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第一の不思議
スイーツの威力
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親戚といっても夏木くんとは真逆のタイプだったな。
理事長との会話を反芻、お高そうなお菓子をたずさえて教室にむかう。途中、廊下の奥にウロウロしている挙動不審な人影が。
「あっ、中垣さん!」
私に気づき小走りで寄ってきたのは、血相をかえた義井くんだ。
「どうしよう、僕じゃどうにもできなくて」
話もそこそこ、足早に戻る背中についていく。いったい、なにが。不安のなか教室のドアをあけると、
「だから、なんで男子のほうにも花子がでなきゃいけないんだ!」
「だから、女子だけだと不公平だって言ってるじゃないですか!」
「セクハラだ!」
「それなら男子のは男子にしましょう! 花太郎で!」
「安直すぎるだろ!」
「じゃあ、花次郎!」
「そうじゃない!」
志倉くんと福谷さんがバチバチにやりあっていた。
「ずっとあんな状態で……」
小さくなる義井くんの隣、頬杖の夏木くんがため息をつく。
「ほっとけ。飽きたらやめるだろ」
だからといって、このままにしておくわけにもいかない。
ボックスを置き、ぱん、と大きめに手をうつ。全員の意識を引きつけたのを確認して、
「さしいれのお菓子もらってきたの。休憩にしない?」
自販機でドリンクを調達し、お菓子の缶の蓋をとる。クッキーの詰めあわせ。いろんな種類のが、お行儀よく整列している。
そのうちの一つ、ベーシックな丸型を頬ばる。発酵バターの香ばしさがふわっと鼻にぬけ、まろやかな甘みがじゅわじゅわと舌になじんでいく。
美味しいものは、場を和ませるのにうってつけ。「うまい」「美味ですね」と、さっきまでが嘘のように志倉くんも福谷さんも上機嫌だ。
理事長に感謝しつつ、さらに市松模様のに手をのばす。と、お茶で一息ついた志倉くんが、伸びっぱなしの前髪のあいだから福谷さんに視線をよこした。
「なんでトイレに固執するんだ。ポジティブ路線でいきたいなら、他にしっくりくる場所はいくつもあるだろう」
なにも今、蒸し返さなくても。と思いはすれど、ティータイム効果で穏やか空気のなかにあっては不問。喧嘩せず建設的な議論をしてくれるんなら、そのおかげで決まることもありそうだ、続けてもらってかまわない。
それに志倉くんの疑問は、私も気になるところ。
福谷さんは最初からトイレの項目だけは絶対に譲ろうとしない。というか、トイレ以外のことを言ってるのを一度も見ていない。なにが彼女をそうさせるのか。トイレって開運において、そんなに重要な場所なんだろうか。
理事長との会話を反芻、お高そうなお菓子をたずさえて教室にむかう。途中、廊下の奥にウロウロしている挙動不審な人影が。
「あっ、中垣さん!」
私に気づき小走りで寄ってきたのは、血相をかえた義井くんだ。
「どうしよう、僕じゃどうにもできなくて」
話もそこそこ、足早に戻る背中についていく。いったい、なにが。不安のなか教室のドアをあけると、
「だから、なんで男子のほうにも花子がでなきゃいけないんだ!」
「だから、女子だけだと不公平だって言ってるじゃないですか!」
「セクハラだ!」
「それなら男子のは男子にしましょう! 花太郎で!」
「安直すぎるだろ!」
「じゃあ、花次郎!」
「そうじゃない!」
志倉くんと福谷さんがバチバチにやりあっていた。
「ずっとあんな状態で……」
小さくなる義井くんの隣、頬杖の夏木くんがため息をつく。
「ほっとけ。飽きたらやめるだろ」
だからといって、このままにしておくわけにもいかない。
ボックスを置き、ぱん、と大きめに手をうつ。全員の意識を引きつけたのを確認して、
「さしいれのお菓子もらってきたの。休憩にしない?」
自販機でドリンクを調達し、お菓子の缶の蓋をとる。クッキーの詰めあわせ。いろんな種類のが、お行儀よく整列している。
そのうちの一つ、ベーシックな丸型を頬ばる。発酵バターの香ばしさがふわっと鼻にぬけ、まろやかな甘みがじゅわじゅわと舌になじんでいく。
美味しいものは、場を和ませるのにうってつけ。「うまい」「美味ですね」と、さっきまでが嘘のように志倉くんも福谷さんも上機嫌だ。
理事長に感謝しつつ、さらに市松模様のに手をのばす。と、お茶で一息ついた志倉くんが、伸びっぱなしの前髪のあいだから福谷さんに視線をよこした。
「なんでトイレに固執するんだ。ポジティブ路線でいきたいなら、他にしっくりくる場所はいくつもあるだろう」
なにも今、蒸し返さなくても。と思いはすれど、ティータイム効果で穏やか空気のなかにあっては不問。喧嘩せず建設的な議論をしてくれるんなら、そのおかげで決まることもありそうだ、続けてもらってかまわない。
それに志倉くんの疑問は、私も気になるところ。
福谷さんは最初からトイレの項目だけは絶対に譲ろうとしない。というか、トイレ以外のことを言ってるのを一度も見ていない。なにが彼女をそうさせるのか。トイレって開運において、そんなに重要な場所なんだろうか。
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