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余命二年
24.苦い思い出を塗り替えて
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並んで向かってくるわたくし達を見て、クリストフ様はふんっと鼻で嗤った。
おそらくは牽制のつもりなのでしょう。
クリストフ様は今年で三十二歳になられた。
三大聖教一族レイス家と姻戚関係になったためか、ブロンドの髪は長く伸ばして横結びにしている。
お召しになっているのは、ライトグレーの礼服だ。
金糸と銀糸で彩られた花々の刺繍が目を引く。
相変わらずオシャレでいらっしゃるのですね。
「やぁ、エレノア。久しぶりだね」
「ご無沙汰しております、クリストフ様」
「まさか来てくださるとは」
わたくしがカーテシーをしている間に、ユーリが話をし始めた。
纏う雰囲気は予想に反してやわらかい。
「嫌味のつもりか?」
「そんなふうに見えます?」
ユーリは笑顔だ。
声も弾んでいて、どこかそわそわとしているようにも見える。
まるでそう憧れて止まないお方を前にしているかのような。
「エラ。言い忘れていましたが、クリストフ様と俺は師弟の関係にあるんです」
「えっ……?」
「ハーヴィー様からの勧めで、光魔法を教えてもらいました」
この国の勇者一族は、古の時代からライバル関係にある。
当代も例外ではなく、ハーヴィー様とクリストフ様も『王の剣』の座を巡って鎬を削っていたはず……なのだけれど。
「ハーヴィー様が、あのようなお体になられてしまわれたから?」
「はい。国益を重視されたのだと思います」
何てこと……。
『一代限りの才』への惜しみない投資といい、ユーリの弟子入りの件といい、本当に賢明なお方ね。
「何度も言わせるな。私は君の師ではない」
クリストフ様がパシャリと言い放った。
ハーヴィー様の国を思うお心さえも、否定するかのように。
けれど、ユーリは怒らない。
それどころか余裕たっぷりの笑顔で返す。
「ええ。今はまだ自称で構いませんよ」
「この先も改めるつもりはない」
「望むところです」
「……っ、話しにならない」
クリストフ様は眉間にしわを寄せて不快感を露わにしている。
だけど、どうにも不自然だ。
伝わってくる感情と、浮かべている表情が一致していないように思う。
痩せ我慢。虚勢。そんな言葉が頭を過った。
「クリストフ様!」
一人の女性が駆け寄ってくる。
クリストフ様の妻であり、わたくしの元同僚でもある聖女シャロン様だ。
澄み切った昼の空を思わせるようなウェーブがかった青い髪に、星空を思わせるような濃紺の瞳。
相も変わらず、清らかでありながら儚げな美貌を湛えている。
纏っているのは純白のドレス。
金糸と銀糸で美しい花の刺繍が施されている。
もしかしたら、クリストフ様と揃いのデザインであるのかもしれない。
「立場を弁えなさい! この農民風情が!!」
咄嗟にユーリの方に目をやる。
彼は焦っていた。その目は周囲に向いている。
夫妻の立場を案じているのね。
「何ということを……」
「先王派らしい物言いだな。呆れてものも言えん」
会場内に緊張が走る。
それでもシャロン様は引かない。
凄まじい剣幕でユーリに迫る。
声と瞳には怒気が滲み、手は小刻みに震えていた。
彼女なりに必死になってクリストフ様を守ろうとしているのだろう。
素晴らしいわ。でも、このままでは彼らは一層苦境に追い込まれてしまう。
捨て置くことなんて出来ない。
今のお二人の苦境は、わたくしのせいでもあるのだから。
意を決して口を開く。
「シャロン様、ユーリには悪意はありませんわ」
「……は?」
「そんな器用な人間ではないのです。何せ……生きているのか、死んでいるのかも分からないような女性のことを、ただひたすらに思い続けてしまうような方ですから」
作戦は功を奏したようだ。
わたくしの場違いな惚気話を受けて、お二人の怒りの熱がすんっと冷めていく。
巻き込まれたユーリは、何とも作為的な表情を浮かべていた。
