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19:家族との時間②
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新緑に小川が流れている開けた場所にガゼボがあり、すでにテーブルや軽食の準備が整っている。
「レティ、髪飾りをつけてくれているんだな。似合ってるよ」
クロードは妹の髪飾りを褒めていた。それに嬉しそうな顔でこたえた。
「お母さまも褒めてくれたの。お父さまも素敵だと思う?」
「もちろんだとも。とても可愛いよ。お嫁に出したくないくらいだ。ずっとパパの元にいてくれないかい?」
「あら、ダメよ。私にはもう王子さまがいるんだもの」
レティシアはすでに婚約者の肖像画を見ており、すでに一度だけ対面も果たしている。
ファーストコンタクトは悪くはなく、お互いに好意的な態度で終っていた。
「感傷に浸るにはまだはやいのではないですか? レティはまだ学ぶことがいっぱいあるのですから」
自分もそうであったようにレティシアも王家の女としての役割を果たすために勉強に勤しんでいる。
「クロードは最近どうだ? 少しは息抜きも必要だろう。新しい馬をおくろう」
アルフレッドが話題をクロードにかえた。
ゲレ子爵領に頻繁に狩りへ赴いたために、狩りを自粛しており、息抜きというものが殆んどなくなっていた。
「本当ですか! 久しぶりに父上と乗馬を楽しみたいです」
「時間をつくろう。ディアたちもどうだ? 」
クラウディアは子どもたちの様子をみてから、微笑んで断った。
「遠慮しますわ。ジルはまだ乗馬をならっていませんし。プロンベルト侯のためにパーティーの準備もありますので」
無難な理由だろう。
プロンベルト侯は新大陸経営の第一任者とまでいわれており、帝国の貴族ではあるが実家を通じて招く事ができた。
彼を丁重に迎えることは外交ならびに国の今後の動きに関わるのだ。
「わかった。レティはどうだい?」
「遠慮しておくわ。お兄さまの休息の邪魔をしたくないもの。それに乗馬よりもティナと遊びたいわ」
ティナとはレティシアの婚約が決まった時にシャルモン伯爵からおくられたパピヨンだ。レティシアはその犬をとても可愛がっていた。
その犬を理由に誘いを辞退した。彼女なりに兄を気遣っていたのかもしれない。
「ティナと遊ぶのは僕!」
「ティナは私の犬よ。でも、私はお姉さんだからジルも仲間にいれてあげるわ」
ジルベールは少し不服そうな顔をしたがそれで納得した。
その姿にアルフレッドは苦笑した。ジルベールのために新しい犬を用意することを念頭においた。
そうして、最近勉強していることやあった出来事など他愛もない会話をしてあまり多くない家族が揃った時間を終えた。
幼い子どもたちをナニーたちに任せ、クラウディアはアルフレッドの隣を歩いていた。
「ジョレアン公爵に関して話がある」
「奇遇ですね。私もジョレアン公爵令嬢の話があります」
そうして執務室に向かう途中でも予期せぬ人が通りかかった。
オートゥイユ夫人だ。
彼女は貴族の礼に従ってカーテシーをして声をかけられるのを待っていた。しかし、クラウディアにその気はない。
アルフレッドが彼女にどのような対応をするのか知らないが、クラウディアは彼女の存在を無視し歩調をはやめて先を歩いた。
だがアルフレッドはクラウディアの隣を譲ることなくオートゥイユ夫人の挨拶を無視した。
「陛下!」
アルフレッドの行動に声をあげたのはオートゥイユ夫人だった。
「このような扱いはあんまりではありませんか! 私は公妾であり、陛下の御子まで産んだのですよ!」
ヒステリックな声が耳につく。
彼女は公妾のことを何だと思っていたのだろう。
公妾はあくまでも愛人であり、それ以上でも以下にもなりえない。子どもに相続権はないし、王妃に成り代わることもない。
歴史上、廷臣として政治に参画した人物もいるが、基本は国王の寵愛やその人物の才覚ありきだ。権力や社会の波にさらされる常に不安定な立場であり、待遇に不満を呈する立場ではない。
「朕を謀った存在で何を勘違いしているのだ。そなたがここにいれるのは王妃の慈悲によるものだ。断頭台にたたされないだけましだと思え」
