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全容
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その後、フランツの聴取は順調に進み、全容が明らかになってきた。
戦争が頻発していた時代は武器が売れ、潤っていた民族があった。近年は争いも無くなり、武器防具の使用も激減して生活も苦しくなっていた。
そんな頃、偶然発見した薬草に幻覚作用や中毒性があった。また、継続的に使用すると依存症に陥ってしまう恐ろしいものだった。
これを我が国と隣国に売り、お互いから持ち込まれたと思わせるように細工した。戦争が起これば武器は売れる。依存する人間が多くなれば薬草の相場も上がる。一石二鳥である。これらの思惑と双方の国にいた王制反対派の残党も利害が一致。薬草の持ち込みに一役買ったらしい。
フランツは叔父から誘拐の顛末を聞き、アメリアに懸想していたこともあり実行に移した。
王制反対派の父がいた平民の男と親しかったらしく、これを利用したのだ。ちなみに母方の祖父も監禁癖があり、表には出ていなかったが祖母を監禁し、最終的には妻にしたそうだ。祖母の親は醜聞を恐れ、そのまま嫁に出したという。はっきり言うと、三代揃ってクソである。
フランツの父親は真面目な人間だが、息子のしでかしたことは相当なものである。
モーヴァ家は子爵へと降爵されたが、爵位の返上を申し入れたらしい。しかし陛下が認めなかった。
フランツは主犯である為、実刑は免れないだろう。廃嫡も当然である。しかし長男ではあったが、父親は思う所があったのか後継者の指名をしていなかった。次男が優秀だと聞いているので、子爵家をいい方向に導いていくだろう。
「あの民族は隣国の管轄だよな」
「ああ。しかしあそこは独立区でもあるから、完全な責任問題にするのは難しいだろう。できるのは、それとなく嫌味を言うくらいかな」
武器や防具をを作る技術があるのに、何故それを違う方向に生かそうと思わなかったのか。
続けて「納得いかないけどね」とブライアンが愚痴をこぼす。こちらにも加担した人物がいるので、強くは言えないのもある。
フランツが雇った実行犯の盗賊も、北の領地で取り押さえた。何人かは逃れたらしいが、捕まるのは時間の問題だろう。
「そう言えば夫人の様子はどうなんだ?」
「ああ、何ともない。元気だ」
この間、アメリアに関しても意外な事実が分かった。一回目の誘拐事件の後、母親は傷ついた娘を手元に置いておきたいと願った。しかし父親は、次になにかあった時、子爵家ではアメリアを守りきれないと思った。そこで爵位も高く、物理的にも強い私に託したそうだ。
それで今私は幸せなのだから、子爵にはお礼を言わなくてはいけないのかもしれない。
アメリアが今回の件でまた傷つくのではないか、妙な噂が広がるのではないか。無かったことにして、裏で制裁を加えることはできると伝えたが、
「わたくしは平気ですわ。それに社会的にも抹殺した方が、世のためです」
と、私の目をまっすぐ見て言った。
「強いなアメリアは」
「そんなことありませんわ。ルイス様がいなければ生きていけませんもの。それに、何かあった時は守ってくださるのでしょう?」
「もちろんだ」
私はアメリアを強く抱きしめた。
戦争が頻発していた時代は武器が売れ、潤っていた民族があった。近年は争いも無くなり、武器防具の使用も激減して生活も苦しくなっていた。
そんな頃、偶然発見した薬草に幻覚作用や中毒性があった。また、継続的に使用すると依存症に陥ってしまう恐ろしいものだった。
これを我が国と隣国に売り、お互いから持ち込まれたと思わせるように細工した。戦争が起これば武器は売れる。依存する人間が多くなれば薬草の相場も上がる。一石二鳥である。これらの思惑と双方の国にいた王制反対派の残党も利害が一致。薬草の持ち込みに一役買ったらしい。
フランツは叔父から誘拐の顛末を聞き、アメリアに懸想していたこともあり実行に移した。
王制反対派の父がいた平民の男と親しかったらしく、これを利用したのだ。ちなみに母方の祖父も監禁癖があり、表には出ていなかったが祖母を監禁し、最終的には妻にしたそうだ。祖母の親は醜聞を恐れ、そのまま嫁に出したという。はっきり言うと、三代揃ってクソである。
フランツの父親は真面目な人間だが、息子のしでかしたことは相当なものである。
モーヴァ家は子爵へと降爵されたが、爵位の返上を申し入れたらしい。しかし陛下が認めなかった。
フランツは主犯である為、実刑は免れないだろう。廃嫡も当然である。しかし長男ではあったが、父親は思う所があったのか後継者の指名をしていなかった。次男が優秀だと聞いているので、子爵家をいい方向に導いていくだろう。
「あの民族は隣国の管轄だよな」
「ああ。しかしあそこは独立区でもあるから、完全な責任問題にするのは難しいだろう。できるのは、それとなく嫌味を言うくらいかな」
武器や防具をを作る技術があるのに、何故それを違う方向に生かそうと思わなかったのか。
続けて「納得いかないけどね」とブライアンが愚痴をこぼす。こちらにも加担した人物がいるので、強くは言えないのもある。
フランツが雇った実行犯の盗賊も、北の領地で取り押さえた。何人かは逃れたらしいが、捕まるのは時間の問題だろう。
「そう言えば夫人の様子はどうなんだ?」
「ああ、何ともない。元気だ」
この間、アメリアに関しても意外な事実が分かった。一回目の誘拐事件の後、母親は傷ついた娘を手元に置いておきたいと願った。しかし父親は、次になにかあった時、子爵家ではアメリアを守りきれないと思った。そこで爵位も高く、物理的にも強い私に託したそうだ。
それで今私は幸せなのだから、子爵にはお礼を言わなくてはいけないのかもしれない。
アメリアが今回の件でまた傷つくのではないか、妙な噂が広がるのではないか。無かったことにして、裏で制裁を加えることはできると伝えたが、
「わたくしは平気ですわ。それに社会的にも抹殺した方が、世のためです」
と、私の目をまっすぐ見て言った。
「強いなアメリアは」
「そんなことありませんわ。ルイス様がいなければ生きていけませんもの。それに、何かあった時は守ってくださるのでしょう?」
「もちろんだ」
私はアメリアを強く抱きしめた。
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