片眉を持ち上げて不満をアピールしているけれど、その実満更でもなさそうだ。
「まさに破れ鍋に綴じ蓋といったところだな」
「ふふふっ、仰る通りで」
「君を選ばずにおいて正解だった。心からそう思うよ」
クリストフ様はそう言いながらシャロン様の肩を抱いた。
シャロン様もその思いに応えるように、彼の広い胸に顔を寄せている。
以前ほど胸は痛まなかった。
それはたぶん安心したからね。
クリストフ様は最上の妻を得た。
シャロン様がお側にいてくださる限り、クリストフ様が折れることはないでしょう。
「参りましょう、クリストフ様」
「そうだな。向こうで飲み直そう」
クリストフ様とシャロン様が背を向けて歩き出す。
すると、タイミングを見計らったかのように周囲の招待客の方々が話し始める。
「ユーリ様とエレノア様のご厚意を……」
「ああ、まったく……。これだから先王派は」
留まるところを知らない非難の言葉。
その範囲は、個人から夫妻が属する先王派へと波及していった。
「ご夫妻は……いえ、先王派は苦境に立たされているようですね」
クリストフ様をはじめとした先王派は、所謂『保守派』の権威主義者の集まりだ。
身分の垣根を超えた団結を理想に掲げる現国王派とは相容れず、時代に取り残されつつあるのだろう。
「クリストフ様はこの数週間……魔王討伐作戦以降、休職されているんです」
「心を病まれてしまって?」
「ええ。朝から晩まで酒に溺れて、今日やっと表に出て来てくれた」
「……そう」
「必ず戻します。じゃないと、俺が困るので」
「まぁ? それはどうして?」
「お恥ずかしい話、俺には技術と経験が圧倒的に不足しているので」
「なるほど。それを補ってくださるのが、先輩勇者のお二人というわけね」
おそらくは、技術面でのフォローをクリストフ様に、経験によるフォローをハーヴィー様に依存しているということなのだろう。
二人のベテラン勇者を慕う新米勇者。
ユーリの存在が不仲な両家を繋ぐ、ある種の潤滑油として機能する日もそう遠くはないのかもしれない。
「師事して分かりました。クリストフ様は天才じゃない。俺と同じ凡人だ。だからこそ、分かるんです。あのお方が抱えていらっしゃるプレッシャーだったり、やるせなさだったり……俺の両脇にも、とんでもない天才がいますから」
「レイとビルのことね」
ユーリは困ったように笑いながらこくりと頷いた。
わたくしも……少しだけ理解出来たような気がする。
クリストフ様がユーリを拒み切れない理由を。
期待されているのかもしれない。
長年抱えてきた苦悩を、同じ勇者で努力家であるユーリとなら、分かち合えるのではないかと。
「クリストフ様のこと、お願い出来るかしら?」
「勿論です。お任せください」
「ありがとう」
ほっと息をつくと演奏が聞こえてきた。
ワルツだ。リズムも一定で、展開されるステップもごく基本的なものばかり。
そのためか、今まで遠巻きにご覧になっていた平民の方々も、ダンスの輪に加わり始めている。
「ねえ、もう一曲踊ってくださらない? 今度はズルなしで」
「いいんですか?」
「いやね。小さな子供も踊るような曲よ」
「分かりました。適宜フォローします」
「まぁ? 失礼しちゃうわ」
むくれたフリをしながら、ダンスの輪に加わっていく。
ユーリはズルをしなかった。
わたくしに足を踏まれても声を上げず、わたくしが転びかけてもさり気なく受け止めて。
「ふっ、下手くそ」
「まぁ、ひどい。これでも一生懸命なの、よっ」
「ええ。だからこそ、愛おしいというか。ずっと見ていられます」
ユーリが楽しそうに笑う。つられるようにわたくしも。
「あれ? 聖女様……やっぱり……」
「酔っぱらってるんじゃない?」
「何だっていいじゃない。あんなにお幸せそうなんだから」
「そうよ、そうよ! 上手い下手なんて二の次さ!」
周囲の方々の温かなフォローが、わたくし達の笑みを一層深めてくれる。
わたくしの暗く澱んだ思い出は、眩く色鮮やかな思い出によってすっかり塗り替えられた。
感謝してもしきれない……なんて、しみじみと思っていたら、またユーリの足を踏んでしまった。
