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【#16】畑山光一
しおりを挟む一方その頃。
名残惜しそうにワンとジンジャーの背中を見送った喜多だったが。
「うわぁぁぁぁぁんっ!」
何処からか「あざとい」萌え声が。
「由利亜?」
正解。
喜多氏が黒色のバンダナを目に巻いているが、それが「盲目である」という意味合いを持っていることを忘れてしまっていた。ほら、見えるのに敢えて目を隠してペネルティ背負ってる強キャラ、漫画やアニメでいるでしょう? そんな感じ。だけど彼女はマジ。
由利亜嬢がバタバタと喜多氏に向かい全速力で走り寄る。
「喜多さぁぁぁん!」
珍しく息を切らしている。
「どうしたの?」
「さっき、お部屋に戻ろうとしたら、施錠してあるはずの受付の扉がエラー起こしていて」
「えっ?」
「そしたら、強制解除されて扉が開いちゃったんですぅ!」
「何ですって!?」
「珍魚金魚が『ぎょええええっ!』って、警報を鳴らしているんです!」
墓守事件といい、今日は何だが騒がしい日になりそうだ。
「強制解除されたらもう施錠できない。由利亜は鍵男を呼んで新しい鍵を作る指示をお願い」
「分かりました!」
由利亜を見送り、喜多氏はすやすや眠るトウヤきゅんを抱き直し、受付方面へ駆け足で向かった。
「!」
扉が捻じ曲がっていたのは1番扉だった。
その前で、三つの影があった。
「・・・失礼? そこにおるのはここの責任者か?」
「カーッッ!!??」
大丈夫か喜多氏! 今へへへ変な声が聞こえたけどっ!?
「ああああああなななたぁ!? なんなんなんちゅう恰好!? してんのよぉっ!?」
喜多氏の叫びに、さすがのトウヤきゅんもパチリと目を開ける。
「うむ? そなた・・・、目が見えぬのに、わしのこの渾身のこすぷれが見えるのか?」
ほぎゃぁぁぁぁぁぁ!
ななななななんんだんなん!?
わたくしも確認しております。
漆黒のショートボブに、金色の二本の長い角の美少女。そこまではいい。その次だ。何故スクール水着を着ているのか!? しかもまな板のところに「おにひめ」とかろうじて読める、汚過ぎるひらがなで書かれたワッペンを貼っていらっしゃる! 赤色のヘッドキャップが角に引き裂かれて、頭でタイヘンなことになって被されている!
「鬼姫しゃま! この者は地球人ですかっ、にゃんっ!?」
ん?
鬼姫の右側にいるのは!
例えて言うなら! かっ、顔だけクッション! キャラの白猫だ! いやもう「にゃん」が後付けされてるけど見た目で分かるからわざわざ無理して言わなくてもいいにゃんよ!?
「絶対にこの者は地球人に決まっておろう何故ならわざわざ閉鎖扉を壊してまでも突入した我々つまり危険人物をいち早く確認するすなわち警備員に違いない」
どやっ。
んーっ!
鬼姫の左側にいる眼鏡をかけた可愛い亀!
亀なのにめっちゃ早口! 何処に濁点置けばいい!? 置く場所無いんだわ!
「あ、あの・・・?」
「ハッ! 我々としたことが!」
ビシッと猫と・・・あっ、顔だけ猫と亀がポージングを決める。多分、変わらないけどポージングのつもりだろうと察する。
「我は風神、にゃ!」
「ミーは雷神!」
「「二人合わせて金棒! ここに見参☆」」
「うわぁ可愛いーっ!」
ぱちぱちぱちと拍手する喜多氏とトウヤきゅん。
「わぁぉ! きゃぁいね! いいねぇ!」
なんか親父臭さ入った齢三歳のトウヤきゅんだった。
ねぇねぇ、金棒って?
誰か教えて?
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