七不思議をつくろう

真山マロウ

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第三の不思議

新たな依頼

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「美術部の件、感服いたしました。一度ならず二度までも成功をおさめるとは。いやはや、並大抵のことではありませんな」

 よくまわる舌に圧倒され、相槌すら挟めない。

「つきましては、ぜひとも我が部もあやかりたく思いまして。もちろん相応のお礼はさせていただくつもりではありますが、なにぶん弱小なもので……。いえ、わたくしどもの可能な範囲であれば、どんなことでも。それはもう全身全霊でさせていただく所存です」

 坊主頭をぺこぺこと下げ慇懃にまくしたてるのは、化学部部長の三年生、実森さねもりさん。七不思議を作ってほしいと頼みにきて、ずっとこの調子だ。

「つっても俺ら、なにすりゃいいんすか。美術部みたく部員が足りてないとかじゃないんすよね」
 夏木くんだけが気圧されず応じる。鋼メンタル。ここはお任せしとこう。

「ええ、部員数はお陰さまで。なんといいますか、いわゆるイメージアップを図っていただければと。とかく我が部は暗いとか地味とかの印象がつきまとい、常日頃から歯がゆく感じておりましたもので」

「べつに、そんな印象ないすけど。つか、そう思ってるやつがいても、気にしなきゃいいだけなんじゃないすか」

「お気づかい痛み入ります。ですが大多数の本音は、けして好意的ではなではないと把握しております。なので、ここはひとつ皆さまのお力添えをいただきまして。そうすれば後輩たちも……」

 しまった、と言わんばかり口をつぐんだ実森さんを夏木くんがうながす。
「後輩たちのためにってことすか」
「あの、その、まあ、そういう節がなきにしもあらずといいますか」

 銀縁眼鏡の奥、実森さんの目が不自然に揺らいだ。妙な静けさがあたりに漂う。と、義井くんが沈黙を破った。
「僕は協力したいけど、みんなどうかな?」

 これまで提案はしても主張はしてこなかった彼に、私たちも動かされる。
「そうですね、これもご縁です」
「理科室の七不思議も候補にあがっていたから、ちょうどいいんじゃないか」
「だよね。せっかくだし」

 福谷さん、志倉くん、私は賛成。だけれど夏木くんは気乗りしないようで、うんともすんとも言わなくなった。義井くんが気づかわしげに尋ねる。
「なにか問題とかありそう……?」

 会話相手でなく依頼主を見て、夏木くんは「ない」とだけ。

「いやあ、助かります! お手数をおかけいたして恐縮ですが、どうかなにとぞ」
 実森さんは嬉々としてお辞儀をしたが、私としてはどこかスッキリしない幕開けとなった。
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