アルフレッドが語気を強めて言う姿はあまり見慣れず、少し驚いた。
謀ったと言っていたが、どういうことなのか全くわからない。ただ、アルフレッドが今はオートゥイユ夫人に興味も何もないと言うことだけはわかった。
「ディア、聞いているか?」
「えっ? ごめんなさい、ボーッとしていたわ」
執務室の猫脚ソファに腰かけてテーブルの上には纏められた報告書のようなものがあった。
「クロードがあげたジョレアン公爵の不正およびノルディストとの内通の証拠だ」
少し粗はあるがアルフレッドとクラウディアが調査した結果と類似している。
「十分ですね。クリストフ・ド・コルヌアイユとの話はつきましたか?」
「ああ。父母の不正を告発する代わりに爵位継承の保証を求めた。家族の命の保証ではないのだからあの家は……」
ジョレアン公爵家は長年の敵対国であったノルディストと内通しており、武器などの輸出規制品を密貿易していた。それだけで反逆罪として領地および爵位の没収と首謀者の処刑と一族の追放は確実だ。
「ジョレアン領を王家のものにすることはゆずれません。クリストフ中尉には形式だけのジョレアン公爵の位を授けるだけでも、かなりの恩赦です」
ジョレアン領は海に面し、肥沃な土地であるため交易も産業も盛んな豊かな場所だ。そのため手放しにすれば公爵のような輩が出てくるだろう。
それならばいっそのこと王家がおさえておくほうがよい。
「クリストフ中尉もそれで納得している。幸いなことに、セリーヌ嬢に甘い公爵夫妻がタウンハウスに長期滞在しており、公爵領とのつながりをたちやすい。タイミングを見計らいうまく行おう」
「そうしましょう。セリーヌ嬢との婚約解消も同時期でよいでしょう。ノルディストとの繋がりがなくとも、彼女は王妃の器ではありません」
国民の母を名乗るには矮小で、王家になるには世間知らず。ただの社交や礼儀だけではつとまらない地位にあるそれを手にするには幼稚だ。
「クロードもこの証拠をもとにセリーヌ嬢との婚約破棄を願い出た。アンナ嬢を暗殺しようとしたとかで非道な行いだと憤慨していたよ」
「非道ですか」
クラウディアは嗤った。
よくあることとは言わないが、この世界では珍しくはない話だろう。
遊楽、享楽、不倫、殺人、戦争、それらを黙認ないし好とする風潮がある中で、非道などという言葉を言うことができる純真なクロードが羨ましい。
「プロンベルト侯に妙齢のご息女がいるそうです。評判もよく、器量好く、母親は帝国の皇女です。プロンベルト侯に同伴して来訪するとのことです」
「彼女をクロードの新たな婚約者とするのか?」
「先方もそのつもりで連れてくるのでしょう。王の子は王太子以外にもいますし」
プロンベルト侯がテオドールと婚約させるのかジルベールと婚約させたがっているかはわからないが、先方も王太子と繋がれた方が嬉しいだろう。
「プロンベルト侯の出方をみて判断しよう。令嬢とも会って見ないといけないな。セリーヌ嬢のようなことは避けたい」
「わかりました」
話は終わりだと立ち上がったときに立ち眩みがおき、体が傾いた。
衝撃を覚悟したが、人肌の温もりとかかる息だけが感じられた。
「すみません」
「体調が悪いのか?」
「いえ、ご心配をおかけしました」
大袈裟なまでに心配そうな顔をしているので、ふと疑問に思ったことを口にしてしまった。
「オートゥイユ夫人をどうするおつもりですか?」
「どうとは。彼女の処遇は君に一任している。あの時以降、一度も触れていない女だ。追い出そうが、殺そうが好きにすればいい。君のことだから何か考えがあって止めているのだろう」
一見残酷に聞こえる言葉。それに安心してしまった自分がいることを恥じる。
オートゥイユ夫人の役割は風評避けだ。彼女の絶えない醜聞によって、貴族や民衆の関心を集めている。もちろん恨みも。
だからこそ、以前クラウディアが仮面舞踏会に行ったことも表にはでることはない。
「時期を見計らって放逐します。ここで飼い殺しても、彼女には毒にしかならない」
最近の動向として、オートゥイユ夫人はセリーヌ嬢に取り入ろうとしていたが、気位が高い彼女は醜聞まみれのオートゥイユ夫人をはね除けた。
それがまた面白おかしく社交界の話題となっていた。
「部屋まで送ろう」
「……ありがとうございます」
テオドールとの会話を思い出した。
