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デビュー戦は撤退戦
先に帝都に選ばれたのは、〇〇でした
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レッドはノートを確認する。前にもいったかも知れないが、実際このノートにちゃんと自分のことを書くのはイエロー、レッド、ホワイトのみだ。クロはあまり書かないし、グリーンはなんて書いてあるかわからない。(難しい事柄を説明するのはグリーンにとってとても難しい...らしい)ピンクにはそもそもどだい無理な話である。レッド達がピンクという人格を認知できたのに一番時間がかかったのもそのためだ。
そんなノートに、一風変わった絵?のようなものが描かれている。全くと言って良いほどよくわからない字と、黒い男?のようなものが四つん這いになっている絵をレッドは確認した。これは一体誰が描いているのだろう。
この世界に入ってから、こんなまるで落書きのような絵が増えた気がする。グリーンが絵の練習でもしているのかな?グリーン絵の才能全くないんだから、変なことにノート使わないで欲しいよね、まぁピンクとかかも知れないけどね。
ーーーー実はこれ、ピンクが夢で見たことを忘れる前にノートに書いておいた落書きなのだが、グリーン達にそれを知る由はない。ピンクですら、前見た夢のことはもう忘れてしまっているだろうーーー。
第2陣の将軍クラスの人たちだけがが入ることができるテントに、レッドはいた。一応神器使いだ。実力を期待されてのことだろう。レッドにはあまり聞こえていないが、帝都についてからの予定なのが事細かく指示されている。レッドには、ルーカンから、自由にやっていいと既に言われている。反乱を納めた実力に期待しとくぜ!とかプレッシャー与えられたけどね...ごめんそれクロなんだよね、僕はムリです。
まぁ、自由にやってくれ、などと言われることについては当然だろう、得体の知れない奴に大事なところは任せられない、そーゆうことなのである。実際王都にいたときなんか貴族達の一部から、アイツは魔王の手先だ、なんて言われたこともあるからね。なんでそーなだちゃうのかなぁ?その時教会に神の子?的なものに認定されてことなきを得た......とかなんとかイエローが言っていた気がする。またなんかしたでしょ、イエロー...モウヤメテホントニ。
ルーカン以下将軍達が戦争前で殺気だっているテントに、兵士が1人駆け込んで来た。
『報告します、第1軍の兵が帝都に到着しました。帝都の中にいる魔物達の殲滅に向かっている様子です!!』
レッド達はテントから飛び出すと、遠くに見える帝都を見る。帝都の空には、空を飛ぶ魔獣が多数点在している。帝都の正門前には、黒い大軍が帝都前の地上を埋め尽くしていた。
『急いで出発するぞ!』
ルーカンの檄が飛び、第2陣の軍の面々が動き出す。
そこにレッドの姿はない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
帝都は陥落の危機に陥らされていた。
正門の門前には、魔王軍がたむろし、その数は増え続けている。空からはガーゴイルが飛び回り、石などを弓が届かない範囲から投げつけてくる。おかげで栄えていた帝都の街は瓦礫の山へと変貌していた。
帝国の皇女、マナは、看護兵に混じって負傷兵の治療をしていた。ここは教会なのだが、何故かガーゴイル達は教会だけは攻撃してこない。それを利用して、負傷兵達の簡易的だが治療場所となっているのである。
しかし怪我人は増え続けている。門の警護をしているAランク冒険者の中からも怪我人が出てきた。回復薬も段々と間に合わなくなって行く。戦えない一般市民は、既に王国に向かって出発しているものが多数いるが、帝都を守りたいとここに残り、戦おうとしてくれる民達もいた。
しかし魔王軍の猛攻は凄まじく、民達で構成された戦い慣れない義勇軍は怪我人を増して行くばかりである。
