53 / 56
53話
しおりを挟む
これから脂肪酸カルシウムの焼成だ。
水酸化カルシウムを酸化カルシウムにする場合の温度は580度。脂肪酸カルシウムを酸化カルシウムにする場合は一体何度になるんだろうか。
ボクは脂肪酸カルシウムを焼成炉に入れた。
[お知らせ:現在、最終工程のパラジウムの焼成までアテナの骨の製作を進めている方がおります]
ん、システムメッセージだ。これはフクロウくんの事だな。もう最終工程までいったのか、仕事が早いな。やはり1日のハンデは厳しいものがある。でもボクはまだ諦めないぞ。
「焦らず生産に集中だ。ここから先は究極の集中が求められる。まずはトキのリンゴポーションを飲んで女神の加護を付与する」
ボクはトキのリンゴポーションをグイッと飲み干した。
3種の生産補助アイテムの生産の女神の加護は合計で80。トキのリンゴポーションで付与される加護は+10。これで女神加護は+90だ。
「よし、やるぞ」
「一点集中スキル・オン」
「鋳造作業・開始」
ボクは炉の温度計と時計を見ながら、魔力を流し込んでゆっくりと温度を上げていく。
すると温度計と時計に輝く点が見える。
温度計は185度、時計は40分。
次は・・・
温度計は525度、時計は68分。
次は・・・
温度計は589度、時計は369分12.4875秒
「温度の調整は問題ない。問題は時間の長さと細かい時間合わせ。これは一度でも失敗すればフクロウくんに追いつく事は困難になる。余計な事は考えるな、集中、集中」
・・・
「もう少しで369分経過する。ここから女神の加護を発動させる」
「女神の加護・オン」
陸上競技で使われているような時計のデジタル表示がゆっくりと進み始める。
369分12.4870秒
369分12.4871秒
369分12.4872秒
369分12.4873秒
369分12.4874秒
369分12.4875秒
「ここだ!!」
「鋳造作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
品質は・・・
品質を見ようとすると眩しく光り輝く女神アテナのエフェクトが現れた。
アテナの酸化カルシウム、100%の神品質。
「よし、次はこれを細かく砕いてナノ粉末にする。長時間の鋳造作業で疲れているけど、ボクに休んでいるヒマはない。このまま生産を続ける」
「一点集中スキル・オン」
「錬金作業・開始」
カンッ、カンッ、カンッ
ミスリルのハンマーを持ち、アテナの酸化カルシウムを砕いていく。
カンッ、カンッ、カンッ
~~~
「溶岩真珠の時はこのくらいで微粉末になったが見た感じだとまだ粉末だろう。時間のかかる作業だから細かく状態をチェックしながらいこう」
アテナの酸化カルシウムの粉末、100%の神品質。
「やはりまだ粉末状態か。微粉末になるまでどのくらいかかるんだろう」
再びミスリルのハンマーを持って叩き始める。
~~~
ゴリゴリ、ゴリゴリ、ゴリゴリ
粉末より細かくなると叩くというよりはすり潰す感じになる。
「これでどうだ」
アテナの酸化カルシウムの微粉末、100%の神品質。
「クソっまだか。イヤ、焦るな、落ちついて作業継続だ」
ボクは再びミスリルのハンマーを持ってゴリゴリし始める。
ゴリゴリ、ゴリゴリラ、ゴリゴリ、ゴリゴリ、ゴリゴリ、ゴリゴリ
超単純作業を永遠とも思えるような時間の中、ひたすらゴリゴリして微粉末をナノ粉末にする。途中ゴリラって聞こえた気もするが気のせいだろう。とりあえず今の状態を確認しよう。
アテナの酸化カルシウムのマイクロ粉末、100%の神品質。
「クソっまだか。一体いつになったらナノ粉末になるんだ。イヤ、焦るな。仕事は丁寧にやらないといけないんだ。じっくりいこう」
ボクは再びミスリルのハンマーでゴリゴリし始める。
ゴリラゴリラ、ゴリラゴリラ、ゴリラゴリラ、ウホッウホッ、ウホッウホッ、ウホッウホッ
「よし、ゴリラゴリラからウホッウホッに変わってきたぞ。ってこれは一体なんだ」
アテナの酸化カルシウムのナノ粉末、100%の神品質。
「でもようやくナノ粉末の完成だ。もう二度とこんな作業はしたくない。もうこりごりだ・・・コリゴリラ・・・あっーーー!!」
・・・
次はパラジウムの焼成だ。
~~~
[お知らせ:現在、最終工程のパラジウムの焼成までアテナの骨の製作を進めている方がおります]
「ハヤトくんはすごいな。もうパラジウムの焼成まで来たのか。なのに僕は・・・クソっ、なんで最後の焼成が上手くいかないだ。僕には何か足りないものがあるのか・・・」
★★★★★★★★
フクロウくんに足りないモノ。
【クソっ】って何度も使っている違和感に気付けた感性がいい読者の方はきっとオチにお気付きだろう。
このオチに気づいた方はドラゴンセンスに目覚めているのかもしれませんね。
水酸化カルシウムを酸化カルシウムにする場合の温度は580度。脂肪酸カルシウムを酸化カルシウムにする場合は一体何度になるんだろうか。
ボクは脂肪酸カルシウムを焼成炉に入れた。
[お知らせ:現在、最終工程のパラジウムの焼成までアテナの骨の製作を進めている方がおります]
ん、システムメッセージだ。これはフクロウくんの事だな。もう最終工程までいったのか、仕事が早いな。やはり1日のハンデは厳しいものがある。でもボクはまだ諦めないぞ。
