俺の幼馴染みが悪役令嬢なはずないんだが

ムギ。

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前編

なんだかんだ仲良しなんだよなぁ(主人公視点)

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  クリフに連れられて食堂に入ると、既にベルおじさんとイリーネおばさんと、ティナが席についていた。いかん、居候なのに待たせてしまった。

「おはようヴィル、動けるようになったか。良かったな」
「おはようございます。遅れてすみません」
「気にするな、さあ、座れ」
「はい」

  ティナの隣の席の椅子をクリフが引いてくれ、そこに静かに腰掛けると、直ぐに侍女がセッティングされていたグラスに水を注いでくれた。

「ヴィル、熱が出たんですって?もういいの?」
「はい、ご心配おかけしました」

  正面に座っていたイリーネおばさんがそう声をかけてくれた。
  おばさんは昔から、実の息子みたいに俺を扱ってくれるんだよな。ありがたい。

「ホントに大丈夫……?ヴィル」
「大丈夫だよ、ティナ」

  ティナも隣で不安そうに顔をしかめる。
  ホントに大丈夫なんだけどなぁ。

「さて、朝食にするか」
「はい、主神アレスに実りの感謝を」

  日本でいうところの「いただきます」をして、食事を始める。
  目の前に用意されたのは、冷たい食事。この国の習慣で、朝と夕はパンや生野菜などの調理されていないもの、昼は三食で一番ボリュームがあり、温かく調理されたものを食べるのだ。
この食生活にはなかなか慣れなかった。
  朝はご飯派なんだよ俺。
  パン食文化慣れないわー。美味しいけどね、パン。
  転生モノのテッパンで、どっかで米栽培されてたりしないかなー。

「ヴィル、はい」
「あ、ありがとうティナ」

  俺はティナがちぎってくれたパンを口に運ぶ。おじさん達がニコニコとしててくれるからいいけど………。
  ホントに俺、恥ずかしい。
  子供みたいだ。

「ヴィル、はい、あーん」
「ティナ!それはさすがに恥ずかしい!」

  そんな、そんなリア充みたいな!

「ほほほほ。若いっていいわねぇ」
「ティナ………。相手がヴィルじゃなかったら………」

  おじさんが恐い顔してにらんでるから!
  恥ずかしいどこの騒ぎじゃないから!

「あなた。親馬鹿も大概にしてくださいな」
「イリーネ!しかしだなぁ!」
「あら、ほほ。もしかしてあなたもあーんして欲しいんですの?」
「そんなことは言ってない!むぐ!」
「はい、あ・な・た。あーんですわよ。ほほほ」

  半ば無理やり口にパンを突っ込んでるようにしか見えないけど、なんだかんだ仲いいよなぁ、おじさん達。
  ティナのウチはいつもこんな感じらしく、使用人達は平然としている。
  いいなあ、賑やかで。
  ウチは父さんと二人っきりだからなぁ。なんて、ティナと結婚すれば、きっと賑やかになるよな。

「ヴィル?どうしたの?」
「ん?ああ、なんでもないよ」

  ティナの兄さん達にも久しぶりに会いたいな。
  式が終わったら領地に行く許可を貰えるかな。
  そんなことを考えながら、俺は生野菜サラダを食べさせてもらうのだった。
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