七不思議をつくろう

真山マロウ

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第一の不思議

自由な大人

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 たった数時間しか接していないなりに七不思議メンバーについて把握したのは、こだわりの強い面がある(夏木くんは例外?)だけで悪い人たちじゃないってのと、コミュニケーションがあまり得意じゃないってのだ。

 三日目の放課後。集まりの前、ここまでの流れを理事長に報告に行くことになったのに、人見知りだのなんだのと理由をつけて、誰一人ついてきてくれない。こういうの私だって得意じゃないんだけどね。リーダーだから渋々やるだけで。

「ようこそ! 中垣栞里なかがきしおりさんだよね」
 理事長室に入ったとたん満面の笑みで迎えられ、うながされるままソファーに腰をおろす。

「まとめ役やってくれてるんだよね。本当にありがとう!」
 唐突、ほわほわパーマの頭を深々とさげられ面食らう。

「いえ、あの、はい、大丈夫です……」
 しどろもどろに応じ、すぐさま本題。
「七不思議、具体的な内容はまだ決まっていませんが、一個目ができたら理事長に出来をチェックしていただいて、二個目以降はそれからと考えています」

「全然いいよ。楽しみだな」
 愛想のいい笑顔は話しやすくて、ことのほか居心地が悪くない。が、長居は無用。「では」と席をたつ。

「もう行っちゃうの!」
「みんな集まってるんで、そんなに待たせるわけにも」
「あ、そっか」
 大きく頷いた理事長は無理に引きとめるでもなく、くるりとふり返り、デスクに置かれていた缶のボックスを手にとる。

「これ持っていきなよ。クッキーのセット。すっごく美味しいお店のなんだ」
「でも校則で、菓子類の持ちこみ禁止されてますよね」
「そうなの? いいよ、気にしなくて。誰かになにか言われたら、僕のせいにしちゃいな」
「わかりました。ありがとうございます。みんな喜ぶと思います」
「……なつのことヨロシクね」
 ボックスをさしだす、理事長の目が優しく細まる。

「それって夏木くんのことですか?」
「そ。夏木夏。下の名前、知らなかった?」
「そうですね、名字しか」
「我が妹、どうしてそんな名前つけたんだろうね。おもしろいし覚えやすいから、僕は大好きだけど」
「インパクトありますね」
「やっぱ、しおちゃんもそう思う?」

 しおちゃん……。実の親にすら、そんなふうに呼ばれたことないよ。距離の縮め方が、えげつない。

「またね、しおちゃん、バイバーイ!」
 だけども無邪気に手をふるのを見ると、なぜか憎めない。大人らしくない大人だから、親しみやすさがあるのかな。理事長って立場を考えると一抹の不安はよぎるけれども。
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