私はこの人を今でも愛しているのだろうか。
この人は私を一度でも愛していたのだろうか。
今でも愛しているのだろうか。
その愛を受け入れられるだろうか。
「レティ、髪飾りをつけてくれているんだな。似合ってるよ」
クロードは妹の髪飾りを褒めていた。それに嬉しそうな顔でこたえた。
「お母さまも褒めてくれたの。お父さまも素敵だと思う?」
「もちろんだとも。とても可愛いよ。お嫁に出したくないくらいだ。ずっとパパの元にいてくれないかい?」
「あら、ダメよ。私にはもう王子さまがいるんだもの」
レティシアはすでに婚約者の肖像画を見ており、すでに一度だけ対面も果たしている。
ファーストコンタクトは悪くはなく、お互いに好意的な態度で終っていた。
「感傷に浸るにはまだはやいのではないですか? レティはまだ学ぶことがいっぱいあるのですから」
自分もそうであったようにレティシアも王家の女としての役割を果たすために勉強に勤しんでいる。
「クロードは最近どうだ? 少しは息抜きも必要だろう。新しい馬をおくろう」
アルフレッドが話題をクロードにかえた。
ゲレ子爵領に頻繁に狩りへ赴いたために、狩りを自粛しており、息抜きというものが殆んどなくなっていた。
「本当ですか! 久しぶりに父上と乗馬を楽しみたいです」
「時間をつくろう。ディアたちもどうだ? 」
クラウディアは子どもたちの様子をみてから、微笑んで断った。
「遠慮しますわ。ジルはまだ乗馬をならっていませんし。プロンベルト侯のためにパーティーの準備もありますので」
無難な理由だろう。
プロンベルト侯は新大陸経営の第一任者とまでいわれており、帝国の貴族ではあるが実家を通じて招く事ができた。
彼を丁重に迎えることは外交ならびに国の今後の動きに関わるのだ。
「わかった。レティはどうだい?」
「遠慮しておくわ。お兄さまの休息の邪魔をしたくないもの。それに乗馬よりもティナと遊びたいわ」
ティナとはレティシアの婚約が決まった時にシャルモン伯爵からおくられたパピヨンだ。レティシアはその犬をとても可愛がっていた。
その犬を理由に誘いを辞退した。彼女なりに兄を気遣っていたのかもしれない。
「ティナと遊ぶのは僕!」
「ティナは私の犬よ。でも、私はお姉さんだからジルも仲間にいれてあげるわ」
ジルベールは少し不服そうな顔をしたがそれで納得した。
その姿にアルフレッドは苦笑した。ジルベールのために新しい犬を用意することを念頭においた。
そうして、最近勉強していることやあった出来事など他愛もない会話をしてあまり多くない家族が揃った時間を終えた。
幼い子どもたちをナニーたちに任せ、クラウディアはアルフレッドの隣を歩いていた。
「ジョレアン公爵に関して話がある」
「奇遇ですね。私もジョレアン公爵令嬢の話があります」
そうして執務室に向かう途中でも予期せぬ人が通りかかった。
オートゥイユ夫人だ。
彼女は貴族の礼に従ってカーテシーをして声をかけられるのを待っていた。しかし、クラウディアにその気はない。
アルフレッドが彼女にどのような対応をするのか知らないが、クラウディアは彼女の存在を無視し歩調をはやめて先を歩いた。
だがアルフレッドはクラウディアの隣を譲ることなくオートゥイユ夫人の挨拶を無視した。
「陛下!」
アルフレッドの行動に声をあげたのはオートゥイユ夫人だった。
「このような扱いはあんまりではありませんか! 私は公妾であり、陛下の御子まで産んだのですよ!」
ヒステリックな声が耳につく。
彼女は公妾のことを何だと思っていたのだろう。
公妾はあくまでも愛人であり、それ以上でも以下にもなりえない。子どもに相続権はないし、王妃に成り代わることもない。
歴史上、廷臣として政治に参画した人物もいるが、基本は国王の寵愛やその人物の才覚ありきだ。権力や社会の波にさらされる常に不安定な立場であり、待遇に不満を呈する立場ではない。
「朕を謀った存在で何を勘違いしているのだ。そなたがここにいれるのは王妃の慈悲によるものだ。断頭台にたたされないだけましだと思え」
アルフレッドが語気を強めて言う姿はあまり見慣れず、少し驚いた。
謀ったと言っていたが、どういうことなのか全くわからない。ただ、アルフレッドが今はオートゥイユ夫人に興味も何もないと言うことだけはわかった。
