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第肆話-映画

映画-12

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 長四郎達一行はデリバリーフードで頼んだラーメンをご馳走になり、その日は解散となった。
 翌日、長四郎は自室のベッドで熟睡しているとスマホの着信音で起床する。
 すぐ様、電話に出ると相手は一川警部だった。
「はい・・・・・・」
「長さん、採取した髪の毛のDNAが一致したばい」
「ああ、そうですか」
 寝起きの為、頭が正常に起動していないので適当な返事をするが一川警部は構わず、話を続ける。
「それで三玖瑠恵一を容疑者として、捜査本部が立つことになったから。こっちでも行方を追うけど、長さんも見つけ次第、あたしに連絡くれんね」
「分かりました。それとラモちゃんは相も変わらず、絢ちゃんと動いているんですか?」
「まぁね。絢ちゃんをお目付け役として付かせている。
ラモちゃんが巻き込まれないとも限らないからね」
「然様ですか。お手数をおかけしてすいません」
「いや、気にせんとって。長さんに協力してもらっとるけん」
「そう言って頂けると助かります。ラモちゃんの事を宜しくお願いします」
 長四郎はスマホを持ちながら、頭を下げお願いをし、通話を切る。
 近くの時計を見ると、午前11時を示していた。
 ベッドから身体を離して、風呂掃除をし湯船に湯を張り、お風呂に使った。
 40分後、風呂から上り冷蔵庫からビールを取り出し、プルタブを開け体内に流し込む。
「ふぅ~」と息を吐きだし、テレビの電源を入れる。
 最初に映った番組は、「さて、今夜、私が頂くのはカルビビビンバです」とYouTubeの広告で一時期、よく見た女性がゲストとトークする番組であった。
 今日のゲストは芸能生活30年の女優で、話の内容は、役にのめり込みすぎて私生活に及んでしまって困っているといった事だった。
 その話をビール飲みながら、ぼぉーっと見ていた。
 ふと、里奈も役にのめり込むタイプと舞香が言っていたのを思い出す。
 長四郎は缶に残ったビールを一気飲みし、活動を開始した。
 事務所を出た長四郎は舞香に話が聞きたいと連絡したら、今日は事務所にいると言われ里奈の所属事務所を訪れた。
「すいません。お忙しい中」
「いえ、暇でしたから」
 応接室に珈琲を持ってきた舞香は、経費の精算を終えて暇を持て余していた事を長四郎に話した。
 暫く、世間話や会社の愚痴を話し、舞香が本題へと切り出す。
「それで、私に聞きたいこととは何ですか?」
「この前、里奈さんが役にのめり込みすぎて困っていると仰っていましたが、のめり込むようになったのはいつ頃からですか?」
「私も里奈のマネージメントを引き継いだのが、ここ2ヶ月なので正確な時期は・・・・・・」
「じゃあ、引き継いだ時にはもう役にのめり込む感じだったんですか?」
「はい」
「その2ヶ月前のあたりの事を知っている人物とか心当たりないですか?」
「そうですね・・・・・・」
 少し考え始める舞香。
 長四郎は出された珈琲を飲みながら、舞香の回答を待つ。
「あっ、少し待っていてください!!」
 舞香はそう言って、応接室を出た。
 5分程経った頃、一人の女性を連れてきて戻ってきた。
 その女性は、佐藤と言った。
 事務所の事務員をしているらしく、被害者の池元 知美の同期入社の社員であった。
 よく彼女に愚痴をこぼしているとの事であった。
「佐藤さん、里奈さんが役にのめり込んで困っているというような話を池元さんから聞いていませんか?」
「いいえ」
 首を横に振る佐藤。
「では、何か里奈さんの愚痴を聞くようなことは?」
「それならお兄さんの事が、主でしたね。
そう言えば里奈ちゃんがここ最近、生意気を言ってくるようになったとか言ってましたね」
「具体的には?」
 長四郎は、続きざまに質問する。
「さぁ、そこまでは」
「そうですか・・・・・・ありがとうございました」
 長四郎は、礼を言い佐藤を退出させる。
「あの、里奈が役にのめり込むのとお兄さんの失踪と何か関わりあるんですか?」
「あっ、いや。只の興味本位です。今日テレビ見てたら、似たような女優さんが出ていたんで・・・・・・」
「そんな事で訪ねて来ないで下さい!! 里奈もお兄さんが何かを事件に巻き込まれているんじゃないかと心配しているんです!! 早く、お兄さんを見つけ出してあげてください!!!」
 舞香も里奈の事を真剣に考えていることが分かると同時に怒られたことに、呆気に取られる長四郎。
「す、すいません」
「すいませんと言うなら、早く見つけに行ってください!」
「は、はい!」
 長四郎は立ち上がり、応接室を出ようとしたがドアの前で立ち止まると舞香の方を向き質問する。
「あの、この場所って心当たりあります?」
 昨日、恵一の部屋で見つけた都内にある某ビルの住所が書かれたメモ用紙を見せる。
「失礼します」
 メモを長四郎から取り上げ住所を確認する。
「ここは里奈が池元と演技の稽古をしていた場所です。確か、解約してますけど」
「いつ、解約されたんですか?」
「それは確認してみないと」
「そうですか。もし、宜しければ確認して頂けませんか?」
「分かりました」
「お願いします」
 事務所を出た長四郎は、例のビルに行くかと足を向けたその時、絢巡査長から電話がかかってきた。
「もしもし」
「長さん、実は新たな事件が発生しました。事件現場は、昨日撮影が行われた場所の近所です。臨場してもらえませんか?」
「分かった。じゃあ、現場の住所を送って」
「はい」
 急遽、予定を変更し、起きた新しい事件の現場へと長四郎は向かった。

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