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余命二年
23.舞踏会
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舞踏会を目前に控えた夕暮時。
わたくしのドレスアップは無事に完了した。
選んだのは、ライトブルーのハイネックのドレスだ。
露出こそ控えめではあるものの、デコルテの部分が白い花柄のレースになっていて、とても華やかな印象を与えてくれる。
髪は舞踏会ということでアップスタイルにしてもらった。
さて、ユーリはどんな格好で来るのかしら? と、お洋服好きのアンナと楽しみにしていたのだけれど……まさかまさかの軍服姿だった!
訳を訊ねると彼はこう答えた。
『人前に出る時はいつも軍服なんです』と。
庶民派勇者でもあり、侯爵令嬢の婚約者でもある。
そんな相反する立場を維持するのには、勇者の軍服が最適解であるのだと。
ご事情は分かった。
でも、貴方を愛する一人の女性としては、どうしても承服しかねる部分もあって……。
無理を承知でお願いをしてみた。
『結婚式の時だけでもおめかしを。タキシードを着てくれない?』と。
するとユーリは、渋い顔をしながらも了承してくれた。
『一生に一度の大切な日だから』と。
それを言うならこの舞踏会もそうなのだけれど……まぁ、その点については目を瞑ることにする。
「勇者ユーリ様、エレノア様、お付き」
ユーリからのエスコートを受けながら、舞踏場に足を踏み入れていく。
見上げれば、青空が描かれたドーム型の天井が。
中央と四隅には六段からなる大きなシャンデリアが吊り下げられていて、華やかな装いの招待客の方々を淡く照らしていた。
「アンタ、ほんっっっとブレないわね」
早々にミラとルイス様と合流した。
ミラは若葉色のフェザードレス。ルイス様は黒のタキシード姿。
お二人とも髪まできちんとセットしている。流石ね。
「結婚式では、タキシードを着ますよ」
「当たり前でしょ!!」
「痛でっ!?」
負け惜しみのように反論するユーリ。
そんな彼の背を、ミラが思いっきり叩いてくれた。
ありがとう、ミラ。感謝します。
他のお仲間の方々も声を掛けてくれたけど、その中にはレイは勿論ビルの姿もなかった。
顔を合わせたくないからだ。
好色家のお父様や、腹違いのご兄弟と。
ビルのご実家の方々は、英雄となった彼に取り入ろうと躍起になっているのだそうだ。
彼の苦労が偲ばれる。
でも、結婚式には来てくれると言ってくれた。
ついでにレイも引っ張って来てくれるとありがたいのだけれど……それはいくら何でも我儘が過ぎるわね。
「あ、始まるよ」
演奏家の方々の前に、国王夫妻をはじめとした王室の方々が立つ。
オーボエがラの音を響かせ、他の楽器もそれに続いていく。
舞踏会の始まりだ。
ゆったりとした彩り豊かなメロディに合わせて、皆が一斉に踊り出す。
わたくしの目線は、自然と国王夫妻へと移っていく。
陛下は今年で五十六歳、王妃様は五十歳。
そのためか足取りは少々覚束ないものの、陛下はしっかりと王妃様を支え、王妃様は微かも不安がることなく陛下に身を委ねていた。
一つ一つ、大事に大事に積み上げてこられたのでしょうね。
あんなふうにユーリと年を重ねていきたかった。
とうに諦めたはずの夢を、一人胸の奥で転がす。
「っ!」
拍手喝采が巻き起こる。
王室の方々の舞踏が終了したようだ。
「さっ! 次はアタシ達よ! 気張ってくよ~、ルイ!」
「うん。お手柔らかにね、ミラ」
「はっはっは! な~に弱気になってんのよ」
ミラとルイス様が軽口を交わしながらホールの中央へ。
四十センチ近い身長差を諸共せずに、息の合った舞踊を披露し始めた。
「凄いテクニックね」
「ええ」
観察すればするほど、二人の努力が見て取れた。
ルイス様は膝、腰を緩めて股関節の高さを合わせ、ミラは全身をぴんっと張って動きを合わせている。
あれだけの無理を重ねながらバランスを崩さないのは、鍛え上げられた体幹の賜物ね。
