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【#17】畑山光一2
しおりを挟む『アラームレッド、レッド。緊急事態発生』
コロニー12の守護神とされる珍魚金魚がぬぅっと顔を出す。
『警告、警告。侵入者、侵入者』
珍魚金魚のまぁるいお目目がくるくる回転し始める。恐らく、出目金という種だと思う。目が偉く大きいので。
『武装形態』
ウィーン、ガッチャンコガッチャンコガコガコガコゴゥンゴゥン!
そして、物凄い音を立てて、その体全身から、武器という武器を出し漲らせる。レーザービーム? ショットガン? アサルトライフル? あれ? 魔法の杖もあるぞ。
「なんじゃなんじゃ騒がしいのぅ。わしはただ地球にちと用事で参っただけじゃ。攻撃なんぞせんよ」
「そうにゃ! 鬼姫しゃまに武器を向けるとは! 万死に値するぞ・・・にゃん!」
「こんな惑星鬼姫様の手にかかればすぐに滅びてしまうだろう地球人よ己が分をわきまえろ身の程を知るがいい!」
雷神亀が口をコァッと開けた。
これはデジャブ。
何でもかんでも口からビーム出せばいいと思ってるんだから。
「止めて!」
珍魚金魚と雷神亀の一騎打ちだ。
『ビーム砲出力』
珍魚金魚もゴカンッと口を開け、ウイィンウィンウィィンンンンンンと出力準備にかかる。さすがにこれは喜多氏でも防げないのでは無かろうか。
「さてさて、どっちが強いかのおほほ」
いや鬼姫さんよ、止めて下さいよ!?
あっ、物凄い速度で生命体反応が近づいてきた!
「はいはい、ストーップぅッス」
砲撃体勢の金魚と雷神亀の間に、一人の男が割り込んだ。珍魚金魚が男をロックオンすると、ぶるぶる震えだす。
『機能一時停止、緊急一時停止』
そして、男を認識した後、武装をまた物凄い音を立てて、今度は解除し始める。
「はい、あんたさんもストップッス」
ぐさっ。
男の手から雷神亀の口に目掛け、長いものが放たれた。
「ほげっ」
解析、拡大、もっと拡大・・・。
雷神亀の口に刺さるのは、ん? これは・・・? こっここれはメ、メジャーだ!
「ぷしゅぅ」
雷神亀の口が閉じた。
シャーッとメジャーが男の手に戻っていく。
「畑山!」
喜多氏が待ってましたとばかりに叫ばれたこの地球人は?
男の分析、解析、完了。
なになに?
畑山光一。
コロニー12の警備員。常におTシャツにタンパン、そして彼の矜持である「アフロヘア」が彼を彼せしめる。
「んもぅ~喜多さぁん! 残業ッスよ!? 自分夜勤違うんで!」
「ごめんありがとう。珍魚金魚の止め方が分からなくて助かったよ」
されど畑山君はむすっとむくれる。
「いんや、あんたさんはこの状況を楽しんでたっす。顔がめっちゃ笑顔じゃないッスか!」
「え、えへ? そう?」
確かに。焦った素振りはなかったように見受けられる。何だったら、鬼姫の降臨に合いの手を出してたな。何というかもしもこれらのビームが交錯したら、コロニーがどうなっていたか。
「ってぇ! 何スか!? こいつ、何なんスかっ?」
ふと、気が付けば。畑山君のアフロに、風神ねこにゃんが乗っている。
「素晴らしい寝床にゃ! 気に入ったにゃ地球人!」
「ずるいずるいずるいずるい」
ふわふわふわっと、雷神亀は宙を泳ぎ、その後は・・・目が追えなかった。ポムッと同じくアフロに不時着していた。こんな速い亀は亀じゃないです。
「・・・・・」
雷神亀は一時停止。
「・・・グー・・・」
寝てるーっ!? 目ぇ開いてまんがなっ!?
「カーッ! 自分のアフロがぁっ!?」
「ほぅ~? わしの護り手達がこのように懐くとは・・・」
畑山君と鬼姫さんの背丈は雲泥の差だ。
「・・・・・・」
みるみる畑山君は足のつま先から頭部まで真っ赤になっていく。
「あんたさん誰ッスか? 何で、スク水なんスかっ!?」
「んー? 礼儀がなっとらんのぅ?」
察したらしい畑山君は背筋を伸ばす。
「自分はここコロニー12の警備員を務めてます畑山光一と申すものです」
鬼姫さんの目が細くなる。
「ほぅ? 警備員・・・なるほど。わしは鬼姫、巨星アクアドルの鬼族の王じゃ」
王様!? 王様が何故スク水ぅ!?
と言わんばかりの顔だ畑山君よ、分かるよその気持ち。
「今日は所要があってな? 地球と言えばこすぷれ。じゃからおすすめされたすくーるみずぎで参ったのじゃが、ん? どうじゃ?」
グッジョブ。
畑山君は親指を立てた。
「満点ッス、最高ッス」
「おほ、おほほほほほそうか! よきよきあはははは!」
本当に嬉しそうに笑われる、鬼の王だ。
畑山君の好きな属性が分かってきた。
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