁ、リュークだしな……ということで終わらせることにしておいた。


「あ…カイ、おはよう」

「おはようっす!」

「おはようございます」

「おう、おはよ」

「おはよう」


俺達は教室に入り次第挨拶をすると席に着く。


「カイ、大丈夫なのか?」


意外にも俺に声をかけてきたのはレクトールだった。
あまりの意外さに俺は思わず目を見開いてしまうほどだ。
だってあのレクトールだぞ?


「……おい、その反応は…」

「いや、意外だったから」

「……済まなかった」


それは謝罪であった。
レクトールが、だ。
俺もそうだが、何よりカリンの方が驚いているような気がする。
やはりレクトールは変わったのだろう。
あの実習が原因なのだろうか?


「で、体は大丈夫なのか?」

「あー…大丈夫っていやぁ、大丈夫だな……。
ただ……」

「ただ…?」


俺は心配そうなレクトールに今の状態を告げた。


「リヴィアのせいで全身筋肉痛が……」

「筋肉痛!?
オークとの戦いの傷はどうしたんだ!?」

「いや、もうとっくに治ってるけど」


オーク戦での傷は全てリナが癒してくれた。
そのおかげで傷による痛みは無かった。

……あくまで傷による痛みは、だが。


「なぁ、レクトール」

「レクトでいい」

「なら、レクト。
お前は怪我とか無かったのか?」

「……あぁ。
私は、お前からの風の報せを受けてからすぐに戻ったからな」


俺は意外だと思いつつも皆無事だった様で安心した。
まぁ、本人は大変不本意そうだが。

今更だが、よく勝てたよなぁ、などと思っているとレクトがムッとしたような声を出した。


「……おい、聞いているのか?」


その声により現実に戻された俺は悪い、と謝ってからレクトの話を聞いた。


「はぁ……明日から、闘技大会の個人と団体両方の申請が始まるだろう。
どうせまだ決めていないなら、と思ってな。
団体の人数は3人だからな」

「マジか……。
ティード」


ティードに恨みがましい視線を向けた。
何も聞いていない、と。
ついでに俺とリュークは一緒に組むとして残りもう一人をどうするか。


「申し訳ないっす!
自分はカリンとリナと組んだっす!」


どうやら俺とリュークは残ったらしかった。
そして、平民ということもあり、貴族が多いこのクラスでは俺たち二人はチームを組みにくい。


「リューク」

「……俺も今知った」


それはそうだろうな。
どうせリュークの事だ。
聞いていたとしても忘れているだろうしな。


「レクトは1人なのか?」


俺とリュークの2人は組むのが決まっていたので残りは1人なのだ。
ここでレクトが2人以上であれば組めない。


「……あぁ」


レクトは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべてはいたものの肯定を返した。
一応、リュークの了解もとってから俺たちのグループのメンバーが決まった。
俺とリュークとレクト。
俺は守護者、リュークは勇者、レクトは魔導師。
……火力がやべぇな。
守りは俺がいるからな。
ってか、前衛は俺とリュークでレクトが後衛だろ?
……バランスもいいな。


「あ、そうだ。
レクト、俺今回完全守護にまわるつもりだから」

「は!?
手を抜くのか!?」

「違ぇよ!!
何で守護にまわると手を抜くことになるんだよ……!?
俺はもともと防御専門だぞ!?」


俺は守護者だ。
なのに、何故手を抜くなんて言葉が出てくるのか。
いや、まぁ…??付きだけど。


「……そういえばそうだったな」


こいつ、俺の職業忘れてやがった。
ってか、俺ですらレクトの職業覚えてんのにレクトが忘れるって……。


「……仕方ないだろう。
お前の職業に冒険者があったことが印象的だったんだ…!!」


言い訳じゃねぇか。
そうも思ったが心優しい俺は言わない事にしておいてやる。
感謝して欲しいものだ全く……。


「ってか、やっぱレクトって変わったよなぁ…。
最初会った時なんて、俺らが平民ってことで突っかかってきたってのに……」


相変わらず空気の読めない奴でリュークは頬杖をつきながらそんな事を口にした。


「それはっ!!
……いや、済まなかった…」

「んー、いや気にしてねぇけどさ…。
なんか、今の方がいいと思うぜ!!

そのなんていうか、偉そうだけど偉そうじゃない?」

「……リューク、お前はもう少し言葉を選べ。
本当の事だからって言っていいことと悪い事があるんだ。
ほら、レクトだってあんな複雑そうな……」


俺はレクトを指さした。
当のレクトはブルブルと肩を震わせ当然叫び始めた。


「失礼なのはどっちだ!
お前は私をフォローしたいのか落としたいのかどっちなんだ!?」


レクトは俺とリュークの頭を掴むと段々と力を加えていく。
だが、俺もリュークも耐性だけ飛び抜けていることもありそんなに痛みは感じない。
だが、いつまでたってもレクトは手を離すつもりはないらしくどんどんと力を加えていく。


「……いってぇぇぇぇ!?
ってか、いつまで掴んでんだよ!?
俺はカイみたいに頑丈じゃないんだからな!?」

「いや、俺みたいにってなんだよ!?
俺だってそんな頑丈な訳じゃない……よな?」


俺は自分の耐性の値を思い出して疑問を浮かべた。
そんな俺にレクトとリュークは揃って口にした。


「「知るか(知らねぇよ)!!」」


と。
何故かレクトだけは肩を上下させていてキツそうだったがまぁ、レクトの事なので気にしないことにしておく。

ようやくレクトは俺たちから手を離すと盛大な溜息を吐いた。


「…はぁ、本当にお前達は面白い」


レクトはフッと笑みを浮かべると時間を確認してから席に着く。

そんなレクトに俺もリュークも…いや、俺達だけではない。
クラス全体が感じた。

人が変わったと。
まるで、憑き物が落ちたみたいに良い奴になっていると。
今の状態のレクトであれば、家だって継げるだろうと思う程に変わっている。

レクトは元々顔も整っていたし、職業は魔導師、勉強だってそこそこ出来る。
それに加え、家柄もかなりいい。
女子からすれば性格さえ目を瞑ればこれ以上ない好物件だっただろう。
そう、性格さえ、目を瞑れば…だが……。

そして今、性格も難無しになった以上、これ以上ない好物件だろう。
俺等みたいな辺境の農民とは違って。

多少、妬む気持ちが無いわけではないがそれでも今のレクトを怨むようなつもりはない。
基本、良い奴みたいだしな。


「さて、それにしても…闘技大会か。
楽しみだな……」


俺は密かに先の闘技大会のことを考えながら笑みを浮かべながら授業が開始した。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...