59 / 65
第六の不思議
味方
しおりを挟む
夜。メッセージアプリのグループで呼びかける。七不思議の集まりをしばらくやめることになったとき、みんなとは連絡先を交換していた。
『もし七不思議を再開するなら、お願いがあるんだけど』
まず応答があったのは義井くんだ。『もう再開するの? 無理しなくていいよ』
次いで志倉くん。『夏休み後でも俺は構わない』
福谷さんも。『中垣さんの好きなだけ休んでください』
夏木くんは既読だけ。
『すぐは考えてないけど必ず再開したくて。図書委員の人が楽しみにしてますって言ってくれたし』
山本さんのことも伝える。みんなの反応は早い。
『そういうの嬉しいよね』『冥利につきるな』『絶対そのうち復活しましょう!』
盛りあがってるところで、夏木くんからメッセージ。
『思いついた。七不思議』
そわそわ、っと胸のあたりが落ちつかなくなった。
『よかったら明日集まらない?』と義井くんの呼びかけ。
『俺は構わない』『賛成です』『私も』
しばらく休むなんて言っておきながら、明日になるのが待ち遠しい。
翌、放課後。数日ぶりに集まる。ゆうべの今日で、理事長にさしいれを用意させた夏木くん。食にかける情熱ほんとすごい。今日のおやつはマフィン。十種類ぜんぶ違う味で、先月オープンした人気のお店のもの。活動再開を喜んだ理事長が奮発してくれたみたいだ。
夏木くん提案の七不思議は満場一致で賛成となった。
「中垣の案はどうする。ゴスロリ目当ての連中も少なくないようだしな。恐らく荒れるぞ」
志倉くんの憂慮ごもっとも。私の提案は、次回の動画を文字と音声だけにすることだった。
「なんで身バレ嫌なんだ?」
二個目のマフィンをたいらげた夏木くんが、謎の生き物を見るような目を私にむける。
「だって、なに言われるかわからないし」
「なにって、なんだよ」
「誹謗中傷とか」
「言いたいやつには言わせとけ。なんかあったら、こないだみたく鬼塚が対応すんだろ」
「でも……」
傷つくのが痛い。怖い。けど、そういうの鉄壁メンタルの夏木くんには伝わらなそうだな。諦めて適当にごまかそうと思った。なのに、まさか。
「俺たちが味方じゃ不満かよ」
そんなことを言ってくるなんて。うるっときてしまう。
「七不思議と食べ物以外の発言が夏木くんから聞けるとか、意外すぎて感情こんがらがる」
「俺をなんだと思ってんだよ」
「ひらめきと食欲の権化」
「わけわかんねえ」
眉と目尻が柔らかくさがった。夏木くんが笑うのを、はじめて見た気がした。
『もし七不思議を再開するなら、お願いがあるんだけど』
まず応答があったのは義井くんだ。『もう再開するの? 無理しなくていいよ』
次いで志倉くん。『夏休み後でも俺は構わない』
福谷さんも。『中垣さんの好きなだけ休んでください』
夏木くんは既読だけ。
『すぐは考えてないけど必ず再開したくて。図書委員の人が楽しみにしてますって言ってくれたし』
山本さんのことも伝える。みんなの反応は早い。
『そういうの嬉しいよね』『冥利につきるな』『絶対そのうち復活しましょう!』
盛りあがってるところで、夏木くんからメッセージ。
『思いついた。七不思議』
そわそわ、っと胸のあたりが落ちつかなくなった。
『よかったら明日集まらない?』と義井くんの呼びかけ。
『俺は構わない』『賛成です』『私も』
しばらく休むなんて言っておきながら、明日になるのが待ち遠しい。
翌、放課後。数日ぶりに集まる。ゆうべの今日で、理事長にさしいれを用意させた夏木くん。食にかける情熱ほんとすごい。今日のおやつはマフィン。十種類ぜんぶ違う味で、先月オープンした人気のお店のもの。活動再開を喜んだ理事長が奮発してくれたみたいだ。
夏木くん提案の七不思議は満場一致で賛成となった。
「中垣の案はどうする。ゴスロリ目当ての連中も少なくないようだしな。恐らく荒れるぞ」
志倉くんの憂慮ごもっとも。私の提案は、次回の動画を文字と音声だけにすることだった。
「なんで身バレ嫌なんだ?」
二個目のマフィンをたいらげた夏木くんが、謎の生き物を見るような目を私にむける。
「だって、なに言われるかわからないし」
「なにって、なんだよ」
「誹謗中傷とか」
「言いたいやつには言わせとけ。なんかあったら、こないだみたく鬼塚が対応すんだろ」
「でも……」
傷つくのが痛い。怖い。けど、そういうの鉄壁メンタルの夏木くんには伝わらなそうだな。諦めて適当にごまかそうと思った。なのに、まさか。
「俺たちが味方じゃ不満かよ」
そんなことを言ってくるなんて。うるっときてしまう。
「七不思議と食べ物以外の発言が夏木くんから聞けるとか、意外すぎて感情こんがらがる」
「俺をなんだと思ってんだよ」
「ひらめきと食欲の権化」
「わけわかんねえ」
眉と目尻が柔らかくさがった。夏木くんが笑うのを、はじめて見た気がした。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
三十六日間の忘れ物
香澄 翔
ライト文芸
三月六日。その日、僕は事故にあった――らしい。
そして三十六日間の記憶をなくしてしまった。
なくしてしまった記憶に、でも日常の記憶なんて少しくらい失っても何もないと思っていた。
記憶を失ったまま幼なじみの美優に告白され、僕は彼女に「はい」と答えた。
楽しい恋人関係が始まったそのとき。
僕は失った記憶の中で出会った少女のことを思いだす――
そして僕はその子に恋をしていたと……
友希が出会った少女は今どこにいるのか。どうして友希は事故にあったのか。そもそも起きた事故とは何だったのか。
この作品は少しだけ不思議な一人の少年の切ない恋の物語です。
イラストはいもねこ様よりいただきました。ありがとうございます!
第5回ライト文芸大賞で奨励賞をいただきました。
応援してくださった皆様、そして選考してくださった編集部の方々、本当にありがとうございました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる