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NUMBER’S CONSCIOUSNESS
【#高野由利亜】9
しおりを挟むゆゆゆゆゆ由利亜のママとパパが…。
「はぐ、んぐ、はがっ、あむあむ」
隣で大食いする京子が危険な生命体なんてことよりも。
「ぷはあぁ、まぁまぁかな。あたしは京子のポテチ衣チキンが食べたい」
いつから?
いつから由利亜のパパとママは宇宙人になっていたの? あ、電話、電話しようかな。
「ねぇ由利亜」
「……由利亜のパパは何星人?」
「ねぇねぇ由利亜、チキン」
「ママも何星人…?」
一体どんな怪物に変身するのかな? 由利亜的には獣人が好みだけど。あ、いっけない。それは由利亜の恋人の好みだった。
「由利亜!」
「わっ」
口の周りを真っ赤に染めた…危険な香りのする京子の顔がある。あぁ、そっか。喜多とかいう女にご飯、作ってもらって食べてたんだっけ。食堂のさらに奥に扉があって、そこに入ったらまた小さな食堂について。
「……」
テーブルの上が大皿で溢れかえっているのはどうよ? どんだけ頼んだんだ、それにどんだけ作ったんだあの女、凄くない? 喜多に感謝させなきゃこの大食漢に。
「な、何よ?」
「あたし、由利亜のチッキチキチキンが食べたい」
「えぇ?」
ふと喜多が超巨大なパフェを持ってきた。
「これで最後。まだ食べる?」
京子はありがとうとまたパフェをバク食いする。
「えぇっと、この子、由利亜のチキンが食べたいって言うんだけど、キッチン、借りてもいい?」
喜多は京子を見て一息。
「しめに一番好きなものを食べたい口ね。いいよ、使って」
「あ、のさ」
「何?」
「ポテチ、ある…のかなぁと」
「…うちのキッチンに無いものは無いから安心して」
無いものは無いって? 何それ名言?
「ごちそうさまぁ」
「京子、喜多……さんにお礼を言いな。こんなに腹いっぱい食べさせてもらって。宇宙人だからっていい気になるんじゃないよ」
「ふぁい」
京子は立ち上がり、喜多さんに頭を垂らした。
「喜多さん、由利亜のチキンには敵わないけど、ご飯をありがぐはっ!」
思わず京子の脇腹に肘パンを打ってしまった。
「一言余分なのこのお馬鹿!」
「美味しいご飯をありがとう」
京子がまたお辞儀したので、由利亜もお辞儀した。ペットの粗相は飼い主の責任だ。
「由利亜からも、その…この子に食べさせてくれてありがとう感謝してる。あ、請求はパパにお願いします」
「ふふ」
ふふ? ふと頭を上げると、喜多さんが笑っていた。
「あのラムラに頭を下げさせるなんて、由利亜ちゃんは凄いね! こりゃ将来有望だ」
褒められてる。何か、嬉しい。
「こちらこそ、綺麗に食べてくれてありがとう。キッチンはここ真っ直ぐ行って右にあるから。ワン様が戻ってくるまで、ここにいてくれるかな?」
「分かったわ」
「うん。由利亜のチキン、チキンチキンして大人しくしてるから安心して」
「勝手に言葉を作るな」
「由利亜はチキンを作るんだよ」
「分かってるよ!」
また、喜多さんに笑われた。
キッチンに向かうと、本当に、上の棚に色んな味のポテチが置いてあった。
「どれにする?」
京子は都合のいいスライムになり、ガサッと全種類、一種類ずつ手に取り、並べた。
「……はぁ、なるほど」
これで悪いことをしない兵器になってくれるなら、いくらでも由利亜はチキンを作ろう。
冷蔵庫から大きなチキンを選んで来やがったので、それを切るはめになった。また別の棚で見つけた美味しそうな「宇宙一美味しい唐揚げ粉」と鶏もも肉で、ねちょねちょと混ぜ下ごしらえをした後、ポテチ衣付け担当の京子に回す。
「ふんふん~♪」
慣れたスライムの手つきで複数同時に、袋の中で粉砕させた色んな味のポテチを衣として、むちむち鶏もも肉に付ける。
「何種類あんの?」
「10種類~!」
「……」
そして満遍なく付けたら、また由利亜が油で二度揚げする。何度も何度も、揚げ続けるんだ。由利亜は、どこぞのチキン屋さん並みに、物凄い量を揚げているのだよ。油であぐむ? 気持ちが悪い? もうそんなラインはとうに昔に越えた。
「衣付け終わったら、どんどん食べに入って。お皿が空いたらまた持って来て」
「うっひょーい! はぁぁい!」
フードファイター京子はばりばりと音をたて、今日も今日とてチキンを頬張る。
「んん~♡ 美味ひぃぃぃぃ! やっぱり、由利亜のチキンが宇宙一だぁ♡」
「ったく、褒めても何も出ないから」
……悪い気はしない。
「…あたしは、京子を護るよ」
「は?」
突然何を言い出すのか。
「由利亜の一番があたしじゃなくても、由利亜があたしの一番だから」
それ、盛大な告白じゃん。
「由利亜が望むなら、由利亜が、そんなに宇宙人になりたいのなら…」
いてっ。あちっ。油が跳ねた。
京子がもう10個のチキンを乗せてあったお皿を持って来た。
「あたしが由利亜を宇宙人にしてあげる」
「……はい?」
どういうこと?
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