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3days④
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夜明けと共にレイは松田の元を訪ねた。記憶が戻ったことを話すと、松田はそうかと言っただけだった。
「熱も無いようだし、体の方は大丈夫そうだな」
一通り診察を終えて見解を述べる。
「先生、ご迷惑をおかけしました」
「これぐらい、迷惑でもなんでもねえよ」
そう言うと、松田はカルテに診察結果を書き込んでいく。
「あの、迷惑ついでに、今日一日、ここにいさせてもらっても、かまいませんか?」
「おまえは俺の患者だ。ここにはいつ来ようが、どれだけいようが問題ない。そんなことより、いつから飯が食えてねえんだ?」
「熱が出てからなので、五日位かと」
「誤魔化すんじゃねえ。少年二から連絡が来てる。刑事の兄ちゃんがここを退院してから、食が進まなくなってるってな」
マキから松田に話が言ってるとは思わなかったし、二人が連絡を取り合っていることも知らなかった。
「泣き落としで食わしてるが、仕事が忙しくてフォローしきれていないと言ってた。殺し屋の兄ちゃんからおまえが倒れたと連絡があったとき、やっぱりなと思ったよ」
桜井が警視総監である草薙直属の部下となり、ハナムラコーポレーションとの橋渡し役になったことで、警視庁から秘密裏に仕事を請けることになった。社内でこの事を知っているのは、花村とレイを除けば、シラサカとマキのみ。始末屋のリーダーであるシラサカが動くと派手になるため、警視庁絡みの案件はマキが動くことになっており、ちょうど今大阪で開かれている国際会議の警備の人員として、出向いていたりする。
「猛暑が重なって、食欲が落ちただけですから」
「それだけなら、記憶を無くしたりしねえだろ」
「俺だって、高熱如きで記憶喪失になるなんて、思いもしませんでしたよ」
望んでそうなったわけではない。記憶を失っていた間は、不安で仕方なかったから。
「高熱はきっかけに過ぎない。溜め込んでいたストレスが限界に達しただけだろう」
ストレスなんて誰にでもあることだと言い返そうとしたが、レイの気持ちを悟ってか、松田は厳しい顔つきになる。
「その上、無自覚ときてる。次はどうなるかわからねえぞ」
そうなったらそうなったで、今度こそ終わりでいい。
正直な気持ちを口にすれば、レイは疲れていた。扱うのは機密情報ばかりだから、人任せには出来ない。警視庁絡みの案件は、特に気を遣う。こうなるきっかけはレイの後押しによるものだったため、文句も言えない。
「あのお嬢ちゃんに寄りかかっても、いいんじゃねえのか」
唐突に桜の名前を出され、レイは動揺した。
「見かけと違って強い子だし、少年の本質もよくわかっている」
「面と向かって話したのは、今回が初めてですよ」
「そういう風には見えなかったし、お嬢ちゃんは、少年が好きだと顔に書いてあったぞ」
記憶を取り戻したレイは、すぐにここを出て行くつもりだった。それでも主である松田には声をかけるべきだと思って、ダイニングスペースを通りかかったとき、桜とシラサカがいた。二人が話している姿を見て、レイは苛立った。シラサカは女にモテるし、来るもの拒まずのところがある。二人を引き離そうと一歩踏み出したとき、彼らの会話が耳に入ってきた。
(いいんです、優衣姉の代わりでも。零さんがあんなに傷ついているのに、ひとりにしておけませんから)
(だからって、君が傷ついていいの? 過去の亡霊に君を重ねてすがりついている、バカな男だよ、あいつは)
(それでも、好きだから……泣いても、辛くてもいいから、私の気が済むまで、側にいさせてください!)
