転生したら守護者?になり称号に『お詫び』があるのだが

紗砂

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裏切り

リューク視点

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一方その頃、リュークは……。


「カイ……何で、何でだよ……。
約束、したじゃねぇかよ…」


俺はたった1人の友を思い浮かべ拳を握った。

俺は、カイに裏切られただなんて事は思っていない。

……ただ、カイを向こうに行かせなければならない状況を作ってしまったのがとてつもなく悔しく、辛かった。

こんな時、いつも俺の隣にはカイがいて…明るく次の事を考えられた。
だが、今は…そんなカイが居ない。
それが更に、俺を暗くさせる。


「リューク……居るか?」


どうせまたレクトだろう。
カイの友人だ。
カイが居なくなってから毎日の様に俺のところへ来る。


「リューク、入るぞ」

「来るな!!」


俺は叫ぶがレクトは構わず中に入ってきて明かりを付けた。


「……何だよ……俺を笑いに来たのか?
はっ…あぁ、そうだ。
俺は、カイが居てくれなきゃなんも出来ねぇよ…!!
唯一守りたかった親友を守れなかった大馬鹿だ!!」

「リューク…」

「……カイは気付いて無かったみたいだけど、俺は…村では嫌われ者だったんだ」

「…意外、だな」


俺はレクトの言葉にフッと笑うと最初にカイと会った時を思い浮かべて語り続けた。


「あぁ…。

俺は、嫌われ者だって事を理解してた。
……けど、それでも他の奴らのとこに交じりたくて悪戯ばっかしては大人達に怒られてたんだ。
そんな俺に近づく奴なんて、気付いたら両親くらいしか居なくなってた。
それどころか、他の奴らは俺を見ると石とか投げてくるようになったんだ。
それでさらに俺は悪戯を増やしたり、質の悪い悪戯なんかをしたりしてよ……。
……けどよ、カイは、カイだけは違ったんだ。

俺がカイと初めて会った時、俺はいつもと同じように石を投げられて罵倒とか浴びせられてた。
そんな時だったんだ。

カイが俺を庇ってくれた。
カイだけがちゃんと俺を見ていてくれた。
……あの時、あいつ、なんて言ったと思う?」

「……なんて言ったんだ?」

「…『あー、痛てぇ…!!
けど、俺よりもお前の方が痛そうだな!
大丈夫か?
怪我は……かなりしてるな。
あ、俺はカイな!
で、お前誰?』

だぜ。?
あいつ、俺を誰か分かってねぇのに助けたんだ。
そのくせ、痛いとか吐かしておきながら笑ってたんだぜ?
正直、うれしい反面、コイツはバカじゃねぇか?
なんて思ってたんだ」


それが、俺とカイの最初の出会いだった。


「……カイらしいじゃないか」


レクトがそう口にするのを聞きながら俺は軽く相槌を打った。


「俺が名前を言って、あいつは俺から離れていくんじゃねぇかって思って怖かったんだ。
俺は、嫌われ者だったから。
けどよ、あいつ……俺の事を知った後も離れずに一緒にいてくれたんだ。
怖がってた自分がバカバカしく思えた。

……それだけじゃねぇ。
カイは、俺をいじめてた奴のとこ行って、全員にもうやらねぇようにって言い聞かせてた。
聞かないヤツには殴ってでもやめさせてさ……。
…俺のためにだぜ?」


あのころの俺にはそんな事してくれる奴なんて誰一人いなかった。
カイ以外は…。
両親は家が貧しい事もあって仕事で俺の事なんか見てくれなかった。
だから他の奴らに俺はここにいるって知らせたかった。
見て欲しかった。
ただ、それだけだったんだ。
だが、それが余計、俺を孤立させることになった。
そんな時、カイだけが俺を見て、助けてくれた。

あいつは、俺が自分を救ったって言うが……先に俺を救ったのはカイの方だ。
カイがいなければきっと俺はここまで生きては来られなかっただろう。
それ程までにカイは俺にとって……。