顔を顰めるユーリに笑顔で謝りつつ舞踏を続けていく。
この思い出を、一秒一秒大切に胸に刻みながら。
おそらくは牽制のつもりなのでしょう。
クリストフ様は今年で三十二歳になられた。
三大聖教一族レイス家と姻戚関係になったためか、ブロンドの髪は長く伸ばして横結びにしている。
お召しになっているのは、ライトグレーの礼服だ。
金糸と銀糸で彩られた花々の刺繍が目を引く。
相変わらずオシャレでいらっしゃるのですね。
「やぁ、エレノア。久しぶりだね」
「ご無沙汰しております、クリストフ様」
「まさか来てくださるとは」
わたくしがカーテシーをしている間に、ユーリが話をし始めた。
纏う雰囲気は予想に反してやわらかい。
「嫌味のつもりか?」
「そんなふうに見えます?」
ユーリは笑顔だ。
声も弾んでいて、どこかそわそわとしているようにも見える。
まるでそう憧れて止まないお方を前にしているかのような。
「エラ。言い忘れていましたが、クリストフ様と俺は師弟の関係にあるんです」
「えっ……?」
「ハーヴィー様からの勧めで、光魔法を教えてもらいました」
この国の勇者一族は、古の時代からライバル関係にある。
当代も例外ではなく、ハーヴィー様とクリストフ様も『王の剣』の座を巡って鎬を削っていたはず……なのだけれど。
「ハーヴィー様が、あのようなお体になられてしまわれたから?」
「はい。国益を重視されたのだと思います」
何てこと……。
『一代限りの才』への惜しみない投資といい、ユーリの弟子入りの件といい、本当に賢明なお方ね。
「何度も言わせるな。私は君の師ではない」
クリストフ様がパシャリと言い放った。
ハーヴィー様の国を思うお心さえも、否定するかのように。
けれど、ユーリは怒らない。
それどころか余裕たっぷりの笑顔で返す。
「ええ。今はまだ自称で構いませんよ」
「この先も改めるつもりはない」
「望むところです」
「……っ、話しにならない」
クリストフ様は眉間にしわを寄せて不快感を露わにしている。
だけど、どうにも不自然だ。
伝わってくる感情と、浮かべている表情が一致していないように思う。
痩せ我慢。虚勢。そんな言葉が頭を過った。
「クリストフ様!」
一人の女性が駆け寄ってくる。
クリストフ様の妻であり、わたくしの元同僚でもある聖女シャロン様だ。
澄み切った昼の空を思わせるようなウェーブがかった青い髪に、星空を思わせるような濃紺の瞳。
相も変わらず、清らかでありながら儚げな美貌を湛えている。
纏っているのは純白のドレス。
金糸と銀糸で美しい花の刺繍が施されている。
もしかしたら、クリストフ様と揃いのデザインであるのかもしれない。
「立場を弁えなさい! この農民風情が!!」
咄嗟にユーリの方に目をやる。
彼は焦っていた。その目は周囲に向いている。
夫妻の立場を案じているのね。
「何ということを……」
「先王派らしい物言いだな。呆れてものも言えん」
会場内に緊張が走る。
それでもシャロン様は引かない。
凄まじい剣幕でユーリに迫る。
声と瞳には怒気が滲み、手は小刻みに震えていた。
彼女なりに必死になってクリストフ様を守ろうとしているのだろう。
素晴らしいわ。でも、このままでは彼らは一層苦境に追い込まれてしまう。
捨て置くことなんて出来ない。
今のお二人の苦境は、わたくしのせいでもあるのだから。
意を決して口を開く。
「シャロン様、ユーリには悪意はありませんわ」
「……は?」
「そんな器用な人間ではないのです。何せ……生きているのか、死んでいるのかも分からないような女性のことを、ただひたすらに思い続けてしまうような方ですから」
作戦は功を奏したようだ。
わたくしの場違いな惚気話を受けて、お二人の怒りの熱がすんっと冷めていく。
巻き込まれたユーリは、何とも作為的な表情を浮かべていた。
片眉を持ち上げて不満をアピールしているけれど、その実満更でもなさそうだ。
「まさに破れ鍋に綴じ蓋といったところだな」
「ふふふっ、仰る通りで」
「君を選ばずにおいて正解だった。心からそう思うよ」
