【休止】天の声、実況、す。

佐橋 竜字

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【#07】十字架を持たないセイ職者

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「ん~、レイナさん」
『は、はい』
「貴方、地球に詳しいですよね?」
『そ、そりゃぁ勿論です、大好きですから』
「フフ、ヨク、ウチュウトショカンデイッパイデータ、ミタモンネ」
 宇宙図書館。
 登録されている宇宙の惑星のデータに、自分存在証明登録書セーブマイデータがあれば、いつでもアクセス可能な情報データ貯蔵庫バンクだ。
「それが違うんですよねぇ」
「エ?」
「彼女はそこで地球を知ったわけじゃないんですよね」
 レイナの目が泳ぐ。
「レイナさん」
『・・・は、はイッ』
 声が裏返っている。かなり動揺しているようだ。
「・・・前世、地球のニホンジンJK、だったんですね」
『ッ!?』
「??? ゼンセ?」
『ななななななな何でわわわかっわかっ』
「私、出たカードの偶然性リーディングと、対象者の直視霊視で占うんですよ。レイナさんは前世の記憶を後天的に思い出しましたね。それも」
 シスターティータはちょい、とアルファを指さす。
「彼に、出会ってから」
「??? ボク?」
『・・・その通りです』
「彼、アルファさんは」
 シスターティータは今度は別の赤いタロットカードでまたシャッフルを始め、新たにスプレッドを組んだ。
「あっ、そういうことですか」
 ゴクリ。
 レイナとアルファが食い入るように前のめりの前傾姿勢だ。
 わたくしもドキドキ。
「前世、当時、レイナさんとアルファさんは知り合いだった。いえ、これは失言ですね。生徒と教師の禁断の恋愛をされていたのですね」
「ブッ!」
 アルファが噴き出した。
 ほぅ? 機人もそういうリアクションがとれるらしいメモメモ。
『そっ・・・う、だったん、です。だから、アルファと、再会した時、ビビビビッて衝撃が走って、体がない情報思念体なのに、まるで体が熱く火照った感覚に襲われて私! お、思い出したんです』
 レイナはアルファを見つめた。
『先生、なんだって』
「・・・・・・ボク、ガ?」
『うん』
 アルファは困った表情を浮かべた。
「・・・ゴメン、ワカラナイ」
 レイナは微笑みながら首を横に振る。
『いいの、私が覚えているから』
「・・・キミハ、ソレデ、イイノ?」
『うん。この話を聞いても、私のことを気味が悪いと思わないなら』
「!? オモウワケナイヨ!? ボクハ、キミニ、ヒトメボレ、シタンダカラ!」
 おやおやおや。
 レイナのボディが次第に真っ赤に染まっていく。
「・・・ア」
 つられてアルファも赤みを帯びていく。
『・・・そんなの、初めて聞いた! 告白したのは私からだったし、私が一方的に好きなんだと思ってた』
「チッチガウヨ! ボクハキミガトショカンニハジメテキタトキカラミテタ!」
『えっ? う、嘘・・・』
「ウソジャナイ。ヨクトナリニスワッテイタダロウ? シ、シタゴコロ、ナルモノガアッテ・・・」
『そっ・・・だった、ん、だ・・・』
 うう~ん。ごちそうさま。
「あの~? 盛り上がってるところ悪いのですが、いいですか?」
『ハッ、ごめんなさい!』
「スイマセン!」
「まぁ、レイナさんの魂が元地球人かつ記憶保持者なので、審査も何も合格ですね。貴方は一途で純真、旦那さんに尽くすタイプなので、いいご家庭を築けると思います」
『ッ!』
 ボンッと、レイナの頭部から爆音と、耳から煙が出た。
「アルファさん」
 おや? シスターティータがアルファに目配せをしている。何だろうか。
「! ア、アァッ!」
 理解できたらしいアルファは、太腿のパーツを開け、小さな木箱を取り出した。
「レイナ」
『うん?』
 アルファは椅子から降り、片膝を立て、木箱をパカリと開け、レイナを見上げた。
「レイナヲココロカラアイシテイマス。ドウカ、ケッコン、シテクダサイ」
 木箱からは、キタリと輝くダイヤモンドがの指輪が。
『!? ッ!? えっえっ!?』
「チキュウデハ、チキュウノハッテンノタメニ、ギジュツトジョウホウヲテイキョウスレバ、ウチュウジンドウシノケッコンガデキルトシッタ、ダカラ、キョウ、ゼッタイニコクハクスルト、キメタンダ」
 そう、地球では他惑星の技術・情報を対価に、移住の権限が与えられる対宇宙人地球保護条例が存在している。
『! ・・・アルファ・・・』
 本当なら、涙を浮かべているだろうレイナは、その木箱を受け取った。
『はい、喜んでお受けします』
「ウレシイヨレイナ!」
 抱き合う二人。
「おめでとうございます~。まさかここでプロポーズとは~まぁ、促したのは私なんですけど。未届け人になりますね」
『あ、ありがとうございます』
「アリガトウゴザイマス」
「では、はいっ、これ」
 シスターティータは水色の用紙を二人に差し出す。
「審査合格通知書です。これを総合窓口に持って行って、あとはレイナさんのパスポートを作ればもう入星可ですから」
『ありがとうございます!』
「アリガトウゴザイマス」
「はーい、お見送りしますね」
 席を立つ二人だったが、
「あ、アルファさんちょっと」
 シスターティータはアルファを引き留める。
「ハイ?」
 シスターティータは、にっこりと、微笑む。