「……何だか申し訳ないというか、情けないというか」
「なぜ?」
「だって、これからわたくし達がしようとしていることは――」
「バレなければ、ズルにはなりませんよ」
「まぁ? 貴方は本当に救国の勇者様なのかしら?」
「ええ。貴方が一番よくご存じのはずですよ」
「ふふっ、そうね。これは大変失礼を致しました」
ユーリにリードされるまま前へ。
ミラのペアと対角線を描くようにして立って、ゆったりと舞い始める。
軽い。まるでわたくしの体ではないみたい。
風のやわらかなリフトが、わたくしの手足を運んでいく。
そう。これがズル。風魔法によるフォローだ。
お恥ずかしい話、わたくしは運動が不得手。
特にダンスは酷くて、これまで多くの失敗を重ねてきた。
お相手の足を踏むのは当然として、酷い時にはフリーズ、果ては盛大に転んで下着を露わにしかけたことも。
まさに黒歴史。
思い返すだけで頭を抱えたくなるような失敗ばかりだ。
けれど、今宵は違う。
瞬く間に塗り替えられていく。キラキラと色鮮やかに。
「楽しい! ああ……とっても幸せよ」
「まだまだこれからですよ」
ユーリが笑った。
挑発的でもあり、悪戯っぽくもあるあの瞳で。
「……っ」
胸が苦しい。困ったわ。惜しくて、惜しくて堪らない。
もう二年も一緒にいられないなんて。
未練は膨らむばかり。一向に萎む気配がない。
「エラ、上がります」
「……ええ」
返事をするとユーリの手が離れた。
わたくしの左腕はユーリの肩の上へ。
ユーリの右腕がわたくしの腰に回って――ぐんっと持ち上げる。リフトだ。
ふふふっ、こんなわたくしでも体だけはそこそこ柔らかいのよね。
だから、せめてここだけでも。
左脚を床と平行になるよう真っ直ぐに。
右脚はヒールを後方に向ける形でキープする。
そうしたらライトブルーのドレスの裾が、回転に合わせてなめらかな曲線を描いてくれた。
ドレスも楽しんでいる。
貴方ならそう表するのでしょうね、アンナ。
「おや? 聖女様はダンスが不得手ではなかったか?」
「それはもう、ユーリ殿のために熱心に練習されたのでしょう」
「……この短期間で?」
「愛の力ね。流石ですわ」
ごめんなさいね。
少々の……いえ、大層なズルをしておりますのよ。
罪悪感から顔を俯かせると、視界の端を何かが掠めた。
羽だ。ミラのドレスから抜け落ちたのね。
目で追うと、天井の青空と重なった。
羽、翼、空……。
思うのは死後、肉体から魂が抜け落ちた後のことだ。
――翼が欲しい。
天使様のような翼があれば、きっとユーリのもとまで飛んでいける。
そうしたら、ずっと貴方と一緒に……なんてね。
自分で自分に呆れる。まったく未練がましいったらないわ。
演奏が終わる。ほろ苦い余韻を残して。
大歓声が響き渡る中で、ユーリとそっと微笑み合う。
「ありがとう。また一つ、いい思い出が出来ました」
「俺もです。今晩のことは一生忘れません」
胸の奥が擽ったい。
多幸感に浸り始めたところで、ふと視線を感じた。かなり強い視線だ。
「どうしました? あっ……珍しい。来てたのか」
視線の主は、わたくしの元婚約者であるクリストフ・リリェバリ様だった。
人目も憚らず、憎悪と嫌悪の眼差しを向けてきている。
顔を合わせるのは実に十年ぶりだ。
罪悪感から思わず後退りをしかけたけど、寸でのところで踏み留まる。
「ご挨拶に伺わなければ」
「俺もご一緒します」
「……助かります」
ユーリのエスコートを受けてクリストフ様の元に向かう。
もしかしたら、これが最後になるかもしれない。
そう自分に言い聞かせて気を引き締めていく。
決して未練を残すことのないように、と。
わたくしのドレスアップは無事に完了した。
選んだのは、ライトブルーのハイネックのドレスだ。
露出こそ控えめではあるものの、デコルテの部分が白い花柄のレースになっていて、とても華やかな印象を与えてくれる。
髪は舞踏会ということでアップスタイルにしてもらった。
さて、ユーリはどんな格好で来るのかしら? と、お洋服好きのアンナと楽しみにしていたのだけれど……まさかまさかの軍服姿だった!