クリストフ様はそう言いながらシャロン様の肩を抱いた。
シャロン様もその思いに応えるように、彼の広い胸に顔を寄せている。
以前ほど胸は痛まなかった。
それはたぶん安心したからね。
クリストフ様は最上の妻を得た。
シャロン様がお側にいてくださる限り、クリストフ様が折れることはないでしょう。
「参りましょう、クリストフ様」
「そうだな。向こうで飲み直そう」
クリストフ様とシャロン様が背を向けて歩き出す。
すると、タイミングを見計らったかのように周囲の招待客の方々が話し始める。
「ユーリ様とエレノア様のご厚意を……」
「ああ、まったく……。これだから先王派は」
留まるところを知らない非難の言葉。
その範囲は、個人から夫妻が属する先王派へと波及していった。
「ご夫妻は……いえ、先王派は苦境に立たされているようですね」
クリストフ様をはじめとした先王派は、所謂『保守派』の権威主義者の集まりだ。
身分の垣根を超えた団結を理想に掲げる現国王派とは相容れず、時代に取り残されつつあるのだろう。
「クリストフ様はこの数週間……魔王討伐作戦以降、休職されているんです」
「心を病まれてしまって?」
「ええ。朝から晩まで酒に溺れて、今日やっと表に出て来てくれた」
「……そう」
「必ず戻します。じゃないと、俺が困るので」
「まぁ? それはどうして?」
「お恥ずかしい話、俺には技術と経験が圧倒的に不足しているので」
「なるほど。それを補ってくださるのが、先輩勇者のお二人というわけね」
おそらくは、技術面でのフォローをクリストフ様に、経験によるフォローをハーヴィー様に依存しているということなのだろう。
二人のベテラン勇者を慕う新米勇者。
ユーリの存在が不仲な両家を繋ぐ、ある種の潤滑油として機能する日もそう遠くはないのかもしれない。
「師事して分かりました。クリストフ様は天才じゃない。俺と同じ凡人だ。だからこそ、分かるんです。あのお方が抱えていらっしゃるプレッシャーだったり、やるせなさだったり……俺の両脇にも、とんでもない天才がいますから」
「レイとビルのことね」
ユーリは困ったように笑いながらこくりと頷いた。
わたくしも……少しだけ理解出来たような気がする。
クリストフ様がユーリを拒み切れない理由を。
期待されているのかもしれない。
長年抱えてきた苦悩を、同じ勇者で努力家であるユーリとなら、分かち合えるのではないかと。
「クリストフ様のこと、お願い出来るかしら?」
「勿論です。お任せください」
「ありがとう」
ほっと息をつくと演奏が聞こえてきた。
ワルツだ。リズムも一定で、展開されるステップもごく基本的なものばかり。
そのためか、今まで遠巻きにご覧になっていた平民の方々も、ダンスの輪に加わり始めている。
「ねえ、もう一曲踊ってくださらない? 今度はズルなしで」
「いいんですか?」
「いやね。小さな子供も踊るような曲よ」
「分かりました。適宜フォローします」
「まぁ? 失礼しちゃうわ」
むくれたフリをしながら、ダンスの輪に加わっていく。
ユーリはズルをしなかった。
わたくしに足を踏まれても声を上げず、わたくしが転びかけてもさり気なく受け止めて。
「ふっ、下手くそ」
「まぁ、ひどい。これでも一生懸命なの、よっ」
「ええ。だからこそ、愛おしいというか。ずっと見ていられます」
ユーリが楽しそうに笑う。つられるようにわたくしも。
「あれ? 聖女様……やっぱり……」
「酔っぱらってるんじゃない?」
「何だっていいじゃない。あんなにお幸せそうなんだから」
「そうよ、そうよ! 上手い下手なんて二の次さ!」
周囲の方々の温かなフォローが、わたくし達の笑みを一層深めてくれる。
わたくしの暗く澱んだ思い出は、眩く色鮮やかな思い出によってすっかり塗り替えられた。
感謝してもしきれない……なんて、しみじみと思っていたら、またユーリの足を踏んでしまった。
顔を顰めるユーリに笑顔で謝りつつ舞踏を続けていく。
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