そして、ついに教会にも魔族の攻撃が来てしまった。岩のようなものが天井から投げられたのだろう。教会の屋根は崩壊し、たった一撃の岩の投擲で、教会自体も既に崩れ落ちそうになっていた。
黒い醜悪な顔をしたガーゴイル3体が教会の天井から、ゆっくりと降り立つ、手先からは爪が伸び、大きな翼を広げ怪我人を威嚇する。
『全く、ペリモーンズ様も甘い方だ、教会に弱ったもの達がせっかく集まってくれているのだ。一気に皆殺しにすればいいではないか。治療要員を先に殺すのは戦いの基本、戦いの基本すら理解できていない奴を頭にするとは、我らの一族も落ちたものよ』
そう言うとガーゴイルは教会にいた兵士達を殺しにくる。教会にいた兵士達は、時を待たずに倒されていった。マナ達は怪我人を少しでも連れて教会から逃げようとする。しかしその行く手を、ガーゴイルの一体が阻んだ。怪我人達を庇い、次々と兵士達が蹂躙されて行く。
ガーゴイルのランクは高い、一体でもAランクの冒険者が必要になる。そんなガーゴイルが4体いるのだ。その圧倒的な力に、とうとう怪我をした兵士達までもが戦い始めるが、それをも物ともせずガーゴイルは無双していく。
とうとう教会にいた兵士達は1人も動けなくされ、街の人にまでガーゴイルの牙が刺さる。既にあたりは地獄絵図と化していた。既にマナ自身もガーゴイル達に囲まれている。マナは落ちていた剣を構えた、剣術はあまり得意ではないが、そんなことも言ってられない。最後まで抵抗する、そう陛下が、父が言っていたのだ。皇族である自分がそれを違えるわけにはいかない。そう思い、彼女はガーゴイルに向かっていく。ガーゴイルの爪と剣がぶつかり、手に強い衝撃を受け、エマは入り口を越えて外に向かって吹っ飛ぶ、とっさに受け身を取ろうとしたのだが、それを誰かに受け止めてもらった。
『帝都を栄させるんじゃなかったのか?帝都はボロボロだな、アロンの方がまだいい家を建てるぞ。』
マナは笑いながらそれに答える。
『いや、ちょっと大きな害虫に悩まされていてね...ちょっと手伝ってくれ、完璧王子』
『そのあだ名やめてくれないか...自分が完璧だと思ったことは一度もないのでな、』
そう言いながらマナを下ろし、ガーゴイル達と対峙したのは、一軍指揮、ベリアス王子であった。マナを庇うように立ち、自分の武器を構える。持っているのは2本の双槍。帝国の神器『ファシキリン』と、勇者の聖槍『メリオン』である。
『私がこれを持つに値するのか、試させてもらおう。』
ガーゴイルと、1人の王子の戦いが始まろうとしていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
弟にしてやられた。
ここで手柄を挙げても、私は恐らく弟には勝てないだろう。ライトが王になる。父の顔を見ればそんなことはすぐに理解できた。血筋のせいで負けたわけではない。努力で負けたわけではない。私は1人だった、だから負けたのだ。ただそれだけのことを理解するのに、どれほどの時間を使ってしまったのだろう。
私は終わりを求めるようになった。この戦いで華々しく戦って散る。そんな結末でも悪くないと、そう思っていたのだ。妻はほんの数ヶ月前に死んだ。子供はいない。彼に失うものは何もなかった。
そんな私の前に、あの双槍が姿を現した。古き神器と、もう一本、美しい双槍である。それが私の前に現れ、私がそれを握ると眩い光を出しながら少しだけ長さが短くなった。槍の心得は勿論ある。
まだ戦えと言うのか、この武器は、私の運命は。ベリアスは苦笑する。死のうと思っていた命だ、せめて次の世代のために振るうのみかーー
まだ彼は迷っている。だがそれは当然のことだ。悩みのない人間など存在しない、いつも迷いながら進んでいく。人とはそう言うものなのだから。
そして、西門から中へ入る。
アロンには神器でガーゴイルを撃ち落としてもらうことに従事してもらう。その他の兵士は帝国の兵士と交代、およびけが人の治療だ。そしてベリアスは皇帝に謁見するために城へ向かう。その時にマナと再会したのである。
相対するのは、4対のガーゴイル。先に1体のガーゴイルがこちらに向かってくる。他の3体はこちらを見てもいない、完全に今までの勝ちで慢心していた。ベリアルはその一体の爪払いを完全にかわして、その首筋に槍を突きたてた。
