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第三の不思議
話が違う
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「どしたの、険しい顔しちゃって」
数日後のお昼。響子に言われて、眉間に皺が寄っていたことに気がついた。
「次の七不思議、ちょっと手こずってて」
「化学部の部長が依頼してきたやつだよね。イメージアップだっけ。けっこう難題じゃない?」
「そうなんだよ、わかんないことも多くて」
あれからみんなで、さんざん話しあってはみているものの、決まらないどころか紛糾するばかり。
「化学部といえば理科室。ベタなやつだと人体模型とか骨格標本とかだよね。夜中に動きだしたり」
と義井くんが案をだせば、福谷さんが即却下。
「だから、やめてくださいって言ってるじゃないですか! 怖いこと言うの禁止です!」
「でも、話しあわないと決まんないし」
「そもそも、なんであんな内臓とか骨が丸出しで置いてあるんですか! 悪意ですか!」
見かねた志倉くんが、あいだに入る。
「丸出しだから意味があるんだろ。そういうのを学ぶためのものなんだから」
「わざわざ模型にして置いておく必要ありません! 興味ある人は各自スマホで調べてください!」
その隙、戦線離脱した義井くんが私たちのほうに寄ってきた。
「そういえば化学部って普段どんな活動してるのかな」
「化学の授業でやるようなことじゃないの?」
「なのかな? 僕、よく知らなくて」
「ごめん、私も」
さしいれのお菓子、薄皮饅頭に夢中だった夏木くんが、ふと顔をあげる。
「うちのクラスに化学部のやついたと思う。明日でいいなら連れてくる」
それで翌日放課後、やってきたのが瓶山くん。学内でも一二を争うほど派手な彼が化学部だったのは知らなかった。
今日もハニーブラウンの前髪をカラフルなピンでとめ(あの理事長の意向で、とりあえず制服さえ着ていれば髪色も装飾もアレンジも自由)、暗いとか地味とかの印象はかけらもない。喋るとさらにチャラ度もあがる。
「サネさん、そんなこと言ってたんだ? 俺らべつに気にしてないんだけど。つか、そんなの気にしたって意味なくね?」
志倉くん、福谷さん、義井くんが顔を見あわせる。
「どういうことだ」
「聞いてた話と違いますね」
「イメージ気にしてるの実森さんだけだったのかな」
瓶山くんは、けらけら笑い飛ばして、
「じゃねえの? あの人、そういうの気するタイプなんだ。ぜーんぜん知らなかったわ」
明るく言い放たれ、よけいに困惑。両者の意見は真反対。しかも、あまり親密でもなさそうというか、隔たりを感じる。
一気に雲行きがあやしくなった。
数日後のお昼。響子に言われて、眉間に皺が寄っていたことに気がついた。
「次の七不思議、ちょっと手こずってて」
「化学部の部長が依頼してきたやつだよね。イメージアップだっけ。けっこう難題じゃない?」
「そうなんだよ、わかんないことも多くて」
あれからみんなで、さんざん話しあってはみているものの、決まらないどころか紛糾するばかり。
「化学部といえば理科室。ベタなやつだと人体模型とか骨格標本とかだよね。夜中に動きだしたり」
と義井くんが案をだせば、福谷さんが即却下。
「だから、やめてくださいって言ってるじゃないですか! 怖いこと言うの禁止です!」
「でも、話しあわないと決まんないし」
「そもそも、なんであんな内臓とか骨が丸出しで置いてあるんですか! 悪意ですか!」
見かねた志倉くんが、あいだに入る。
「丸出しだから意味があるんだろ。そういうのを学ぶためのものなんだから」
「わざわざ模型にして置いておく必要ありません! 興味ある人は各自スマホで調べてください!」
その隙、戦線離脱した義井くんが私たちのほうに寄ってきた。
「そういえば化学部って普段どんな活動してるのかな」
「化学の授業でやるようなことじゃないの?」
「なのかな? 僕、よく知らなくて」
「ごめん、私も」
さしいれのお菓子、薄皮饅頭に夢中だった夏木くんが、ふと顔をあげる。
「うちのクラスに化学部のやついたと思う。明日でいいなら連れてくる」
それで翌日放課後、やってきたのが瓶山くん。学内でも一二を争うほど派手な彼が化学部だったのは知らなかった。
今日もハニーブラウンの前髪をカラフルなピンでとめ(あの理事長の意向で、とりあえず制服さえ着ていれば髪色も装飾もアレンジも自由)、暗いとか地味とかの印象はかけらもない。喋るとさらにチャラ度もあがる。
「サネさん、そんなこと言ってたんだ? 俺らべつに気にしてないんだけど。つか、そんなの気にしたって意味なくね?」
志倉くん、福谷さん、義井くんが顔を見あわせる。
「どういうことだ」
「聞いてた話と違いますね」
「イメージ気にしてるの実森さんだけだったのかな」
瓶山くんは、けらけら笑い飛ばして、
「じゃねえの? あの人、そういうの気するタイプなんだ。ぜーんぜん知らなかったわ」
明るく言い放たれ、よけいに困惑。両者の意見は真反対。しかも、あまり親密でもなさそうというか、隔たりを感じる。
一気に雲行きがあやしくなった。
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