これ以上、桜と関わるべきではない。自分と関われば不幸にするだけ。見なかったフリをして、一刻も早くここを出るべき。そう思っていたはずなのに、レイは桜の手を引き寄せ、強く抱きしめていた。彼女の言葉に胸が熱くなっていたから。
なんで俺なんかを、好きになってんだよ。
優衣の墓前で声をかけられたとき、彼女が生き返ったのかと思った。一年後の再会を約束して別れた後、仕事で関わることになってしまい、怪我をさせてしまった。もう二度と危険な目に遭わせたくなくて、桜井に託したというのに、レイはまた出会ってしまった。
そんなこと言われたら、離せなくなるだろうが。
「それに、少年も好きなんだろ、お嬢ちゃんのことが」
記憶を無くしていた間、レイに安らぎを与えてくれたのは、桜だった。まっすぐ自分だけを見て、側にいてくれる。自分が求めていたもの、欲しかったものはこれだと感じていた。
「俺とは、住む世界が違いますから」
だが、それは許されることではない。レイの全身は血と闇にまみれ、果ては業火に焼かれる。そんな人間は、安らぎを求めてはいけないのだ。
「そうだな。俺達は、あの子とは違う場所で生きている」
徐にカーテンが開け放たれ、シラサカが顔を出した。
「おまえ、なんで?」
「俺の方が先に来てた。後からおまえがやってきたから、隠れてみてた」
記憶が戻ったことに松田が無反応だったのは、シラサカから聞いていたからだ。
「金輪際、桜ちゃんには関わりにならない方がいい。あの子の父親は、おまえと因縁がある蓮見だしな」
「そんなこと、わかってる」
「だったら、なぜそれを言わなかった?」
シラサカの言葉は、レイの胸の奥深く突き刺さった。
「気持ちには応えられないと、あのとき、はっきり言えばよかっただろ」
レイが桜を抱きしめたとき、シラサカは記憶が戻ったことを悟った。桜にわからないように、レイは右手の人差し指をそっと口元に当てて、黙っていてほしいと伝えたのである。
「桜ちゃんに優衣ちゃんを重ねるな。あの子の気持ちを利用するんじゃねえ」
「そんなことしてねえ」
「覚えてねえだろうけど、おまえ、桜ちゃんに手を握ってもらいながら、優衣ちゃんの名前を呼んだんだぞ」
それは初耳だった。思わず松田の方を見やれば、小さく頷いた。
「思い出す前のことだし、記憶が混乱していたんだろうよ」
「これ以上、あの子を傷つけるな」
「だから、そうじゃねえって言ってんだろ!?」
「あ、あの!?」
か細い声が耳に届いて、はっとした。振り返れば、診察室の扉が少し開いて、俯いた桜が立っていた。
「私、出て行きますから、もう喧嘩しないでください」
どこから話を聞いていたのか、何をどう誤解したのか、そう言うと、桜は駆け出していく。レイは後を追おうとしたが、シラサカに腕を掴まれてしまう。
「おい、離せ」
「おまえが行っても、傷つけるだけだろ」
「俺が好きなのは、優衣じゃねえ、桜だよ!?」
自然と本音が口から出た。レイはシラサカを振り切って駆け出した。
「熱も無いようだし、体の方は大丈夫そうだな」
一通り診察を終えて見解を述べる。
「先生、ご迷惑をおかけしました」
「これぐらい、迷惑でもなんでもねえよ」
そう言うと、松田はカルテに診察結果を書き込んでいく。
「あの、迷惑ついでに、今日一日、ここにいさせてもらっても、かまいませんか?」
「おまえは俺の患者だ。ここにはいつ来ようが、どれだけいようが問題ない。そんなことより、いつから飯が食えてねえんだ?」
「熱が出てからなので、五日位かと」
「誤魔化すんじゃねえ。少年二から連絡が来てる。刑事の兄ちゃんがここを退院してから、食が進まなくなってるってな」
マキから松田に話が言ってるとは思わなかったし、二人が連絡を取り合っていることも知らなかった。
「泣き落としで食わしてるが、仕事が忙しくてフォローしきれていないと言ってた。殺し屋の兄ちゃんからおまえが倒れたと連絡があったとき、やっぱりなと思ったよ」
桜井が警視総監である草薙直属の部下となり、ハナムラコーポレーションとの橋渡し役になったことで、警視庁から秘密裏に仕事を請けることになった。社内でこの事を知っているのは、花村とレイを除けば、シラサカとマキのみ。始末屋のリーダーであるシラサカが動くと派手になるため、警視庁絡みの案件はマキが動くことになっており、ちょうど今大阪で開かれている国際会議の警備の人員として、出向いていたりする。
「猛暑が重なって、食欲が落ちただけですから」
「それだけなら、記憶を無くしたりしねえだろ」
「俺だって、高熱如きで記憶喪失になるなんて、思いもしませんでしたよ」
望んでそうなったわけではない。記憶を失っていた間は、不安で仕方なかったから。