首筋を突き立てられたガーゴイルは、一瞬抵抗のそぶりを見せたが、体が青紫色に変色し、息絶えた。一撃でガーゴイルを倒したという衝撃に、ベリアルの兵士達から歓声があがる。ガーゴイル達は今度は2体同時にかかってくる。ガーゴイルの爪と、ベリアルの神器がぶつかる。そしてそのまま離れたのだが、その時後ろにいたガーゴイルが異変に気づいた。
『お前...爪の色がおかしいぞ...』
ベリアルの神器とぶつかったガーゴイルの爪はどんどん青紫色に変色していった。やむなくガーゴイルは自ら右腕を切り、後ろに後退した。これが帝国にあり、今はベリアルのものとなっている神器ファシキリンの能力、毒付与である。この槍の穂先に触れた生物は例外なく毒に侵され、即死してしまう。
無論、もう1つの槍にも能力はある。
ベリアスが負傷した兵達に聖槍を向けると、瀕死だった兵達が次々と癒されていく。ポーションのはるか上の治癒能力である。これが勇者召喚にて、勇者が使うことができたはずだった聖槍メリオンの力である。敵を殺し、味方を癒す、攻守一体の双槍がここに誕生したのである。ベリアスにはまだ物足りないと感じるところはあるのだが。
ガーゴイル2体が再び襲いかかってくるも、ベリアスは2本の槍を駆使し、それを倒した。
残りのガーゴイルは一体、しかしそのガーゴイルは勝ち目がないと分かると、壊した天井から逃げようとする。逃すまいと、ベリアスがファシキリンを投げようとした瞬間、天井から飛び立とうとしたガーゴイルは一瞬で肉片と化してしまった。
『ふむ、命令違反者が現れてしまうとは...魔王様にどう申し開きをすればいいのやら...しかも教会...お許しを......』
そう言いながら現れたのは、先程戦ったガーゴイルより2回りほど大きく、全身に鎧をつけたガーゴイルだった。いやこれをガーゴイルと言っていいものなのだろうか。鎧の隙間から出ている眼光はとても鋭く、ベリアス王子を射抜いていた。
『この場はひとまず引きましょう、王国軍が到着してしまったか...ひとまず報告をしなければなりませんね。それでは』
そう言うと鎧姿のガーゴイルは魔王軍の陣地へと飛び立ってしまった。他のガーゴイル達も、アロンに何匹か堕とされたあと、引き返して行った。
王国軍、帝国軍はこの勝利に湧き立つ、しかし籠城戦は始まったばかりなのだった。
そんなノートに、一風変わった絵?のようなものが描かれている。全くと言って良いほどよくわからない字と、黒い男?のようなものが四つん這いになっている絵をレッドは確認した。これは一体誰が描いているのだろう。
この世界に入ってから、こんなまるで落書きのような絵が増えた気がする。グリーンが絵の練習でもしているのかな?グリーン絵の才能全くないんだから、変なことにノート使わないで欲しいよね、まぁピンクとかかも知れないけどね。
ーーーー実はこれ、ピンクが夢で見たことを忘れる前にノートに書いておいた落書きなのだが、グリーン達にそれを知る由はない。ピンクですら、前見た夢のことはもう忘れてしまっているだろうーーー。
第2陣の将軍クラスの人たちだけがが入ることができるテントに、レッドはいた。一応神器使いだ。実力を期待されてのことだろう。レッドにはあまり聞こえていないが、帝都についてからの予定なのが事細かく指示されている。レッドには、ルーカンから、自由にやっていいと既に言われている。反乱を納めた実力に期待しとくぜ!とかプレッシャー与えられたけどね...ごめんそれクロなんだよね、僕はムリです。
まぁ、自由にやってくれ、などと言われることについては当然だろう、得体の知れない奴に大事なところは任せられない、そーゆうことなのである。実際王都にいたときなんか貴族達の一部から、アイツは魔王の手先だ、なんて言われたこともあるからね。なんでそーなだちゃうのかなぁ?その時教会に神の子?的なものに認定されてことなきを得た......とかなんとかイエローが言っていた気がする。またなんかしたでしょ、イエロー...モウヤメテホントニ。
