多重人格者の異世界転移〜あれっお前魔王じゃね?!〜

くろこん

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9章神と人

商人の夢

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「終わりましたかジャン!」
「あぁジュダル、終わった!だがこの軍勢の勢いは止まらん!大将ではあったみてぇだが、指揮はねぇ!1つ1つが独立した意思で、1つの目的で動いてやがる!」

この調子だと他の地域にも天使たちは出現してるに違いない、だが守れる。そのための装備は、知恵は、残して来た。

そして...無策であの化け物と相対しようなどと思ったことはない!

「ジャン!数が多すぎます、下がりましょう」
「わかった、だがもうすぐ来るはずだ」

それは大将をやられた復讐のためだったのだろうか。複数から絶え間ない攻撃が急にジャンの身に襲いかかる。その攻撃は疲弊した身には重く、多すぎる。ジュダルも援護をするが間に合わず、多くの槍がその身を擦る

そして一本の槍が彼の脇腹を貫いた。

「グッ...この...」

それでも攻撃は止まらない、1人の天使が翼を広げ、ジャンへ絶命たり得る一撃を穿とうと迫って来る。

殺った、そう確信した天使の顔は...

次の瞬間紅に染まる

瞬間、バランスを失い、ジャンを殺そうとした天使は絶命する。その頭には、矢がついていた。

「苦戦していたようだな」
「これがあの化け物の軍勢の一味で相違ないのか?下僕よ」

「......あ~やっと来た、死んじゃうっても~。......後は任せましたよ」

「無論」
「そこで寝てるがいい」

1人は葉でできた、ギリースーツのような服を着た耳長、細く鋭い目が特徴のエルフ。ジャンを下僕扱いしている。

もう1人は全身をフルプレートで覆っておきながら、顔を露出させている戦士だ、その顔はトラのような顔をしており、臨戦態勢と言わんばかりに体毛を逆立たせている。

「人間に虐げられていたとはいえ、今はそのようなことを言っている時ではあるまい。...ジャンには借りもある、全ての生物のためにこの剣を振るおう」

「我らは獣人などと違い、不自由をしたことなどない。...それに我らは人間と違い欲もない、奴隷はジャンだけで十分である」

「「全軍、突撃せよ」」

途端に、獣人が雄叫びをあげながら天使達の軍勢に踊り込み、エルフが弓で天使を引きつける。

完璧なコンビネーションだ、なんだ、訓練でもしてたのか?

マリンを魔族達についていかせたのは、こういう狙いもあった。エルフと獣人との共闘。ひいては全種族の共闘

魔族が敵となるとした時点で、ジャンにはこの考えがあり、アイテールと相対した時点で、この考えは固まった。

今、その彼の夢物語は成就しようとしている。1つの敵に向かい、全種族が団結する

今、全種族の大半がこの戦いに巻き込まれており、人と共闘することを選択した種族もいた。

それが魔族、獣人、エルフなどである。

「みんな~後は頼んだぞ...イテテ」

脇腹に鋭い痛みが走る

だがまだだ、まだ倒れてなるものか。

これを当たり前にしなければならない。

異種族が協力し合い、短所を補い、長所を伸ばすこれが当たり前の世界にならねばならない。腹の痛みなど忘れ、商人は前を見据える

戦闘も、苦手とは言わないがマリンには劣る。ベディヴィアのは単に彼女に避ける知能がなかっただけで、普通にかわされる可能性もあった。

学ならジュダルの方が遥かに上手だ。

だが彼は夢があった、種族の橋渡しとなり、冒険で手に入れた人脈をフルに使い、引きこもり気質の強い2種族を引っ張り出すことに成功した。

理想の世界が、少し見えた気がした。
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