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第五章
第三話
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朝の訪問医が来る時間。
そろそろかと思っていた千鶴の耳にこの日聞こえたのは、いつも来る年配の医者のものとは違う若い声。
千鶴は戸惑いながらも他の客が来たのかと思い、台所を出て玄関に向かう。
ここに来る関係者で、玄関から入ってくる人間は、南山といつもの訪問医以外にはいないが・・・。
千鶴はそーっと玄関先に立っている人影を伺う。
そこにいたのは、桐秋と変わらない年齢くらいの、帽子を被り、細身のスーツを身にまとった青年。
千鶴はその顔を見て驚き、その人の名を呼んだ。
「中路さん」
千鶴に名前を呼ばれた青年は山高帽をとり、人の良い笑みを浮かべる。
「久しぶりだね。千鶴ちゃん」
男性を千鶴は知っていた。
医師になったばかりの頃、父の診療所で手伝いをしてくれていた青年だった。
久しぶりの再会に千鶴は驚きながらも、懐かしさと嬉しさがこみ上げ、思わず笑顔になる。
しかし、どうして中路がここにいるのだろう。
そう思った千鶴は、そのままの疑問を彼に投げかける。
「中路さんがどうしてこちらに」
それに中路はにこやかに答える。
「僕は今、上条先生の病院でお世話になっていてね。
先生が昨日腰を悪くされて、受け持たれていた分の訪問診療を僕が代わりに行うことになったんだ。
それで南山さんのお宅にも伺わせてもらうことになったんだよ」
上条先生とは桐秋の主治医であり、いつも南山家まで出向き、桐秋を診てくれている訪問医である。
この近くで病院を営んでおり、桜病についても深い見識がある。
南山家とは昔から家族ぐるみの付き合いで、それもあって桐秋の主治医を頼まれたらしい。
当初は上条も桐秋に自院への入院を勧めたが、桐秋が頑なに拒んだため、わざわざ往診をしてくれているのだ。
その上条の元で中路は現在働いていて、腰を悪くした上条の代わりに南山家に出向いてくれたということらしい。
事情を知った千鶴は、笑顔で中路を迎え入れ、桐秋の部屋に案内する。
そろそろかと思っていた千鶴の耳にこの日聞こえたのは、いつも来る年配の医者のものとは違う若い声。
千鶴は戸惑いながらも他の客が来たのかと思い、台所を出て玄関に向かう。
ここに来る関係者で、玄関から入ってくる人間は、南山といつもの訪問医以外にはいないが・・・。
千鶴はそーっと玄関先に立っている人影を伺う。
そこにいたのは、桐秋と変わらない年齢くらいの、帽子を被り、細身のスーツを身にまとった青年。
千鶴はその顔を見て驚き、その人の名を呼んだ。
「中路さん」
千鶴に名前を呼ばれた青年は山高帽をとり、人の良い笑みを浮かべる。
「久しぶりだね。千鶴ちゃん」
男性を千鶴は知っていた。
医師になったばかりの頃、父の診療所で手伝いをしてくれていた青年だった。
久しぶりの再会に千鶴は驚きながらも、懐かしさと嬉しさがこみ上げ、思わず笑顔になる。
しかし、どうして中路がここにいるのだろう。
そう思った千鶴は、そのままの疑問を彼に投げかける。
「中路さんがどうしてこちらに」
それに中路はにこやかに答える。
「僕は今、上条先生の病院でお世話になっていてね。
先生が昨日腰を悪くされて、受け持たれていた分の訪問診療を僕が代わりに行うことになったんだ。
それで南山さんのお宅にも伺わせてもらうことになったんだよ」
上条先生とは桐秋の主治医であり、いつも南山家まで出向き、桐秋を診てくれている訪問医である。
この近くで病院を営んでおり、桜病についても深い見識がある。
南山家とは昔から家族ぐるみの付き合いで、それもあって桐秋の主治医を頼まれたらしい。
当初は上条も桐秋に自院への入院を勧めたが、桐秋が頑なに拒んだため、わざわざ往診をしてくれているのだ。
その上条の元で中路は現在働いていて、腰を悪くした上条の代わりに南山家に出向いてくれたということらしい。
事情を知った千鶴は、笑顔で中路を迎え入れ、桐秋の部屋に案内する。
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