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第2章 異世界生活はじめました。

目が覚めたら草の上でした

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ー「…ぉい、…ぅず…。」

    誰だ。ってか俺は眠い…。なんでこんなに体が怠いんだ?…あぁ、そっか、アストとイチャイチャ…ってそれは終わって、話し聞いて…。あぁ。ぁんの、アホ女神のせいか。あんにゃろう、肝心なところ説明しなかっただろう。体中ボロボロだっつうの!…ってか起きたくない。起きたくないが誰かがさっきからぎゃーぎゃーと呼んでるし…。はぁ、気合入れますか…!!

「おい、ぼうず!ぼうす!!はよぅ、起きんと日が暮れるぞ!」

目を開けるとそこは草?なんで俺、草の上になんて寝てるんだ?…そういえば、どこに飛ばされるとか俺聞いてないぞ…。あいつ!やっぱり一度締めてやる!!

『ガバッ』

「おお!やっと起きたか!!あと少しで街には入れるというのにこんなところで眠りこけおって。不用心なやつじゃなぁ。

「え?街?っと。わざわざ起こしていただき感謝します。ちょっと疲れてしまって一休みのつもりが、つい寝入ってしまったようです。」
 
 体のあちこちに付いた草を払いながら、やっとのことで起き上がると、年配の男性が心配そうにこちらの様子をうかがっていた。

「やっぱり、そうか。そんな身ぎれいな服着てるくせにこんなところで寝てるから、物取りに襲われた後かと思ったが。ケガはないみたいだし、大丈夫そうだな。じゃあ、わしは行くぞ。ぁあ、もし、街へきて腹が減ってたらわしの所【閑古鳥かんこどり】に来い。少しくらいはサービスしてやる。」

 おいおい、じいさん。閑古鳥って働く気ないだろう、それ。

 …って、なぁ、マジで俺やばくないか?あのアホのせいで何もわからないままここにいる状態だぞ。たしか、ココ剣と魔法の世界なんだよな。俺がいた世界の常識は通用しなくって、剣はまぁ何とかなるとしても魔法なんて使われたら一発でご臨終じゃないか?ってことはなんも知らない俺って要は真っ裸でうろうろしてるようなもんだろう?っだー!ありえん!
 
「おい、坊主。急に黙っとると思ったら百面相しおって、やっぱりどっか悪いのか?それともなんか盗まれたのか、ちゃんと金子やら身分証は持ってるんじゃろうな?」

「ぁぁ、すいません。寝すぎたせいか、ちょっと頭の整理ができてなくて…。」

 そうだ、【かね】だよ。ぱっと見だと着の身着のままこっち来た感じだかけど、確かアストが無限収納インベントリ?付きのバックくれるって言ってたよな?さすがにそれは持たせ…ってねー!なにもねーー!あるのはアストのくれた服と紐飾りのみ…。
 このおっさん、【身分証】とか言ったよな?マイナンバー的な?なくしたら困りマス的な?ッてか最初っから持ってない俺はどうしたらいいんでしょうか⁈絶対、なんかあっただろう俺がこっちに飛ばされてから…。そしてその原因は…。本当に恨むぞあのアホ!

「あのアホに会ったら、女だからって絶対に容赦しない。覚悟しとけよ…。」

「ぼ、坊主、本当に大丈夫か???ぶつぶつ怖いぞ?」

「あぁ、申し訳ありません。ちょっと大事なことに気が付いてしまって…。焦ってしまっていました。」

「おい、そりゃあ、大丈夫なのか?」

「いえ、ちょっと大丈夫じゃないかもですね…。どうやら、寝ている間に金子と身分証を取られてしまったようで…。」

 おっさんすまん。こんなにスラスラと嘘八百並べて罪悪感でしかない。なんか、頭痛くなってきたわ。

「なんじゃとーー!お前さん、そりゃあ、一大事じゃないか!とりあえず、街までいって門兵に説明せなんだ。わしも一緒にいってやるから来い!!」

「え?よろしいんですか?本当に有難うございます。もし、金子が戻ってきたら、ぜひご主人のお店に伺わせてもらいますね。」

 本当にありがたい。普通なら、こんな所で寝てる怪しいやつなんて無視するだろうに…。とりあえずは街まで行けそうだ。ラッキーだな。…あ、そういえばアホが付けくれたんだっけ?たしか【幸運】ラッキー。それのお陰か?いや、なんかあいつに感謝しなくちゃいけなくなりそうで認めたくねぇ…。

