1 / 5
1
しおりを挟む純白の魔金靴が、森の土を踏みしめる。
一歩、二歩、三歩……――。
その脚に迷いはなく。
目指す先は。
木々の切れ目に見える山岳。
見上げれば、山の頂上に、黒い影が聳えている。
夜の空には、煌々と丸い薄緑色の月が昇り。
生い茂る草木を、生暖かい風が揺らしてゆく。
そんな。
不気味な宵闇の。
真っ黒い森を進むのは、真っ白なマントに身を包んだ、小柄。
長い白金色の髪を靡かせ、マントをはためかせ、背に大盾を背負い。
色白に彩られた人形のように、整えられた顔立ちで。
頭には、太陽神を象った印――聖印の刻まれた聖帽をかぶり、その脚は、この先の山に建つ廃城を目指している。
少女は、夜を歩く。
ただの一人で。
その、真っ赤な双眸は、高台の城壁を見据えていた。
先はまだある。
道のりは長い。
道中で、物の怪に襲われることもあるだろう。
しかし、少女は行かねばならない。
それが、仕事だから。
少女。
――フィナンシェの仕事だから。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる