【完結】私たちの今

MIA

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不器用な私が描く未来

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「進路かぁー。」

プリントを見つめてママが言う。

「どうする?イラストレーターの夢は変わってないんでしょ?」

私は強く頷く。

イラストレーター。
それが私のなりたいもの。

小さい頃から絵を描くのが好きだった。

漫画が大好きで、そこに出てくる女の子や男の子に憧れて。
よく真似をして描いたものだ。

ママに上手いと褒められて、漫画を描いてみようとしたこともあったけど、どうしてもストーリーが作れない。
その時にママが教えてくれたイラストレーターという存在。

小説とかに挿絵として描かれたイラストを見て、これだ!と思った。

可愛い絵が描ける。
私の自慢で、自信で、自然でいられること。

友達にはまだ見せたことがなかったけど、もっと上手くなったら見せよう。
そう思っていた。

でも。
6年生の時。
クラスで小さな事件が起きた。

湊梨花〈ミナトリカ〉ちゃん。
とても大人しくて、休み時間にいつも本を読んでいた彼女の描いたイラストが文集の表紙になった時。

私の友達の一人が何気なく放った言葉。

「さすが陰キャ。」

私は梨花ちゃんの絵に凄く感動したし、心から上手いと思ったからこそ、その言葉の棘が深く刺さった。

梨花ちゃんと話してみたい。
そう思った気持ちはみるみる萎んで、友達たちと一緒に益々彼女から距離を置いた。

その時に梨花ちゃんを救ったのは、クラスで人気ものだった男の子。

有馬颯太〈アリマソウタ〉。

「梨花すげぇじゃん!めっちゃ上手い!」

彼が何の打算もなく、何気なく漏らした感想にクラスは自然と飲み込まれた。

彼女が大きな攻撃を受けることもなく卒業できたのは、紛れもなく、有馬のおかげだ。

とはいえ、梨花ちゃんが卒業まで一人でいた事実は変わらない。
中学生になって、私立へと進んだ彼女が今どうしているのかは知らないまま。

絵を描くのことが好きだ。
これ、私が描いたの。

私はそれを隠さなきゃいけないと判断した。

友達が離れていかないように。
ただ、そのためだけに。

それ以来、私は友達に将来の夢を、絶対言わないと決めている。

ママは私のそんな決意を知っていて、私が周りに合わせて自分を押し殺していることに気付いているんだと思う。

時々、労うように私にかける言葉。

「女子の世界は大変だよね。」

それを聞くといつも思う。

ママも大変だった?

って。

一度、聞いてみたいけど。
余計な心配をかけたくなくて、聞けないでいる。

友達から見捨てられるくらいなら、好きなことを隠すことくらい何てことない。

そうして、私はこの先も。
きっと友達の顔色を見ながら生きていくんだ。

それを思い知らせてくれた梨花ちゃん。

そして…有馬。
彼は梨花ちゃんが好きだと言った。

卒業前、有馬に告白した私の友達は、その答えを許せなかった。

中学に進むと彼女は率先して有馬を落としにかかった。
影響力のあった彼女の攻撃は効果てきめん。

入学して早々に、有馬の地位は見事に地の底へと落ちた。

2年のクラス替えでも一緒になった有馬。
彼は今でも陰キャのレッテルを貼られたまま。

あんなに人気があった彼が、アッサリと蹴落とされた姿を目の当たりにして。

私は間違えないようにしよう。

そう、強く強く、心に決めた。
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