とにかく、このじいさんと一緒に街に行くまでに、俺自身の設定とか考えとかないと怪しまれるよな。ってこの世界の事分かんないと無理くさくね?
 ハァ…。じいさんには申し訳ないけど、情報を少しでも聞き出してなんとか作るしかないよな。情報っていえば…あれ?俺、すっげー大事なこと忘れてる気がする…。こういう事にならない様にってアストが言ってたじゃないか。そう…。

「サポート機能!!」

「のわっ!なんじゃ!急にでっかい声出しおってからに。びっくりしたじゃろうが!」

「あ、ははは…。すいません。ちょっと気が動転してるみたいです。

「まぁ、大事なもん摺られたんじゃからそりゃそうだろうよ…。本当に大丈夫か?」

「はい。なんとか。とりあえず、これからどうするか考えるためにご主人に色々聞きながら案内していただいてもよろしいでしょうか?」

「ああ、遠慮なく聞け。分かる事なら何でもおしえてやるさ。…ところで、そのかしこまった話し方は何とかならんか?わしゃ、貴族様でもないからそんなにへりくだった話し方せんでも大丈夫じゃぞ。むしろ、普通にしゃべろ。そんな話し方されると鳥肌が立つわい。」

 じいさんは両手を交差して腕をさするようなしぐさをした。本当に嫌がってるみたいなので、少し崩した話し方にする。

「じゃあ、遠慮なく。でも、年上の方にいきなり崩した話し方は苦手なのでこれくらいで勘弁してください。」

「まぁ、確かにそうじゃな。徐々にでええから戻してくれ。さて、日が暮れたら大変だ!そろそろ行くぞ!」

「はい。よろしくお願いします。」

 街までどのくらいかは分からないが、できるだけ多くの情報を得ないと気合を入れる。サポート機能がないとなると後は本当に自分次第だ。

(多分、今頃アスト焦ってんだろうなぁ。まぁ俺も焦ってるけど…。ってかあのアホ生きてるかな…。アストの事だからえげつない事してそうだからなぁ。…まぁ、どうでもいい。それより俺自身の事心配しとこ。)



 ところかわって、話は伊吹が新しい世界に旅立った直後に戻ります…。何故かってそれはですね…。

「ふふふ、ちょっとした意趣返しです。まぁ、甘んじて受けておいてください。お元気で、伊吹さん・・・。」

 伊吹が旅立ち、光が消える瞬間に聞こえてきた声にほくそ笑むと、フィーネはやっと大仕事が終わって恨みを少し張らせたと、意気揚々と後は提出するだけの書類に念のためもう一度確認のために目を通した。
 念のための確認だったはずだったのだが…

「あがぁぁッ!ひー!!((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」

 やば。こ、これはいけない!!フィーネさんたらうっかりさんなんだからぁ。え?何がいけないって?そりゃぁ、あはははhhh…。そりゃぁ言えませんぜ旦那。口が裂けても吐きませんよ。へへへ…。

「ほぉー、どうしたのですか?そんなに慌てて…。何が言えないのでしょうか?フィーネ?」

 のぉぉぉ!いつからそこに居ましたか大魔王様!おぉふ、バックから黒い煙出てますぜ。さっきまで恋する乙女の如く目を潤ませて、伊吹さんを見送っていた方と同一人物とは思えないくらいのブラックですよ!!

「ハァ…。いろいろと思うところはありますが、その、モノローグを全部声に出して言う癖は治したほうがいいですよ…。こっちも疲れますから。
で?今度は何をやらかしたのですかフィーネ?」

 ブラックアスト先輩はフィーネの背後を取るのが上手でやんすねぇ。全く気が付きませんでしたよぉ~!!ってまたやってもうてるのかい!フィーネのバカバカ!