ルーカン以下将軍達が戦争前で殺気だっているテントに、兵士が1人駆け込んで来た。
『報告します、第1軍の兵が帝都に到着しました。帝都の中にいる魔物達の殲滅に向かっている様子です!!』
レッド達はテントから飛び出すと、遠くに見える帝都を見る。帝都の空には、空を飛ぶ魔獣が多数点在している。帝都の正門前には、黒い大軍が帝都前の地上を埋め尽くしていた。
『急いで出発するぞ!』
ルーカンの檄が飛び、第2陣の軍の面々が動き出す。
そこにレッドの姿はない。
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正門の門前には、魔王軍がたむろし、その数は増え続けている。空からはガーゴイルが飛び回り、石などを弓が届かない範囲から投げつけてくる。おかげで栄えていた帝都の街は瓦礫の山へと変貌していた。
帝国の皇女、マナは、看護兵に混じって負傷兵の治療をしていた。ここは教会なのだが、何故かガーゴイル達は教会だけは攻撃してこない。それを利用して、負傷兵達の簡易的だが治療場所となっているのである。
しかし怪我人は増え続けている。門の警護をしているAランク冒険者の中からも怪我人が出てきた。回復薬も段々と間に合わなくなって行く。戦えない一般市民は、既に王国に向かって出発しているものが多数いるが、帝都を守りたいとここに残り、戦おうとしてくれる民達もいた。
しかし魔王軍の猛攻は凄まじく、民達で構成された戦い慣れない義勇軍は怪我人を増して行くばかりである。
そして、ついに教会にも魔族の攻撃が来てしまった。岩のようなものが天井から投げられたのだろう。教会の屋根は崩壊し、たった一撃の岩の投擲で、教会自体も既に崩れ落ちそうになっていた。
黒い醜悪な顔をしたガーゴイル3体が教会の天井から、ゆっくりと降り立つ、手先からは爪が伸び、大きな翼を広げ怪我人を威嚇する。
『全く、ペリモーンズ様も甘い方だ、教会に弱ったもの達がせっかく集まってくれているのだ。一気に皆殺しにすればいいではないか。治療要員を先に殺すのは戦いの基本、戦いの基本すら理解できていない奴を頭にするとは、我らの一族も落ちたものよ』
そう言うとガーゴイルは教会にいた兵士達を殺しにくる。教会にいた兵士達は、時を待たずに倒されていった。マナ達は怪我人を少しでも連れて教会から逃げようとする。しかしその行く手を、ガーゴイルの一体が阻んだ。怪我人達を庇い、次々と兵士達が蹂躙されて行く。
ガーゴイルのランクは高い、一体でもAランクの冒険者が必要になる。そんなガーゴイルが4体いるのだ。その圧倒的な力に、とうとう怪我をした兵士達までもが戦い始めるが、それをも物ともせずガーゴイルは無双していく。
とうとう教会にいた兵士達は1人も動けなくされ、街の人にまでガーゴイルの牙が刺さる。既にあたりは地獄絵図と化していた。既にマナ自身もガーゴイル達に囲まれている。マナは落ちていた剣を構えた、剣術はあまり得意ではないが、そんなことも言ってられない。最後まで抵抗する、そう陛下が、父が言っていたのだ。皇族である自分がそれを違えるわけにはいかない。そう思い、彼女はガーゴイルに向かっていく。ガーゴイルの爪と剣がぶつかり、手に強い衝撃を受け、エマは入り口を越えて外に向かって吹っ飛ぶ、とっさに受け身を取ろうとしたのだが、それを誰かに受け止めてもらった。
『帝都を栄させるんじゃなかったのか?帝都はボロボロだな、アロンの方がまだいい家を建てるぞ。』
マナは笑いながらそれに答える。
『いや、ちょっと大きな害虫に悩まされていてね...ちょっと手伝ってくれ、完璧王子』
『そのあだ名やめてくれないか...自分が完璧だと思ったことは一度もないのでな、』
そう言いながらマナを下ろし、ガーゴイル達と対峙したのは、一軍指揮、ベリアス王子であった。マナを庇うように立ち、自分の武器を構える。持っているのは2本の双槍。帝国の神器『ファシキリン』と、勇者の聖槍『メリオン』である。
『私がこれを持つに値するのか、試させてもらおう。』
ガーゴイルと、1人の王子の戦いが始まろうとしていた。