訳を訊ねると彼はこう答えた。
『人前に出る時はいつも軍服なんです』と。
庶民派勇者でもあり、侯爵令嬢の婚約者でもある。
そんな相反する立場を維持するのには、勇者の軍服が最適解であるのだと。
ご事情は分かった。
でも、貴方を愛する一人の女性としては、どうしても承服しかねる部分もあって……。
無理を承知でお願いをしてみた。
『結婚式の時だけでもおめかしを。タキシードを着てくれない?』と。
するとユーリは、渋い顔をしながらも了承してくれた。
『一生に一度の大切な日だから』と。
それを言うならこの舞踏会もそうなのだけれど……まぁ、その点については目を瞑ることにする。
「勇者ユーリ様、エレノア様、お付き」
ユーリからのエスコートを受けながら、舞踏場に足を踏み入れていく。
見上げれば、青空が描かれたドーム型の天井が。
中央と四隅には六段からなる大きなシャンデリアが吊り下げられていて、華やかな装いの招待客の方々を淡く照らしていた。
「アンタ、ほんっっっとブレないわね」
早々にミラとルイス様と合流した。
ミラは若葉色のフェザードレス。ルイス様は黒のタキシード姿。
お二人とも髪まできちんとセットしている。流石ね。
「結婚式では、タキシードを着ますよ」
「当たり前でしょ!!」
「痛でっ!?」
負け惜しみのように反論するユーリ。
そんな彼の背を、ミラが思いっきり叩いてくれた。
ありがとう、ミラ。感謝します。
他のお仲間の方々も声を掛けてくれたけど、その中にはレイは勿論ビルの姿もなかった。
顔を合わせたくないからだ。
好色家のお父様や、腹違いのご兄弟と。
ビルのご実家の方々は、英雄となった彼に取り入ろうと躍起になっているのだそうだ。
彼の苦労が偲ばれる。
でも、結婚式には来てくれると言ってくれた。
ついでにレイも引っ張って来てくれるとありがたいのだけれど……それはいくら何でも我儘が過ぎるわね。
「あ、始まるよ」
演奏家の方々の前に、国王夫妻をはじめとした王室の方々が立つ。
オーボエがラの音を響かせ、他の楽器もそれに続いていく。
舞踏会の始まりだ。
ゆったりとした彩り豊かなメロディに合わせて、皆が一斉に踊り出す。
わたくしの目線は、自然と国王夫妻へと移っていく。
陛下は今年で五十六歳、王妃様は五十歳。
そのためか足取りは少々覚束ないものの、陛下はしっかりと王妃様を支え、王妃様は微かも不安がることなく陛下に身を委ねていた。
一つ一つ、大事に大事に積み上げてこられたのでしょうね。
あんなふうにユーリと年を重ねていきたかった。
とうに諦めたはずの夢を、一人胸の奥で転がす。
「っ!」
拍手喝采が巻き起こる。
王室の方々の舞踏が終了したようだ。
「さっ! 次はアタシ達よ! 気張ってくよ~、ルイ!」
「うん。お手柔らかにね、ミラ」
「はっはっは! な~に弱気になってんのよ」
ミラとルイス様が軽口を交わしながらホールの中央へ。
四十センチ近い身長差を諸共せずに、息の合った舞踊を披露し始めた。
「凄いテクニックね」
「ええ」
観察すればするほど、二人の努力が見て取れた。
ルイス様は膝、腰を緩めて股関節の高さを合わせ、ミラは全身をぴんっと張って動きを合わせている。
あれだけの無理を重ねながらバランスを崩さないのは、鍛え上げられた体幹の賜物ね。
「……何だか申し訳ないというか、情けないというか」
「なぜ?」
「だって、これからわたくし達がしようとしていることは――」
「バレなければ、ズルにはなりませんよ」
