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5.ピンチっ!?
しおりを挟む何だかんだ先生以外の鬼に出くわしたことがない。あ、鬼塚さん追加か。俺はじいさんに感謝し直さないといけない。
「修行の賜物だな」
一瞬、俺に覆い被さって、息を荒くして、俺を喰おうとした男の表情を思い出してしまった。本当に、喰われる。そう思った。
「なんか、先生いい香り、したなぁ」
俺のフェロモンの香り? でも桃じゃなかったような?
先生があんな顔、するのだ。ポーカーフェイスも対桃だと崩れるのだ。のっほほお~。少し優越感~♪
気が付けばもう日が暮れていた。
「あちぃ」
今日はこんな暑くなかった気がする。あぁ、もしかして。
久しぶりにブレスレットを外したせいか、体が熱い気がする。
「??」
いつもならブレスレットをしたらすぐにこのぽわぽわするのが止まるはずなのに。
「!?」
ブレスレットを見やると、青紫にほんのり光を帯びながら小刻みに震えていた。
「な、何、どうしたよ!?」
何この状態!? 初めてなんだけども!
俺の判断は『先生に電話』だった。
電話をかけたら良かった、出てくれた。
「先生っ!?」
『今何処? オレの許可なく出て行くなと言ったはずだよ? 今日はハンバーグ』
「あぁそうだった・・・じゃなくて! ブレスレットが! さっきからおかしいんだけ」
ーパァンッ!
「っ!?」
ブレスレットが。
ブレスレットが弾け飛んだ。
「え・・・」
コロコロと道路に転がっていく。
『おい!? 何の音だい!?』
「せ・・・、ブレスレットが・・・」
こんなこと、何で? どうしてだ?
「ん~? 何か甘い香りしな~い?」
ハッ。道路を挟んでバス停にいる女学生の声が耳を打つ。
「ん? ふんふん、ホントだぁ? 桃?」
ヤバい!
気を巡らせて。制御だ。抑えろ、気を。
「あ! あの子見てぇ。可愛くなぁい?」
「本当だぁ。桃色の長い髪~。モデルさんかなぁ?」
「話しかけてみる~?」
え、え、え、え、え?
女学生達が何故か俺に近づいてくる!?
「ねぇ、可愛い子ちゃぁん? お姉さん達と、イイこと、しなぁい?」
「え」
「そうそう。これからカラオケ、行くんだけど? 君なら、何でも、させてあげるよ」
ん? 何でも? 今何でもって言った?
ハッ! 違う違うおかしいおかしい。おかしいお姉さん達! 俺達初対面ですけどォっ!?
お姉さんが俺の髪を触・・・あれ?
「君の髪、凄く長くて、綺麗な透き通った桃色の髪♡ 魅力的ね。何処の美容院? ジャンプー何使ってるの? 凄いいい香り~」
具体的な説明ありがとうね・・・、じゃなぁぁぁぁぁぁああいっ!
あああああああんんじゃこりゃぁぁぁぁおおおおおおおおおお俺の髪がぁ!?
「はい、ストップ」
ハッ。
「いやん。鬼倉せんせーじゃん」
「何? 今この子お持ち帰りしようと誘ってんのにぃ」
そうなのぉ!? これが逆ナン!?
「ダメ、無理、絶対ダぁメ。学生がお持ち帰り言うんじゃありません。帰った帰った」
「えー?」
「先生この子の何なのー? 生徒に手ぇ出しちゃダメなんだよー?」
『君達』
先生の凛とした一声で、世界が急に静寂に包まれる。
「!?」
何にも音が聞こえない。鳥のさえずりも鴉の声も、車の走行音も何もかも。
『帰りなさい』
聞こえるのは先生の声、だけ。
「・・・はぁい・・・」
お姉さん達はぽぅっとして、先生の言葉通りに踵を返しバス停に戻って行った。
「せ」
「こっち」
腕を引っ張られてまたキャンパス内へ。
「先生ヤバい。ブレスレット、吹っ飛んでった」
「なるほど。だろうね。その様子じゃぁね」
周囲の学生達の様子がおかしい。フラフラと、ゾンビのように無心で歩いている感じ。
「なんか、皆、様子が・・・」
「君の影響だよ。この悲惨な状況はブレスレットが飛んだのが原因だったのか。君の強烈過ぎなフェロモンが大学周辺にぶちまけられた。あまりに広範囲でここにいる鬼どもは泥酔状態になっているだけだ。今は桃木と鬼塚が対処してるけれどね」
泥酔状態!? 俺のせいで!?
「俺どうなってんの?」
「おじいさまに感謝だね。まだ君は理性を保てていられるなら」
ゼミのある棟のある扉を開けたら、そこはもう先生のゼミ室の隣にある領域内だった。
何だろう。先生に触れられている所が温かい。やっぱり、この香り。先生といる時に感じる。
「はぁ・・・」
心臓がバクバクする。額に人差し指を当てて、いつものように集中集中。循環させて何とかしないと。
俺、一体どうなってんの・・・?
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