FLY HIGH

真山マロウ

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飛翔

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 春休み終盤なこともあり、公園にはわりかし人出ひとでがあった。スポーツ目的はもちろん、私たちのように散策する人の姿も。

「悠乃は恩人なんだよ。ぼくを助けようとしてくれたんだ」

 広場に進みがてらシロが懐かしそうに目を細めるも、私は冷や汗まみれ。この二年の間、そんなことあったっけ。まったく記憶にない。

「人違いじゃないんだよね?」
「悠乃だよ。間違いないよ」

 なんてこった。私は私が思っていたよりも遥かに、やばすぎる記憶力だった。

「ごめん、それでも心あたりが。……ほんとごめん」
「そんなに謝らないで。ぼく、あの時とっても嬉しかったんだ」

 菜の花エリアにさしかかり、足をとめたシロが深々と頭をさげる。

「本当にありがとう」
「やめてよ、こっちこそ申し訳なくて」

 互いにぺこぺこ頭をさげあっていると、風が大きく吹いた。菜の花が踊るように揺れ、シロが「わあ」と弾んだ声をあげる。

「花、好きなの?」
「大好き!」
「綺麗だよね」
「それに、おいしそう!」
「おいしそう? 花が?」
「うん!」

 独特の感性。ほほえましくもあり、羨ましくもある。

「……花に関する仕事、やってみようかなぁ」

 黄と緑のコントラストをうっとり眺める、横顔を見つつ呟く。実現するかわからないけど、そういう職につけば花好きのシロといずれまた会うことができるかもしれない、と多少の下心で。

「それ、悠乃の夢ってこと?」

 聞くなり私に向きなおし、シロが瞳を輝かせた。

「どっちかっていうと目標になるのかも」
「でも、将来なりたいものだよね」
「……ってことになるのかな、もしかしたら」
「よかった! あとは叶えるだけだね!」

 有無を言わさず私の両手をとり、ぶんぶん振る。喜びが全力で伝わってくる。

 情熱をもってお花関連の仕事をしている方々にしてみれば『ぬるい覚悟でこられても迷惑だ!』かもしれない。けど、それでもシロが嬉しそうなのを見ると、言葉だけで終わらせたくないと強く思った。

 もう一度だけ、なにかをめざしてみようか。残念な私のことだから、どこまで挫けずに進めるか保証できないけれど……。

 弱気が鎌首をもたげたのを察したシロが、手の勢いをとめ、そのまま私のを優しく包みこんでくれる。

「きつくなったら無理しなくてもいいんだよ。少し休んだり、遠回りしても。もし、どうにもならなくて諦めても、悠乃が悠乃を諦めなければ、きっといい未来はやってくるからね」
「……うん、ありがとう。頑張れるだけやってみるよ」
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