俺の運命の相手が多すぎて困ってます

みつみつ

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第1章 物語の始まりは突然に

転生先を決めましょう

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 紅茶の香りと、甘い菓子の匂い。目の前には美しい神が二人。俺の新しい人生の始まりをくれる二人。その一人のアホ…、もとい女神様のフィーネがテーブル越しにずいっと顔を伸ばし俺に問いかけてきた。

「先輩から、どこまで聞きましたか?ってか本当に少しでも説明されてました???」

 『ぶっ』っとお茶を吹き出しそうになったのは俺ではない。女神の隣のもう一人の男神のアストだ。咳き込みながら怒った顔で口を開こうする前に俺がフィーネの問いに答えた。

「ご安心下さい。ちゃんと、説明は受けました。その点は、やはりアスト様は凄いですね。仕事がお出来になるようで。大変わかりやすく教えて頂きましたよ。」

 そう、要はイチャイチャしたけど、アストはお前と違ってアホじゃないから、ちゃんと説明する事はしたぞ!っていう嫌味。これでもかっ!てほどの笑顔で毒づいてやった。これくらい言ったって許されるだろう。
 なんせ、突然死んだかと思ったら、真っ暗なとこに連れてこられて、どくどく血を流したまま放置された挙句、やっと出てきたと思ったらアホ女神で、放置されたままただ横でパニクッて説明もろくに出来なかった奴なんて。嫌味の一つでも言いたくなるだろろ?
 あれ?俺ってこんなに熱くなるタイプじゃないんだが…、流石にショックなことが多すぎて、実は少し壊れてんのかも知れないな。

 アストを見ると、頭の中覗いたか、顔色読んだのかは分からないが、少し沈んだ顔になっていた。

(違うぞ。壊れずに済んだのはアストお前のお陰だからな…。)

 あのまま、フィーネだけで、ろくに話も進まないままいたら、ブチ切れて何してたか分かったもんじゃない。あの時点で普段は絶対に女性には手を上げないっていう自らのルールをすでに破っている。俺が爆発しそうになっていたあの時、アストが出てきてフィーネを追いやってくれなかったら今俺はここにいない気がする。アストのフォローでどれだけ助かったか…。本当に感謝しかない。

(だから、お前は笑っててくれよ?な、アスト。)

 もう一度、アストの表情を見れば少しほっとした顔でこちらを見ていた。あぁ、伝わったんだな。良かった。
 もう一人の神であるフィーネはフリーズしていた。ん?なんでだ???まぁいい。てか、進行しろよな!

「それで?フィーネ様。俺は元の場所ではなく、違う世界で生きなければならないと言うことですが、実際はこれからどうすればいいのでしょうか?」

「うえッ???あ、はい。そ、そうですね。先輩からちゃんと説明されてるようでフィーネは助かりました!で、では、今後生きていくうえで伊吹さんはどうしたいのか、どう暮らしていきたいのかご希望を伺いまして、出来るだけその希望に添えるように頑張りますのでよろしくお願いしますね。」

 いきなりのテンパり様…。全く少しは成長してくれよ。じゃないといつまでもアストにおんぶにだっこじゃないか。暇なんてなければ俺に会いに来てくれなくなるそれ…。それは阻止だ。

「ごほんっ!まずは、伊吹さんがこれから生きていくことになる世界についてです。何かご希望はありますか?」

「希望ですか?希望、きぼうぅ…。うーん。。」

 俺が悩みだすと、すかさずフィーネ…、ではなくアストがフォローしてくれる。

「伊吹殿、例えばの話だが、今までいた地球よりさらに化学が進んでいる世界やファンタジーと呼ばれる部類の世界にいくか。あとは、全く文明がない所で一から生活していくとか。なんでもいい思ったことを話しくれれば。それに見合った世界を僕たちが選別し、選択する。」

「なるほど…。それが希望の世界ってことですね。うーん…。せっかくだし今までいた世界にはなかった…、例えば剣や魔法の世界ってやつ?とかありますか?そういうのには憧れはありますね。それから、沢山の色んな人たちと会ってみたいです。あぁ、その対人関係で、自分が信頼してたり好感を持てる人がいたとして、そういう人から裏切られる事がないような世界…ってこれは我儘ですかね?」

 今まで生きてきた世界は、裏切られたり、利用されたりが当たり前の世界で自分もそれが普通だと思って生きてきた。ましてや、これから行く世界だっていろんな考えを持った同士が付き合うんだ。全く裏切りやいざこざがないって方がおかしいだろう。でも、だからこそ、一人だけでいいから自分を裏切らないでいてくれる存在がいたらどれだけの幸福か。伊吹はそれを短い時間ではあったがアストのそばココで嫌って程身に染みていた。

「わっかりましたぁ。剣と魔法で色んな種族がいて裏切らない人がいる世界ですね…。具体的に言ってくれてたすかりますよ。伊吹さん!」

「ええ。あの、そんなのありますか?」

 いちいち、テンションの高い女神は手を『パンッ』とならすと、不思議な紙?羊皮紙???みたいなのが現れてそれににさらさらと何かを記入していく。一応、こいつも神だったのかと思えた瞬間だった。