「まぁ? 貴方は本当に救国の勇者様なのかしら?」
「ええ。貴方が一番よくご存じのはずですよ」
「ふふっ、そうね。これは大変失礼を致しました」
ユーリにリードされるまま前へ。
ミラのペアと対角線を描くようにして立って、ゆったりと舞い始める。
軽い。まるでわたくしの体ではないみたい。
風のやわらかなリフトが、わたくしの手足を運んでいく。
そう。これがズル。風魔法によるフォローだ。
お恥ずかしい話、わたくしは運動が不得手。
特にダンスは酷くて、これまで多くの失敗を重ねてきた。
お相手の足を踏むのは当然として、酷い時にはフリーズ、果ては盛大に転んで下着を露わにしかけたことも。
まさに黒歴史。
思い返すだけで頭を抱えたくなるような失敗ばかりだ。
けれど、今宵は違う。
瞬く間に塗り替えられていく。キラキラと色鮮やかに。
「楽しい! ああ……とっても幸せよ」
「まだまだこれからですよ」
ユーリが笑った。
挑発的でもあり、悪戯っぽくもあるあの瞳で。
「……っ」
胸が苦しい。困ったわ。惜しくて、惜しくて堪らない。
もう二年も一緒にいられないなんて。
未練は膨らむばかり。一向に萎む気配がない。
「エラ、上がります」
「……ええ」
返事をするとユーリの手が離れた。
わたくしの左腕はユーリの肩の上へ。
ユーリの右腕がわたくしの腰に回って――ぐんっと持ち上げる。リフトだ。
ふふふっ、こんなわたくしでも体だけはそこそこ柔らかいのよね。
だから、せめてここだけでも。
左脚を床と平行になるよう真っ直ぐに。
右脚はヒールを後方に向ける形でキープする。
そうしたらライトブルーのドレスの裾が、回転に合わせてなめらかな曲線を描いてくれた。
ドレスも楽しんでいる。
貴方ならそう表するのでしょうね、アンナ。
「おや? 聖女様はダンスが不得手ではなかったか?」
「それはもう、ユーリ殿のために熱心に練習されたのでしょう」
「……この短期間で?」
「愛の力ね。流石ですわ」
ごめんなさいね。
少々の……いえ、大層なズルをしておりますのよ。
罪悪感から顔を俯かせると、視界の端を何かが掠めた。
羽だ。ミラのドレスから抜け落ちたのね。
目で追うと、天井の青空と重なった。
羽、翼、空……。
思うのは死後、肉体から魂が抜け落ちた後のことだ。
――翼が欲しい。
天使様のような翼があれば、きっとユーリのもとまで飛んでいける。
そうしたら、ずっと貴方と一緒に……なんてね。
自分で自分に呆れる。まったく未練がましいったらないわ。
演奏が終わる。ほろ苦い余韻を残して。
大歓声が響き渡る中で、ユーリとそっと微笑み合う。
「ありがとう。また一つ、いい思い出が出来ました」
「俺もです。今晩のことは一生忘れません」
胸の奥が擽ったい。
多幸感に浸り始めたところで、ふと視線を感じた。かなり強い視線だ。
「どうしました? あっ……珍しい。来てたのか」
視線の主は、わたくしの元婚約者であるクリストフ・リリェバリ様だった。
人目も憚らず、憎悪と嫌悪の眼差しを向けてきている。
顔を合わせるのは実に十年ぶりだ。
罪悪感から思わず後退りをしかけたけど、寸でのところで踏み留まる。
「ご挨拶に伺わなければ」
「俺もご一緒します」
「……助かります」
ユーリのエスコートを受けてクリストフ様の元に向かう。
もしかしたら、これが最後になるかもしれない。
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