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【#12】喜多遊子5
しおりを挟むうわ、一体全体何があったのか。
煙で何も見えないし、物凄い爆発音があった。喜多氏とトウヤきゅんは大丈夫だろうか。
ふと、ぶわっと煙が棚引いていくと、緑の草木で作られたかまくらが見えた。よく見ると、その中に、喜多氏とトウヤきゅんがいた。
その緑のかまくらがずるっと人型になると、緑色の長い髪を靡かせた、金色の瞳のイケメン(何故か上半身裸)になった。
誰だこのイケメンは?
「良かった、大丈夫か喜多」
喜多氏はぽかんと口を開けて呆けている。
「うあぁい!」
代わりにトウヤきゅんが手を上げる。
「・・・だ、誰?」
喜多氏の問いに、あ、あぁとイケメンは微笑む。
「俺だよ、ジンジャーだ」
ピッシャーンンンンンッ!
雷が! 衝撃がぁ!
「ななななななな」
喜多氏も同じ反応だ! 電流が今まさに入り駆けている!
「この姿だと貧層にみえるし、人狼の方がイケメンだろ」
いやいやいや! どっちもイケメンってか今の方が目の保養ですはい!
「どどどどどどっちもカッコいい!」
喜多氏、ガチめなガッツポーズ。
「いい!」
負けじとトウヤきゅんも小さいおててで熱く拳を作る。
「あ、あぁそうか?」
ーアアアアアアアアアア
甲高い声が耳を打つ。
あぁ、何ということでしょう。
というか、何故「これ」が地球に!?
喜多氏達の前には、十字架を顔面に携えた骸骨「墓守」が立っていた。
【墓守】
命とは魂。
魂は【器】無くして活動成らず。
【器】とは血肉の肉体、か。
否。
【器】とは、その魂と形作る【骨】にあり。
【骨】は記憶する。
【骨】は動く。
【骨】は思考する。
【骨】は意志を持つ。
死後、【骨】は死を重んじる。
死人は【骨人】得たり。
彼らは己らの意志を継ぐ。
彼らは己らの思いを守る。
己らの残骸は【墓】に眠る。
彼らを守るは【墓守】なり。
という所説があり、普段は十字架の墓に眠っているはずだ。その十字架に血を垂らさない限り。しかも「墓守」と呼ばれるカテゴリーは「戦士」に当たるらしく、彼らを起こすと結構かなり強い。ちなみにドウドミール惑星に存在しているれっきとした宇宙人である。勿論、さすがに宇宙人ど言えど、骸骨は地球には迎えられない。だって、死者だから。
ーアアアアアアアアアアアア
つんざく叫び。
喜多氏はトウヤの耳を塞ぐ。
「うげぇ、なんであれがいるの!?」
「つか誰かがドウドミールから十字架を持ってきたのか!?」
墓守は大きく口を開けた。
「おいおいおいおいおい!」
その口腔から生み出される物凄い質量の破壊玉が出力されつつある。
「っく!」
すんでのところでジンジャーの腕から放たれた大木が、墓守の口腔に突っ込んだ。
ーパキャンッ!
「っ!」
「ジンッ!」
大木が瞬時に搔き消されたが、ジンジャーはそのまま樹の幹を墓守に巻きつかせる。
「喜多!」
「分かってる、トウヤをお願い」
喜多はトウヤをジンジャーに預けると、一瞬で墓守の後ろに回る。
カプッ。
墓守の右肩の骨を、喜多氏は嚙みついた。
すると、墓守がぶるぶる震えだし、顔面の十字架に吸い込まれるようにしてその骨身を消した。
カランカラン。
綺麗とは言えない金属の十字架が床に落ちた。
「おおおおおおおお~ぅ」
美味しい反応をかっさらっていくトウヤきゅんだ。
「・・・・・・」
難しい顔をして、喜多氏はその十字架を手に取った。
「どうした?」
「・・・こいつ・・・」
パチパチパチパチ。
ふと拍手が響く。
「やぁやぁやぁ」
怪訝な顔をする喜多氏とジンジャーが振り返るその先に、誰かが現れた。
「まさかこんなことになるとはあはは・・・」
んなっ!? あーっ、あああああいつ・・・だと!?
「いやぁ~すいませんね」
「おまえっ!?」
「あんた・・・」
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