前世乙女ゲームの製作者だった公爵令嬢は「悪役令嬢」と「結婚」は厄介そうなので、憧れの「先生」を目指します

彩多 花音

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スターチスは突として

4-b.私たちは「あお」色を必要とする

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「ここに住んでいる動物は神獣なの。そして、神獣は人間と1度だけ契出来るの。何か手の甲とかに魔方陣みたいなものが浮かばなかった?」
 もしかして、先程の魔法陣のことかしら。あと、今、「契約」って言いましたっ!?
「その反応を見るに契約をしたのね。安心して、すぐに準備するから。そういえばこの子に名前は付けた?」
「え、えぇ、『ツァイト』です。」
 準備ですって?そんな大事だったのかしら?
「ツァイト、貴方は一生アイラスを守らなくてはなりません。どんなときもずっと。それは肉体の話だけではありません。精神の話もです。それが出来ると証明できるのなら貴方の契約を完全に認めます。貴方に覚悟はありますか?」
 リバランス様の声は落ち着いていたがどこか不安そうに見えた。少し体も震えている。
「ぼく、絶対守る。アイラスのこと、どんなことがあっても。」
 ツァイトの声は少しだけ震えていた。だが、力強くもあった。
「わかりました、契約成立ですね。ツァイトの覚悟、確かに受け取りました。これを貴方にあげます。」
 私がチラッと覗くとリバランス様はペンダントを渡していた。よく見るとペンダントトップの宝石はブルートパーズだった。素敵。
「これはツァイトの覚悟を映したもの、貴方が怠ければこの宝石はくすんでしまいます。これを見て気を引き締めて。」
「アイラス!貴方の空が晴れるようにわたしにお手伝いをさせてください。」
 リバランス様はそう言ってお辞儀ををしながら手を伸ばしていらっしゃった。
 まるでプロポーズのよう。
「ありがとうございます。リバランス様とツァイトがいるので頑張れる気がします。」
 今日の空は雲1つ無い青空だった。宝石よりも眩しく優しく輝いていてなんだか背中を押されているみたいだった。風が音のようですわ。

 わたしは戻ってきた後、改めてツァイトを見てみた。
 さすがファンタジーの世界、ミステリアスだけれども魅力的な容姿は国宝級イケメンに選ばれるくらい美しい。
 アイラスにはツァイトがお似合いな気がするな。美男美女カップルね。でも婚約者がいるんだっけ?いないんだっけ?
 それよりさっきは緊張した。神獣の森の神獣が人間と契約を結ぶときは必ずリバランス家の人間が仲介人にならなくちゃいけないのよね。あれ言うときか見そうで怖かった。なんとか噛まずに言い切れてよかった。
「ねぇ、ジェシーさん。もうリバランス様はやめましょう。」
「え?」
「これからは友達、対等な関係になろうよ。その一歩として『エーデル』ね。」
 ずっと言おうと思ってたこと、それは友達になってほしいという思い。昔から友達は少ないほうだった今もそうだった。だからこそ友達が欲しいと思った。友達って1人いるだけで心強いと思っている。
「うれしいです。こんな素敵なプレゼントをもらったのにエーデル様という友達が出来て。」
「もう!かわいいな~アイラスは!!」
 あれ?アイラス顔真っ赤。体調でも崩したの?
「エ、エ、エ、エーデル様!そんな恥ずかしいことさらっと言わないでください。恥ずかしいです///」
「やめろ!アイラス、苦しそう。」
「え!?そんなことないですよ。落ち着てください。ツァイト。」
 みんな顔を真っ赤にしてその場にぼうっと立っていた。なかなか恥ずかしい空気になった。

 アイラスは晴れやかな笑顔で帰っていった。ツァイトは魔法が使えない人には見えない。この屋敷に働いている人で魔法が使える人はとても少ないので、特に怪しまれる(見られる)ことなく屋敷を出られていた。
 わたしも神獣と契約してみたいな。神獣の森を回ってみたけれど、契約したいっていう子はいなかった。でもまだ時間はたっぷりある。ゆっくりと相性の良い神獣を探してみよう。きっとどこかにいるはず。エリック様は契約している魔獣いるのかな。今度会う時に聞いてみるか。気になったら調べてみる!

 アイラスが帰った後、しばらく考えていることがあった。
 アイラスの婚約者(仮)って誰だっけ?確か公爵家の人間だったはずなんだけど。
 部屋にある貴族名鑑から探してみることにした。...あった!
「シートル・アクアルータ!」
 そうだ、この国にある数少ない公爵家の1つであるアクアルータ公爵家は代々水にまつわることを事業とし、家門を成長させてきた超協力貴族。そのなかで重要になるのは一家の長男、シートルだ。ルべせかでは、攻略対象の1人として登場し結構人気のあるキャラクターだ。シートルの注目ポイントは愛を知って人として成長していくところだったはず。婚約者であるアイラスからの愛情を知らなかったシートルにとってヒロインからの愛情はとても重要なものだったのだ。
 なんだかかわいそうなキャラクターな気がする。まだアイラスとシートルは婚約してなかったはずだけれどもやっぱり婚約するのかな?でも、アイラスはシートルと婚約したいとは言っていなかったから婚約しないのかな?どっちみち、学園生活に関わることだから知れることなら知りたいけれどもこればっかりはね。
 ふふふ。いいこと思いついちゃった!今こそ公爵令嬢の力を使って見せましょう。友達であるアイラスのため、幸せな未来のために精一杯やらせていただきます。
「フィール、レター用紙を準備して。それが終わったらもう休んで良いよ。」
 承知しましたと出ていくフィールの後ろ姿を眺めながら、わたしにも侍女やメイドという未来があるのか考えてみた。何となく創造が出来なかった。エーデルは何となくお姫様が似合うような気がする。まあ、わたしはお姫様とかそこまで興味がないな~。
「お持ちしました。もしよろしければお茶の用意をしますがどうされますか?」
 お茶は今はいっか。どうせそんなに長くかからないだろうし。フィールにも休んでもらいたい。
「ありがとう、でもお茶は大丈夫。フィールはよく休んでね。」
 フィールは「それでは失礼致します。」と言って忍者のように部屋を出ていってしまった。身動きが軽い!憧れる!
 よし、手紙書くか。もちろん届け先はあの人しかいないわ!オホホホホホ!
 あ、夜なのに騒いでしまった。落ち着かないと手紙書けなくなってしまうわ。集中よ集中よ。って何書こうか決まらない。
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