「焦らず生産に集中だ。ここから先は究極の集中が求められる。まずはトキのリンゴポーションを飲んで女神の加護を付与する」
ボクはトキのリンゴポーションをグイッと飲み干した。
3種の生産補助アイテムの生産の女神の加護は合計で80。トキのリンゴポーションで付与される加護は+10。これで女神加護は+90だ。
「よし、やるぞ」
「一点集中スキル・オン」
「鋳造作業・開始」
ボクは炉の温度計と時計を見ながら、魔力を流し込んでゆっくりと温度を上げていく。
すると温度計と時計に輝く点が見える。
温度計は185度、時計は40分。
次は・・・
温度計は525度、時計は68分。
次は・・・
温度計は589度、時計は369分12.4875秒
「温度の調整は問題ない。問題は時間の長さと細かい時間合わせ。これは一度でも失敗すればフクロウくんに追いつく事は困難になる。余計な事は考えるな、集中、集中」
・・・
「もう少しで369分経過する。ここから女神の加護を発動させる」
「女神の加護・オン」
陸上競技で使われているような時計のデジタル表示がゆっくりと進み始める。
369分12.4870秒
369分12.4871秒
369分12.4872秒
369分12.4873秒
369分12.4874秒
369分12.4875秒
「ここだ!!」
「鋳造作業・終了」
「一点集中スキル・オフ」
品質は・・・
品質を見ようとすると眩しく光り輝く女神アテナのエフェクトが現れた。
アテナの酸化カルシウム、100%の神品質。
「よし、次はこれを細かく砕いてナノ粉末にする。長時間の鋳造作業で疲れているけど、ボクに休んでいるヒマはない。このまま生産を続ける」
「一点集中スキル・オン」
「錬金作業・開始」
カンッ、カンッ、カンッ
ミスリルのハンマーを持ち、アテナの酸化カルシウムを砕いていく。
カンッ、カンッ、カンッ
~~~
「溶岩真珠の時はこのくらいで微粉末になったが見た感じだとまだ粉末だろう。時間のかかる作業だから細かく状態をチェックしながらいこう」
アテナの酸化カルシウムの粉末、100%の神品質。
「やはりまだ粉末状態か。微粉末になるまでどのくらいかかるんだろう」
再びミスリルのハンマーを持って叩き始める。
~~~
ゴリゴリ、ゴリゴリ、ゴリゴリ
粉末より細かくなると叩くというよりはすり潰す感じになる。
「これでどうだ」
アテナの酸化カルシウムの微粉末、100%の神品質。
「クソっまだか。イヤ、焦るな、落ちついて作業継続だ」
ボクは再びミスリルのハンマーを持ってゴリゴリし始める。
ゴリゴリ、ゴリゴリラ、ゴリゴリ、ゴリゴリ、ゴリゴリ、ゴリゴリ
超単純作業を永遠とも思えるような時間の中、ひたすらゴリゴリして微粉末をナノ粉末にする。途中ゴリラって聞こえた気もするが気のせいだろう。とりあえず今の状態を確認しよう。
アテナの酸化カルシウムのマイクロ粉末、100%の神品質。
「クソっまだか。一体いつになったらナノ粉末になるんだ。イヤ、焦るな。仕事は丁寧にやらないといけないんだ。じっくりいこう」
ボクは再びミスリルのハンマーでゴリゴリし始める。
ゴリラゴリラ、ゴリラゴリラ、ゴリラゴリラ、ウホッウホッ、ウホッウホッ、ウホッウホッ
「よし、ゴリラゴリラからウホッウホッに変わってきたぞ。ってこれは一体なんだ」
アテナの酸化カルシウムのナノ粉末、100%の神品質。
「でもようやくナノ粉末の完成だ。もう二度とこんな作業はしたくない。もうこりごりだ・・・コリゴリラ・・・あっーーー!!」
・・・
次はパラジウムの焼成だ。
~~~
[お知らせ:現在、最終工程のパラジウムの焼成までアテナの骨の製作を進めている方がおります]
「ハヤトくんはすごいな。もうパラジウムの焼成まで来たのか。なのに僕は・・・クソっ、なんで最後の焼成が上手くいかないだ。僕には何か足りないものがあるのか・・・」
★★★★★★★★
フクロウくんに足りないモノ。
【クソっ】って何度も使っている違和感に気付けた感性がいい読者の方はきっとオチにお気付きだろう。
このオチに気づいた方はドラゴンセンスに目覚めているのかもしれませんね。
20
あなたにおすすめの小説
コストカットだ!と追放された王宮道化師は、無数のスキルで冒険者として成り上がる。
あけちともあき
ファンタジー
「宮廷道化師オーギュスト、お前はクビだ」
長い間、マールイ王国に仕え、平和を維持するために尽力してきた道化師オーギュスト。
だが、彼はその活躍を妬んだ大臣ガルフスの陰謀によって職を解かれ、追放されてしまう。
困ったオーギュストは、手っ取り早く金を手に入れて生活を安定させるべく、冒険者になろうとする。
長い道化師生活で身につけた、数々の技術系スキル、知識系スキル、そしてコネクション。
それはどんな難関も突破し、どんな謎も明らかにする。
その活躍は、まさに万能!
死神と呼ばれた凄腕の女戦士を相棒に、オーギュストはあっという間に、冒険者たちの中から頭角を現し、成り上がっていく。
一方、国の要であったオーギュストを失ったマールイ王国。
大臣一派は次々と問題を起こし、あるいは起こる事態に対応ができない。
その方法も、人脈も、全てオーギュストが担当していたのだ。