「・・・貴方も、記憶、持ってますよね?」

「・・・・・・」
 アルファの目が一瞬、揺れた。おやおや、本当ですかい。
「・・・『JK』って何? って聞かれなかったし。貴方、知ってたから、聞かなかったんですよね」
 はいはいはい! わたくしも知ってます! 女子高生! ですよね!?
「・・・オミトオシ、デスカ」
「彼女に言わなくていいんですか?」
「・・・ハイ。モウ、イマヲ、カノジョトイキタイノデ」
 なるほど。アルファも記憶を持っていることが判明しました。
「そうですか。では、お二人に、神のご加護があらんことを」
 シスターティターはお祈りを捧げた。
「ハイ、アリガトウゴザイマシタ」
 教室を出る二人に手を振り、扉が閉じられた。


 世界は暗転し、一つの銀色の玉座が浮かび上がる。


「・・・ふぅん・・・」
 その玉座に座り、シスターティータはアルファを占ったタロットカードを宙に並べる。
「・・・『束縛』、『色欲』、『狡猾』。あぁ見えて、恐ろしい男だな」
 えっ? それって、アルファのカードから読み取れることってことだよね!? あぁ、霊視もあったっけ。
「ま、あんな獰猛な奴の手綱を引いて貰えるなら、彼の望むとおりにしてあげないとね」
 ん?
 優雅に足を組み直すシスターティータの背から、何やら黒い尾のようなものが見える。
「そしてゆっくり、『こちら側』に勧誘すればいいもんねぇ?」
 アルファのタロットカードを消す。
「ま、『ボク』のような優秀な人材になるとは思えないけど」
 ボク?
 ボクっ子? え、それとも・・・。
 そして、シスターティータはポケットから、あ、え、あれは煙草だ、それを取り出したのだ。完全に慣れている。慣れた手つきでライターでカチカチ火をつけ、大きく吸う。
 そして、ゆっくり煙を吐く。


「・・・神なんて、いねぇのにな?」


 シスター? ティータは不遜の笑みを浮かべた。

「いるのは・・・」


 ガガガッ、ブチッ!
 切れた、切れてしまったぁ! 
 あぁっ。ああんいいところで!
 わたくしの第三の目が暗転してしまった。何かからの干渉を受けてしまったようだ。
 雲行きが怪しいんだが、彼女? は人間? なのだろうか? でも地球人じゃないといけないルールだし。彼女? の背後に何かいる気がする。
 気になるので要観察対象とする。


【Profile.No.001515.ティータ・ゴドラン 称号:十字架を持たないセイ職者まおうさまのおきにいり

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