【休止】天の声、実況、す。

佐橋 竜字

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NUMBER’S CONSCIOUSNESS

【#高野由利亜】5

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「ちょっと、連絡するから」
 と、ライオン丸が何処かへ連絡をする。その間暇な由利亜達。
「あ、由利亜これこれ」
 京子豚が前の豚さんが持っていた銃を持ち上げる。
 どうやらこの豚さんが持っていた光線銃が、人間を宝石にしたらしい。ピンク色の液体が入った、ちょっとお値段の張る水鉄砲のような外見のこの銃が。
「皆を元に戻せないの?」
「ん、ちょっと待ってて」

 おい。

 急に京子豚が白目になる。ホラーだよ!
「怖いわ!」
「あっ、ごめん。この豚の記憶を見てた」
 京子は乗っ取った体のありとあらゆる情報を盗み見できる。乗っ取られたらお終いってわけだ。プライベートもくそもない。
「ダメだわ。この銃は宝石にするだけのただの銃だわ。それに、こいつに襲わせた依頼主が分かった」
「それは、月人か?」
 電話、もう終わったのか。いいタイミングで会話に入ってくるなぁライオン丸。
「うん。こりゃ由利亜、ヤバいよ」
「? 何がどうヤバいのさ」
 豚顔がにやけた。
「月人のお姫様、まじ兎。あ、正確にはうさ耳萌え」


「ナッ!?」


 な、なななななななななんんだと!? そんなことがあっていいものか!
「地球では萌えキャラだが、宇宙の兎は凶暴だぞ」


「なんっ、だと!?」


「しかも雑食で美食家だ。だから綺麗な宝石にして食うんだ」
「え?」
 今何て言った?
「由利亜、この宝石、食用らしいよ」
 食用の宝石なんて聞いたことないわ。
 ふと、たくさんの気配を感じた。
「あ、来た来た」
 見事なまでに宇宙防具服の怪しい人達がわんさか体育館に入ってきた。ここでは宇宙服、いらなくない?
 その中に。
 一人だけ、宇宙防具服無しのスーツに身を包んだ青年が。紫色の御髪に、漆黒の瞳。うん、絶対地球人じゃないね。べ、別に髪色で判断したわけじゃあないし!
「やぁ」
 ライオン丸が頭を大きく垂らした。
「お久しぶりですワン様」
 ライオン丸が様付けするご立派な相手、なんだ。若そうだけど。
 ワン様と目が合った。そして、豚京子に移動する。
「・・・うう~ん、報告通りだね」


ーパチン


 ワン様が指を鳴らすと、京子が豚の肉体から離れた。
「あれぇ? 強制解除されちゃったぁ」
「悪いね、僕がそうさせたんだ。どっちも必要だから、それぞれから話を聞きたいからね」
 ぐにょんとうねると、京子はいつものJK京子に戻る。
「こいつの記憶、大分食べちゃったから、使い物にならないかもよ」
「京子、むやみやたらに食べるなって言ったじゃん」
 こいつは本当に大食い。
「だって、お腹空いたもん」
 まじまじとワン様に見られた。
「へぇ、京子ちゃん、だっけ」
「うん」
「どうして彼女の言うことを聞くのかな?」
 彼女、とは由利亜のことか。
「え? 初めて会った時、美味しいご飯、くれたから」
「ほぅ? 君の種族は『暴食』の種族ラムラ。もう絶滅した種族のはずだったんだけど、まさか生き残りがいるとは」
 やっぱり。この子は宇宙人だった。
 空腹にお腹を鳴らせてたから、自分が食われる前に『食わせた』。
「へぇ、もうあたし、独りなんだ」
 この子は一体何を言っている?
「はぁ? 独り? 何言ってんの? あんた、由利亜を忘れてない? 何処に目ぇついてんの? 酷くない?」
「・・・・・・」
 無言って何よ無言って。
「それで京子ちゃん」
 おい、話を戻すなワン様。
「うん」
「彼女の美味しいご飯で、君は満たされたのかい?」
「うん、すぐに。だから彼女に『決めた』の」
「? 決めた? 何を?」
 京子は微笑む。
「あたしが絶対に『食べない』唯一の存在だってこと」
 うーむ。それだと由利亜以外の地球人めっちゃ食べます言ってるようなもんだけど。
「あんまり人間は食べてほしくないなぁ」
「えー? 何で?」
 そんなの、決まってるじゃん。
「防腐剤のある食べ物ばかり食べて腐りにくくなってるんだよ? あんた、お腹こわしてもいいの?」
 案の定、京子は息をのんだ。
「やだ・・・こわっ」
「でしょー? 食べるなら、この豚にしたら?」
 ちらっとワン様を見やる。
「この豚さんの記憶は京子が持ってるらしいし、食べさせてもいいよね?」
「・・・・・・まぁ、・・・・・・うん、いいか」
 間が気になるけど。
「うえっ!? いいんですかワン様!? 証拠っすよ!?」
 うるさいライオン丸。
「・・・・・・」
 ワン様は眉間に人差し指を置いた。
「・・・フー、とりあえず事情聴取を行って用済みになったら、食用豚にして京子ちゃんにあげよう」
 とりあえず妥協してくれということか。
「だって、京子」
「・・・お腹空いた。じゃぁ京子のチキン、食べたい」
「はぁ、分かったわよ」
 仕方がない。京子に例のアレを作ってあげるのが約束になったから。
「チキン? 美味しいのかい?」
「そりゃ美味しいよ! 由利亜の作るポテチの衣で揚げてくれるチキンが!」
 メガっさ油が凄いチキンになるからね。コッテコテよ。
「早く帰ろ由利亜」
 そうだね、そう言いかけた時、ワン様が挙手。
「すまないが、君たちの身柄はこれから僕、宇宙銀河連盟協会が預からせてもらう」


 ついに、ついに、ついについについについに!


「キターーーーーーッ!」
 ガッツポーズが。渾身のこのガッツポーズよ! 宇宙銀河連盟協会!?
「さ! 早く! 早く預かって!」
「え、え、あの」
「ごめんねワン様。由利亜は宇宙人に誘拐されたいタチなの」
「誘拐して! さぁ! さぁ!」
「馬鹿、誘拐じゃねぇよ。ワン様を困らせるな」
 ワン様は由利亜の腰を引いた。
 そして、満面の笑みを向けてくれた。
「じゃぁお嬢さん、誘拐、してもいいかな?」
 何という大人な対応! ノリがいい! 合格!
 由利亜、この人と結婚、したいかも!
「いいともーっ!」

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