 しかし、アストはそれを隣で確認しながら少し眉をひそめた。何か用紙が間違ってか?それとも他の不安な点でもあるのだろうか?
 アストと目を合わせると『大丈夫だ』と口パクで教えてくれた。本当に大丈夫か?心配になってもう一度確認しようとしたが、アストは首を小さく振ってそれを止めた。

「はい!完璧に一致とはいかないかもですが、ご希望に近い世界はありました。えっと男女比は6:4くらいで男性が多い世界ですが、まぁ伊吹さんは平気ですよね。男×女の恋愛・結婚などが主流ではありますが、男×男も同じように偏見などなくできます。」

「へぇ、そんな世界もあるんだな。」

「あとは、そこは、剣と魔法の世界で国同士などでそこそこいさかいはありますが、地球程馬鹿みたいに戦争して世界では今の所はないです。種族は色々。地球でも本やゲーム?で知られている種族がいると思って頂いて結構です。そして、最後の裏切らないというやつもクリアしてますので!ここに決定!!でもいいでしょうか?」

「あ、あの…。フィーネ様がその世界は担当なのですか?」

「はい!フィーネが担当地区なのです。ですが、まだまだ未熟なので先輩が補佐役で付いてもらってます。ですよね?先輩。」

「そうですね。補佐役として一部という形ではありますが豊穣の神として祀られています。あくまで、主神はこちらのフィーネになりますが…。」

 なるほど、そこの世界では立場が逆で、決定権はフィーネにあるってことか。それで眉をひそめてたのか?でも一部でもアストが関われるから平気だってことなんだろうか?なんかちょっと腑に落ちないが、止めはしないという事はアストも世界決定このけんに関しては問題ないと判断したという事だろう。

「大丈夫ですかぁ?伊吹さん???」

「え?えぇ、そうですね。進めて下さい。」

ここで駄々をこねてもしょうがない…か。さっきのアストの表情が頭にこびりついて離れない。

「次はですねぇ、ギフトの件です!通常より数も多く、内容も特別なものをお付けすることができそうですよぉ。」

「そんな大盤振る舞いで平気なんですか?」

「安心して下さい。こちらも、せっかく伊吹殿を送ったのに力足らずですぐに終わってしまった。という訳にはいかないので、その点も含めて通常より特別で数も多いという事なのです。」

フィーネの説明に、補足していくアスト。話はサクサク進んでいく。
 
「それで!何かご希望はございますかぁ?」

「うーん、魔法は使ってみたいですね。生活程度ではなく出来たら冒険できるくらいの。あと、ギフトとは違うかもしれませんが記憶はそのままで、生まれて最初からではなくある程度若返せるってのはだめですか?…。記憶は持って行きたいので、そうすると赤ちゃんからスタートはちょっとキツイかと…。それで、俺は小さいころから武術を色々やってましてそのスキル?もそのまま持って行きたいんですけど…」

「えっ、えっとですねぇ…。あう~、それってできますかね?先輩?…先輩聞いてますかぁ?」

「はい?あ、すみません。少し考え事をしていました。それにしても、フィーネ、これはお前の案件ですよ?少しは自分で考えることも勉強です。まったく…そうですね。本来なら記憶を消し生まれて一からというのが通例です。体と記憶をそのままというのは基本ありません。それは、普通に自身の運命により亡くなった方の魂を選んだ場合です。ですので今回伊吹殿の場合はという事で認めても平気かと思います。ですので、伊吹殿の場合は生前のデーターを元に新しい世界用に器を作り魂をそこに入れる転生という形になるかと思います。」

 なんだ?さっきからアストの様子が変じゃないか?やっぱりさっきの世界決めからだよな。なんかちょっとぼーっとしてるし。アスト、本当に大丈夫か?そして、本当に大丈夫かアホ女神…。

「なるほどぉ、勉強になります先輩!では武術のスキルですね…。って伊吹さんのデーター見せてもらってますが、実はすっごくお強いんじゃないですかぁぁ?なんですかこの数値。地球から新しい世界への数値に変換したら特に私たちがつけなくても結構お強いですよ!!これで、魔法まで欲しいなんて無双できちゃいそうですね…。って世界征服とかしないですよね???」

「数値?そんなの出てるんですか?他の世界に行くための基準合わせの為ですかね?ってそんな事する訳ないし。そもそも興味ありません。今まで、ガツガツ忙しく生きていたので、今度はのんびり生きたいものですね。そんな事したら安住の生活なんて送れないじゃないですか?」

「なるほど…。安住の生活という事は需給自足ってことですね…。そうすると魔法はこの辺りをつけときましょうか?これならきっと今の記憶を持ったままの伊吹さんでも使いやすいと思います。使用する際の魔力量も少し多めにっとぉお、忘れてましたよ大事なの!あとは、『幸運』!これですね。これがあればもう同じことを繰り返すことはない!!」

 いや、それってお前次第だろうよ…。同じことを思ったのかアストも隣で青筋立ててるし、その後、フィーネが痛がった顔をしたからなんかしたんだろう。もっとやってやれ!

 とりあえず、基本設定ってやつが決まった模様。しかし、本当に、無事に転生ってやつができるかまたまだ不安なのは俺だけでしょうか?…。

 そして、もうすぐアストとのお別れの時間も迫っているようです…。
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