かくしてマールイ王国は傾き、転げ落ちていく。
目次
連載中 全21話
2021年2月17日 23:39 更新
本物の聖女じゃないと追放されたので、隣国で竜の巫女をします。私は聖女の上位存在、神巫だったようですがそちらは大丈夫ですか?
今川幸乃
ファンタジー
ネクスタ王国の聖女だったシンシアは突然、バルク王子に「お前は本物の聖女じゃない」と言われ追放されてしまう。
バルクはアリエラという聖女の加護を受けた女を聖女にしたが、シンシアの加護である神巫(かんなぎ)は聖女の上位存在であった。
追放されたシンシアはたまたま隣国エルドラン王国で竜の巫女を探していたハリス王子にその力を見抜かれ、巫女候補として招かれる。そこでシンシアは神巫の力は神や竜など人外の存在の意志をほぼ全て理解するという恐るべきものだということを知るのだった。
シンシアがいなくなったバルクはアリエラとやりたい放題するが、すぐに神の怒りに触れてしまう。
微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する
こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」
そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。
だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。
「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」
窮地に追い込まれたフォーレスト。
だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。
こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。
これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します
すもも太郎
ファンタジー
伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。
その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。
出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。
そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。
大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。
今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。
※ハッピーエンドです
幼子家精霊ノアの献身〜転生者と過ごした記憶を頼りに、家スキルで快適生活を送りたい〜
犬社護
ファンタジー
むか〜しむかし、とある山頂付近に、冤罪により断罪で断種された元王子様と、同じく断罪で国外追放された元公爵令嬢が住んでいました。2人は異世界[日本]の記憶を持っていながらも、味方からの裏切りに遭ったことで人間不信となってしまい、およそ50年間自給自足生活を続けてきましたが、ある日元王子様は寿命を迎えることとなりました。彼を深く愛していた元公爵令嬢は《自分も彼と共に天へ》と真摯に祈ったことで、神様はその願いを叶えるため、2人の住んでいた家に命を吹き込み、家精霊ノアとして誕生させました。ノアは、2人の願いを叶え丁重に葬りましたが、同時に孤独となってしまいます。家精霊の性質上、1人で生き抜くことは厳しい。そこで、ノアは下山することを決意します。
これは転生者たちと過ごした記憶と知識を糧に、家スキルを巧みに操りながら人々に善行を施し、仲間たちと共に世界に大きな変革をもたす精霊の物語。
僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~
いとうヒンジ
ファンタジー
ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。
理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。
パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。
友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。
その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。
カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。
キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。
最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる