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本編
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しおりを挟むそんな道中で、私とアルは精神的疲労が溜まっていましたが、無事、エリンスフィールへと到着しました。
お爺様とお祖母様の住む屋敷まで送り届けて貰うと、私とアリスはお土産を屋敷の者達へと配り始めます。
お土産として買ってきたものは、使用人達にはエリンスフィールにはない、食用バラを使用したクッキーです。
お祖母様には、紅茶と薔薇の花を模した角砂糖です。
お爺様には、疲労回復の効果があるお茶と薔薇で香り付けをしてあるお酒です。
お祖父様はあれでもかなりの酒好きですから丁度いいと思ったのです。
「これは、酒か!
ありがとう、エリス」
「ありがとうございます、エリス。
わざわざ私達の分まで用意しなくても良かったのですよ?」
お爺様は嬉しそうに、お祖母様は申し訳なさそうな表情を、浮かべ受け取りました。
「お爺様とお祖母様にはお世話になっていますから。
このくらいはさせてください。
お土産を選ぶのも楽しいですから。
それとも、気に入られなかったでしょうか?」
お祖母様の好みはあまりよく分かりませんでしたから無難なものにしてしまったのです。
なので、気に入られなかった、ということも考えられます。
だとするのならば申し訳ありませんね。
ハーネスにその辺の情報を集めて貰うべきだったでしょうか?
あの時は公爵方がアポ無しで訪れる、などということもありそのようなことを考える時間が無かったのです。
「そんなことはありません。
可愛い孫娘が選んだものですもの。
気に入らない、なんて言うことはありませんよ。
ですが、向こうでは大変だったようですからね。
心配していたのですよ」
先程の表情を浮かべた理由、それはお祖母様の優しさからだったようですね。
気に入られなかったのかもしれない、と思ったのは杞憂だったようですね。
ですが、まだお祖母様やお爺様には報告していないはずですが。
いえ、あのお祖母様ですし、独自の情報網を持っていてもおかしくはありませんね。
お祖母様は、エリンスフィールの王族でしたから。
「ご心配をお掛けしてしまい申し訳ありません。
ですが、その件でしたら問題なく解決致しました」
「ええ、そう聞いています。
よく頑張りましたね、エリス。
婚約についての話も聞いていますよ。
殿下ならば、問題はないでしょう」
お祖母様に婚約についての話まで知られている、そう思うと少々恥ずかしくなりますね。
ですが、まだ正式な決定ではないので安心は出来ません。
……安心出来ない?
何が、でしょうか。
安心もなにも、私は別にアルのことを好き、という訳では無いのですから関係ないはずです。
にも関わらず、安心出来ない?
それでは、それではまるで私がアルのことを好きなようではありませんか。
「エリス?
疲れているのだろう、部屋で休みなさい」
「はい、ありがとうございますお爺様。
失礼致します」
モヤモヤとした気持ちを抱えながら、私は部屋へと戻りました。
そして、部屋に着き、お茶を入れると、アリスを呼び問いかけました。
「アリス、私はアルのことが好き、なのでしょうか?」
「え?
エ、エリス様、な、何を仰っているのですか?」
アリスの表情には、滅多に見せない戸惑いの色が見えます。
変なことを聞いてしまいましたね。
「分からないのです。
私は、確かにアルに好意を抱いています。
ですが、それが親愛なのか、異性としてなのかが、どうしても分からないのです」
この想いは、友人としてなのでしょうか。
それとも、異性に対しての『好き』なのでしょうか。
私には、それが分からないのです。
「いえ、変なことを聞いてしまいすいません。
少し、疲れているようですから休みます」
私は、困り果てるアリスにそう告げると、少し移動し、窓の外を眺めました。
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