「……俺はそれからカイといるようになって、カイに色々と教えてもらったんだ。

最初は、迷惑をかけた家に行って、俺と一緒に謝ってくれた。
その後でそこの手伝いを2人でやってさ……。
そんなことやってて1年たった時にはさ、皆、俺のことを認めてくれるようになったんだ。
それまで来るなって叫んできた奴らもさ、カイのおかげでいろんなもんくれるようになって、歓迎してくれるようになった。

その時、初めてこの村を守りたいって思った。
何より、カイを守りたいって。
カイを、あいつを失いたくねぇって……」


気付けば俺の目からは大粒の涙が流れ、爪が手にくい込んで血まで出てきていた。


「カイがいなくなってようやく気付いた。
……カイだけ、だったんだ。
カイだけしか信じて無かったんだ…!!
パーティーだって、カイが大丈夫だって言ったから俺は、カイを信じて決めた。
他のヤツはどうでもよかったから。
カイだけがいればよかったから!!
勇者としてここに来たのだってカイが着いてきてくれるって言ったからここまでこれた!
カイと誓ったんだ。
ずっと一緒だって!!
俺は、カイを守るって、そう誓ったんだ………」

「……あぁ。
リューク、私はカイを殴りに行く。
あいつは私を魔法で眠らせ自分1人で行ったからな。

で、リューク。
お前はどうするんだ?」

「俺は……カイを助けに行く。
今度は絶対カイを守る……」

「ふっ、そうか。
ならば、行くぞ。
もう皆、準備は出来ているのだからな。
勇者であるお前がいなくてどうする」

「……あぁ」


俺は、カイを助けるための勇者となろう。
俺をあそこから救ってくれたあいつのための勇者に。
カイを助けるためにならば何でも利用してやろう。

そう心に誓いをたてるとレクトのあとを追いかけた。


「……リューク、一つ聞かせてくれ。
カイはお前に何も残さなかったのか?
カイは計画していた様子だった。
なのに、何も連絡方法すら残さずに行くようなヤツか?
私たちにならばまだわかる。
だが、リューク。
お前には違うはずだ」


何も残さなかった。
だが、それは本当なのだろうか。

レクトの言葉で俺もハッとした。
確かにカイが何も残さないのはおかしい気がする。
カイは最後、何と言っていた?


『俺は何があろうと、何年、何十年たとうとお前を、リュークを信じる!!
だからお前も俺を、カイを信じろ!!』


だったはずだ。
あの時、カイは『信じろ』という言葉をかなり口にしていた気がする。

信じる?
何を?
カイを、か?

その後は何と言っていた?


『……力がない守護者で済まない。
こんな俺でも受け入れてくれてありがとう、リューク』


だったか。
きっとカイの事だ。
俺にしかわからないようにしてあるはず。
と言うことは……こんな俺でも、と言うのは転生の事だろうか?
受け入れるということは多分それだろうな。
あの時のカイは不安そうだったし、俺があっさりとした返事をしたところあからさまに安心した様子だったしな。
俺がカイを受け入れないはずないってのに……。
だとしたら転生か転生神がらみか。

守護者、と職業を口にしたところから考えると転生神の事だろうな。
となると、何だろうか?

うん?
職業?
職業と神?
となれば神からってやつか?
守護神からはアイギス、転生神からは……?
黙示録だ!!
黙示録を使った連絡、と言うことだろうか?
いや、黙示録は魔法に関する知識だけって言っていたか。
それも世界の記録から抜き出すような……だかなんだかって言っていたな。
世界のつながりを……だっけか?
ならば世界に関する魔法を使った連絡、ということか?


うん?
繋がり?
『俺とお前の間には誓いがある限り、決して変わることはない繋がりがある』
とも言っていた。

そうか、繋がりだ。
俺とカイとの繋がり……。
それがカイとの連絡方法なんだ。

確かに、繋がりを意識すればなんとなく違和感がある気がする。
……だが、これはどうすればいいんだ?
話しかければいいのか?

まぁ、あとで一人になった時だな。
俺はまだ、全員を信用したわけじゃないしな。
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