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弟にしてやられた。
ここで手柄を挙げても、私は恐らく弟には勝てないだろう。ライトが王になる。父の顔を見ればそんなことはすぐに理解できた。血筋のせいで負けたわけではない。努力で負けたわけではない。私は1人だった、だから負けたのだ。ただそれだけのことを理解するのに、どれほどの時間を使ってしまったのだろう。
私は終わりを求めるようになった。この戦いで華々しく戦って散る。そんな結末でも悪くないと、そう思っていたのだ。妻はほんの数ヶ月前に死んだ。子供はいない。彼に失うものは何もなかった。
そんな私の前に、あの双槍が姿を現した。古き神器と、もう一本、美しい双槍である。それが私の前に現れ、私がそれを握ると眩い光を出しながら少しだけ長さが短くなった。槍の心得は勿論ある。
まだ戦えと言うのか、この武器は、私の運命は。ベリアスは苦笑する。死のうと思っていた命だ、せめて次の世代のために振るうのみかーー
まだ彼は迷っている。だがそれは当然のことだ。悩みのない人間など存在しない、いつも迷いながら進んでいく。人とはそう言うものなのだから。
そして、西門から中へ入る。
アロンには神器でガーゴイルを撃ち落としてもらうことに従事してもらう。その他の兵士は帝国の兵士と交代、およびけが人の治療だ。そしてベリアスは皇帝に謁見するために城へ向かう。その時にマナと再会したのである。
相対するのは、4対のガーゴイル。先に1体のガーゴイルがこちらに向かってくる。他の3体はこちらを見てもいない、完全に今までの勝ちで慢心していた。ベリアルはその一体の爪払いを完全にかわして、その首筋に槍を突きたてた。
首筋を突き立てられたガーゴイルは、一瞬抵抗のそぶりを見せたが、体が青紫色に変色し、息絶えた。一撃でガーゴイルを倒したという衝撃に、ベリアルの兵士達から歓声があがる。ガーゴイル達は今度は2体同時にかかってくる。ガーゴイルの爪と、ベリアルの神器がぶつかる。そしてそのまま離れたのだが、その時後ろにいたガーゴイルが異変に気づいた。
『お前...爪の色がおかしいぞ...』
ベリアルの神器とぶつかったガーゴイルの爪はどんどん青紫色に変色していった。やむなくガーゴイルは自ら右腕を切り、後ろに後退した。これが帝国にあり、今はベリアルのものとなっている神器ファシキリンの能力、毒付与である。この槍の穂先に触れた生物は例外なく毒に侵され、即死してしまう。
無論、もう1つの槍にも能力はある。
ベリアスが負傷した兵達に聖槍を向けると、瀕死だった兵達が次々と癒されていく。ポーションのはるか上の治癒能力である。これが勇者召喚にて、勇者が使うことができたはずだった聖槍メリオンの力である。敵を殺し、味方を癒す、攻守一体の双槍がここに誕生したのである。ベリアスにはまだ物足りないと感じるところはあるのだが。
ガーゴイル2体が再び襲いかかってくるも、ベリアスは2本の槍を駆使し、それを倒した。
残りのガーゴイルは一体、しかしそのガーゴイルは勝ち目がないと分かると、壊した天井から逃げようとする。逃すまいと、ベリアスがファシキリンを投げようとした瞬間、天井から飛び立とうとしたガーゴイルは一瞬で肉片と化してしまった。
『ふむ、命令違反者が現れてしまうとは...魔王様にどう申し開きをすればいいのやら...しかも教会...お許しを......』
そう言いながら現れたのは、先程戦ったガーゴイルより2回りほど大きく、全身に鎧をつけたガーゴイルだった。いやこれをガーゴイルと言っていいものなのだろうか。鎧の隙間から出ている眼光はとても鋭く、ベリアス王子を射抜いていた。
『この場はひとまず引きましょう、王国軍が到着してしまったか...ひとまず報告をしなければなりませんね。それでは』
そう言うと鎧姿のガーゴイルは魔王軍の陣地へと飛び立ってしまった。他のガーゴイル達も、アロンに何匹か堕とされたあと、引き返して行った。
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