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第七章
第三話
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麹町の南山本邸から自動車で揺られることおよそ二時間。
休憩を挟みながら国分寺の別荘の近くまで来た。
周辺は本邸が建っている場所よりも手つかずの自然が多く残っている。
まもなくして自動車は、一つの鉄格子に囲まれた門の前で止まる。
ほどなくすると鉄の扉が開き、車はそのまま門をくぐり、続く木立の中を進む。
車窓から見える木々は、ちょうど今の季節に見頃を迎えていて、自身のまとう葉を緑、赤、黄色、濃淡様々に艶《あで》やかな色へと変え、千鶴達の目を楽しませてくれている。
色鮮やかな森ともいえるほどの木立を抜けると、大きな二本の銀杏を両脇に携えた雰囲気のある洋館が現れる。
まず目を引くのは秋晴れの太陽光に照らされ、眩いばかりに輝く青い双子の三角屋根。
せり出す屋根につけられた二つの窓は、鳩時計の鳩が飛び出てきそうなアーチ型。
外壁は全体的に白く、横一列に均一に並べられた木目がどこか温かみを感じさせる。
木目に沿うように等間隔に取り付けられた窓には、幾何学模様の洒落た窓枠がはめられ、屋根と同じ鮮やかな青色の雨どいも相まって可愛らしい。
黄金色に染まった双子の銀杏に囲まれた屋敷の全景は、御伽噺に出てくる魔法使いの家のようにも見える。
千鶴がその景色に見とれているうちに自動車は建物の正面で停車する。
いつのまにか車を降りていた桐秋は千鶴側のドアを開け、千鶴の手を引いてくれる。
屋根よりも深い濃紺色の玄関ドアを開けると、そこは小さな玄関ホールとなっていた。
赤いカーペットが全面に敷かれ、正面には二階へと続く階段。
その途中、踊り場にあるステンドグラスに千鶴は心奪われた。
中央に深紅の薔薇が儚くも凜と咲き、周りを色ガラスが放射状に囲む。
それはまるで花の輝きを表すようで、たった一輪の薔薇をどこまでも気高い神の花に仕立て上げる。
そんな荘厳なステンドグラスは、秋の天高い陽の光を浴びることで美しい色ガラスを投影し、玄関ホールに極彩色の神々しい光を届ける。
思わず跪きたくなるような神秘的な光景。千鶴は目を閉じ、祈るように手を組んだ。
しばらくして、千鶴がゆっくりと瞼を開けると、いつのまにかその空間には、にこやかに微笑む老夫婦が静かに佇んでいた。
休憩を挟みながら国分寺の別荘の近くまで来た。
周辺は本邸が建っている場所よりも手つかずの自然が多く残っている。
まもなくして自動車は、一つの鉄格子に囲まれた門の前で止まる。
ほどなくすると鉄の扉が開き、車はそのまま門をくぐり、続く木立の中を進む。
車窓から見える木々は、ちょうど今の季節に見頃を迎えていて、自身のまとう葉を緑、赤、黄色、濃淡様々に艶《あで》やかな色へと変え、千鶴達の目を楽しませてくれている。
色鮮やかな森ともいえるほどの木立を抜けると、大きな二本の銀杏を両脇に携えた雰囲気のある洋館が現れる。
まず目を引くのは秋晴れの太陽光に照らされ、眩いばかりに輝く青い双子の三角屋根。
せり出す屋根につけられた二つの窓は、鳩時計の鳩が飛び出てきそうなアーチ型。
外壁は全体的に白く、横一列に均一に並べられた木目がどこか温かみを感じさせる。
木目に沿うように等間隔に取り付けられた窓には、幾何学模様の洒落た窓枠がはめられ、屋根と同じ鮮やかな青色の雨どいも相まって可愛らしい。
黄金色に染まった双子の銀杏に囲まれた屋敷の全景は、御伽噺に出てくる魔法使いの家のようにも見える。
千鶴がその景色に見とれているうちに自動車は建物の正面で停車する。
いつのまにか車を降りていた桐秋は千鶴側のドアを開け、千鶴の手を引いてくれる。
屋根よりも深い濃紺色の玄関ドアを開けると、そこは小さな玄関ホールとなっていた。
赤いカーペットが全面に敷かれ、正面には二階へと続く階段。
その途中、踊り場にあるステンドグラスに千鶴は心奪われた。
中央に深紅の薔薇が儚くも凜と咲き、周りを色ガラスが放射状に囲む。
それはまるで花の輝きを表すようで、たった一輪の薔薇をどこまでも気高い神の花に仕立て上げる。
そんな荘厳なステンドグラスは、秋の天高い陽の光を浴びることで美しい色ガラスを投影し、玄関ホールに極彩色の神々しい光を届ける。
思わず跪きたくなるような神秘的な光景。千鶴は目を閉じ、祈るように手を組んだ。
しばらくして、千鶴がゆっくりと瞼を開けると、いつのまにかその空間には、にこやかに微笑む老夫婦が静かに佇んでいた。
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