「やだなぁ、先輩。サンだなんてぇ。恥ずかしいですよぉ。恥ずかしいといえばまた口に出てましたか⁈うぐっ。ガンバッテナオシマス。では、そのためにフィーネは修行の旅に出ます!ではこれで。さらば!!シュタッ(''◇'')ゞ」

「『ガシッ!』フィーネさん?この僕に逃げられるとお思いですか??思わないですよねぇ???さぁ、吐きましょうね?ちゃんと上司に『ホウ・レン・ソウ』出来ますよね???」

 あ、頭が割れます!そんな細腕のどこからお力が!あっ、もしや先ほどの伊吹さんの痛がりま見てました???チョットした八つ当たり…ぎゃーーー!いてぇげすよ!

「吐きます!!吐きますからあ、頭を解放してくださいぃぃ。流石に割れたら大変ですぅぅ。」

 必死に懇願したおかげで先輩から解放されました。えーん、絶対どっかへこんだ!

「ぐずぐず…。えぇ、とですね。今、送りました伊吹さんの書類なのですがちょぉぉっとありまして、あ、で、でもすぐになんかおきるぅとかじゃ、ないと思うんでぇ。てへ。」

 恐る恐る先輩の前に書類を差し出すと、速攻で奪われました。もう、乱暴なんだからぁん。…って余裕物故居てる場合じゃないみたいです。先輩の手が段々プルプルと震えております。顔色もなんだか悪いです。終いには、先輩お得意の雷がパチパチと音を立てて髪の毛が静電気で立ってますよぉ~!!

 『ちーん』はい。私は死にました。皆様短い間でしたが有難うございました。

「フィーネ…。なんで、こんなことに?私が確認した時はこんな内容ではなかったはずです。・・・どうしてこうなったか説明できますよね?」

「ひっ、はぃ。えっと、あのですね。伊吹さんが先輩と二人になりたいといわれて、私一人ちょっと席を外したじゃないですかぁ…。あの時にちょこっと…。アハっ。」

「なるほど、ちょこっと、数値をいじくって通常よりもはるかに高い数値にしたり?」

「そうなんですよ!すぐ死んじゃったらやばいと思いまして、もうちょっとつよくしとこーっとって。一度けして書き直したらなんか桁間違っちゃったみたいで。きゃは。」

「そうですか。死んでしまわれたら困りますものね。それで、なんで魔法の種類が色々あったはずなのに書かれてないのでしょうか?あと、この『超』幸運ってなんですか???」

 ひーーーー!!!もう、バックで雷鳴がとどろいてますぅぅぅ。

「あ、あああああの、ま、魔法はですね。えっと、そこにい、桁直す時にインクを垂らしてしまいまして…、一度全部消して書き直すのがメンドクサっ、ええと大変だったのでまとめてこれなら伊吹さんの好きに出来るかと思いまして。あと、幸運だけだとおもしろくなぃ…、ゲフン、ゲフン。少々足りないと困るかと思って、せ、先輩だって伊吹さんには長生きしてもらいたいですよね?ね?」

「それから、これは間違いだと思いたいのですが、フィーネ、伊吹殿にお渡しするはずだった無限収納インベントリ項目はどこへ行きましたか?全く見当たらないのですが…、まさか消した後に再度書き直すのを忘れたとか言わないですよね…?」

「えぇぇ!マジですか⁈いや~、遅くなっても先輩に怒られるかなぁなんて思って慌てて書き直したものでぇ…。決して、いまお、お二人がどんな風にイチャイチャしてるかなぁなんて想像してたって事はな、ナイデスよ~。…そうなりますと…も、もしかして、伊吹さん無一文で放り投げちゃったってやつですかね…。それに、先輩がせっかく設定したサポート機能も…、あは、あはははh…。」

「なるほど、そういう理由ワケでしたか。分かりました。私は、とりあえずこれをもって上に報告に行ってまいります。」

「あれ?え?いいんですか???」

 ほっと、しました。どうやら大丈夫の様で…

「ええ。だって、フィーネは動けなくなりますから。(ニコッ)」

「はえ?っっっっうぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 
 やっぱり、大丈夫じゃなかったぁぁぁっっっ。
 
 ずどーーーん!!という地響きと共にあたりはカタカタと揺れた。黒い煙の中と共に現れたフィーネは炭になって倒れていた。

(伊吹…。やはりお前の嫌な予感は的中したみたいだ。本当に申し訳ない。)

 アストは伊吹に今回の件を謝罪するべく、自分より上のものに掛け合って、少しでも早く下界に降りれるように許可をもらいに行くのであった。
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