「高熱はきっかけに過ぎない。溜め込んでいたストレスが限界に達しただけだろう」
ストレスなんて誰にでもあることだと言い返そうとしたが、レイの気持ちを悟ってか、松田は厳しい顔つきになる。
「その上、無自覚ときてる。次はどうなるかわからねえぞ」
そうなったらそうなったで、今度こそ終わりでいい。
正直な気持ちを口にすれば、レイは疲れていた。扱うのは機密情報ばかりだから、人任せには出来ない。警視庁絡みの案件は、特に気を遣う。こうなるきっかけはレイの後押しによるものだったため、文句も言えない。
「あのお嬢ちゃんに寄りかかっても、いいんじゃねえのか」
唐突に桜の名前を出され、レイは動揺した。
「見かけと違って強い子だし、少年の本質もよくわかっている」
「面と向かって話したのは、今回が初めてですよ」
「そういう風には見えなかったし、お嬢ちゃんは、少年が好きだと顔に書いてあったぞ」
記憶を取り戻したレイは、すぐにここを出て行くつもりだった。それでも主である松田には声をかけるべきだと思って、ダイニングスペースを通りかかったとき、桜とシラサカがいた。二人が話している姿を見て、レイは苛立った。シラサカは女にモテるし、来るもの拒まずのところがある。二人を引き離そうと一歩踏み出したとき、彼らの会話が耳に入ってきた。
(いいんです、優衣姉の代わりでも。零さんがあんなに傷ついているのに、ひとりにしておけませんから)
(だからって、君が傷ついていいの? 過去の亡霊に君を重ねてすがりついている、バカな男だよ、あいつは)
(それでも、好きだから……泣いても、辛くてもいいから、私の気が済むまで、側にいさせてください!)
これ以上、桜と関わるべきではない。自分と関われば不幸にするだけ。見なかったフリをして、一刻も早くここを出るべき。そう思っていたはずなのに、レイは桜の手を引き寄せ、強く抱きしめていた。彼女の言葉に胸が熱くなっていたから。
なんで俺なんかを、好きになってんだよ。
優衣の墓前で声をかけられたとき、彼女が生き返ったのかと思った。一年後の再会を約束して別れた後、仕事で関わることになってしまい、怪我をさせてしまった。もう二度と危険な目に遭わせたくなくて、桜井に託したというのに、レイはまた出会ってしまった。
そんなこと言われたら、離せなくなるだろうが。
「それに、少年も好きなんだろ、お嬢ちゃんのことが」
記憶を無くしていた間、レイに安らぎを与えてくれたのは、桜だった。まっすぐ自分だけを見て、側にいてくれる。自分が求めていたもの、欲しかったものはこれだと感じていた。
「俺とは、住む世界が違いますから」
だが、それは許されることではない。レイの全身は血と闇にまみれ、果ては業火に焼かれる。そんな人間は、安らぎを求めてはいけないのだ。
「そうだな。俺達は、あの子とは違う場所で生きている」
徐にカーテンが開け放たれ、シラサカが顔を出した。
「おまえ、なんで?」
「俺の方が先に来てた。後からおまえがやってきたから、隠れてみてた」
記憶が戻ったことに松田が無反応だったのは、シラサカから聞いていたからだ。
「金輪際、桜ちゃんには関わりにならない方がいい。あの子の父親は、おまえと因縁がある蓮見だしな」
「そんなこと、わかってる」
「だったら、なぜそれを言わなかった?」
シラサカの言葉は、レイの胸の奥深く突き刺さった。
「気持ちには応えられないと、あのとき、はっきり言えばよかっただろ」
レイが桜を抱きしめたとき、シラサカは記憶が戻ったことを悟った。桜にわからないように、レイは右手の人差し指をそっと口元に当てて、黙っていてほしいと伝えたのである。
「桜ちゃんに優衣ちゃんを重ねるな。あの子の気持ちを利用するんじゃねえ」
「そんなことしてねえ」
「覚えてねえだろうけど、おまえ、桜ちゃんに手を握ってもらいながら、優衣ちゃんの名前を呼んだんだぞ」
それは初耳だった。思わず松田の方を見やれば、小さく頷いた。
「思い出す前のことだし、記憶が混乱していたんだろうよ」
「これ以上、あの子を傷つけるな」
「だから、そうじゃねえって言ってんだろ!?」
「あ、あの!?」
か細い声が耳に届いて、はっとした。振り返れば、診察室の扉が少し開いて、俯いた桜が立っていた。
「私、出て行きますから、もう喧嘩しないでください」
どこから話を聞いていたのか、何をどう誤解したのか、そう言うと、桜は駆け出していく。レイは後を追おうとしたが、シラサカに腕を掴まれてしまう。
「おい、離せ」
「おまえが行っても、傷つけるだけだろ」
「俺が好きなのは、優衣じゃねえ、桜だよ!?」
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