「ディア、聞いているか?」
「えっ? ごめんなさい、ボーッとしていたわ」
執務室の猫脚ソファに腰かけてテーブルの上には纏められた報告書のようなものがあった。
「クロードがあげたジョレアン公爵の不正およびノルディストとの内通の証拠だ」
少し粗はあるがアルフレッドとクラウディアが調査した結果と類似している。
「十分ですね。クリストフ・ド・コルヌアイユとの話はつきましたか?」
「ああ。父母の不正を告発する代わりに爵位継承の保証を求めた。家族の命の保証ではないのだからあの家は……」
ジョレアン公爵家は長年の敵対国であったノルディストと内通しており、武器などの輸出規制品を密貿易していた。それだけで反逆罪として領地および爵位の没収と首謀者の処刑と一族の追放は確実だ。
「ジョレアン領を王家のものにすることはゆずれません。クリストフ中尉には形式だけのジョレアン公爵の位を授けるだけでも、かなりの恩赦です」
ジョレアン領は海に面し、肥沃な土地であるため交易も産業も盛んな豊かな場所だ。そのため手放しにすれば公爵のような輩が出てくるだろう。
それならばいっそのこと王家がおさえておくほうがよい。
「クリストフ中尉もそれで納得している。幸いなことに、セリーヌ嬢に甘い公爵夫妻がタウンハウスに長期滞在しており、公爵領とのつながりをたちやすい。タイミングを見計らいうまく行おう」
「そうしましょう。セリーヌ嬢との婚約解消も同時期でよいでしょう。ノルディストとの繋がりがなくとも、彼女は王妃の器ではありません」
国民の母を名乗るには矮小で、王家になるには世間知らず。ただの社交や礼儀だけではつとまらない地位にあるそれを手にするには幼稚だ。
「クロードもこの証拠をもとにセリーヌ嬢との婚約破棄を願い出た。アンナ嬢を暗殺しようとしたとかで非道な行いだと憤慨していたよ」
「非道ですか」
クラウディアは嗤った。
よくあることとは言わないが、この世界では珍しくはない話だろう。
遊楽、享楽、不倫、殺人、戦争、それらを黙認ないし好とする風潮がある中で、非道などという言葉を言うことができる純真なクロードが羨ましい。
「プロンベルト侯に妙齢のご息女がいるそうです。評判もよく、器量好く、母親は帝国の皇女です。プロンベルト侯に同伴して来訪するとのことです」
「彼女をクロードの新たな婚約者とするのか?」
「先方もそのつもりで連れてくるのでしょう。王の子は王太子以外にもいますし」
プロンベルト侯がテオドールと婚約させるのかジルベールと婚約させたがっているかはわからないが、先方も王太子と繋がれた方が嬉しいだろう。
「プロンベルト侯の出方をみて判断しよう。令嬢とも会って見ないといけないな。セリーヌ嬢のようなことは避けたい」
「わかりました」
話は終わりだと立ち上がったときに立ち眩みがおき、体が傾いた。
衝撃を覚悟したが、人肌の温もりとかかる息だけが感じられた。
「すみません」
「体調が悪いのか?」
「いえ、ご心配をおかけしました」
大袈裟なまでに心配そうな顔をしているので、ふと疑問に思ったことを口にしてしまった。
「オートゥイユ夫人をどうするおつもりですか?」
「どうとは。彼女の処遇は君に一任している。あの時以降、一度も触れていない女だ。追い出そうが、殺そうが好きにすればいい。君のことだから何か考えがあって止めているのだろう」
一見残酷に聞こえる言葉。それに安心してしまった自分がいることを恥じる。
オートゥイユ夫人の役割は風評避けだ。彼女の絶えない醜聞によって、貴族や民衆の関心を集めている。もちろん恨みも。
だからこそ、以前クラウディアが仮面舞踏会に行ったことも表にはでることはない。
「時期を見計らって放逐します。ここで飼い殺しても、彼女には毒にしかならない」
最近の動向として、オートゥイユ夫人はセリーヌ嬢に取り入ろうとしていたが、気位が高い彼女は醜聞まみれのオートゥイユ夫人をはね除けた。
それがまた面白おかしく社交界の話題となっていた。
「部屋まで送ろう」
「……ありがとうございます」
テオドールとの会話を思い出した。
私はこの人を今でも愛しているのだろうか。
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