探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第拾伍話-異人

異人-17

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 ミシェルの取り調べは佳境を迎えようとしていた。
「ここに、サインしろっ!」
 厭那は供述調書にサインするよう迫る。
「いやよ。私、ここに何が書かれているか分からないんだから」
「そんな事、俺が知るか! 良いから書けっ!!」
 厭那は無理矢理にペンを持たせようとするのだが、ミシェルが許すわけもなく全力で抵抗する。
「あんた、なんばしようと?」
 聞きなれない声の方を向くと、一川警部と長四郎がそこに居た。
「なんだ、お前達!!」
「ラブリーチャーミングな2人です」長四郎は素知らぬ顔で答える。
「これから送検するんだ。邪魔しないで頂きたい」
「邪魔っていうけど。あんた、このまま送検したら国際問題に発展するばい」
「何ぃ~あんたらが、我々の周りでこそこそ動き回っているのは知っているんだ。どういうつもりで我々の邪魔をするんだ」
「真犯人を見つける為に、邪魔しとるとです」
 一川警部のその言葉を聞いた厭那は身体をプルプルと震わせ始め、物凄い形相で一川警部を睨む。
「ミシェル、行こうぜ」
「え?」
「察しろよ。ミシェルは道前を殺したのは違う人物だって分かったの」
「本当か。それ」
 厭那の言葉に黙って頷く長四郎は、ミシェルを立たせる。
「ねぇ、長四郎。それって誰なの?」
「それは秘密」
「なんでよ。教えなさい」
「察しなさいよ」
 長四郎はそう言いながら、厭那を見る。
「それもそうね」長四郎の言いたいことを理解したミシェルは取調室から出ようとする。
「おい、待てっ!!」
 厭那はミシェルを逃がさないようドアの前に立ち塞がる。
「ちょっと、どきなさいよ」
「嫌だ」子供みたいに駄々をこねる厭那。
「はいはい。そげん事は求めとらんから」
 一川警部は厭那の首根っこを掴んで、ドアの前から引き離した。
「じゃ、行こう」
 長四郎はミシェルを連れて、命捜班の部屋へと移動した。
「ミシェルさん!!」
 部屋に入ってすぐ燐が嬉しそうにミシェルの元へ駆け寄り「良かったぁ~」そう言いながらミシェルを抱きしめる。
「おい、ハグで感動を分かち合っている暇はないぞ」
 長四郎の発言を受けハグをやめる燐。
「ごめんなさい」
「良いのよ。私の方こそ、ごめんね」燐に謝るミシェル。
「それで、長さんの考えを聞かせてください」
 絢巡査長が本題を切り出す。
「そうね。犯人はベンガンサの社員だと言っておこう」
「それだけ?」ミシェルが不満げな感じで言う。
「それだけって。そうです。それだけです」
 自信満々に開き直る長四郎を見て、その場に居た全員が深いため息をつくのだった。

 その日の午後7時
 津崎が退社しようとビルを出てすぐ「津崎さん」と声を掛けられた。
 声がした方を向くと、長四郎と燐が立っていた。
 津崎は会釈してその場を去ろうとするのだが、長四郎と燐はその後を追いかける。
「あれ? 声をかけるタイミング間違えましたかね?」
 長四郎が軽い感じで声を掛ける。
「・・・・・・」津崎は無言を貫いたまま歩を進める。
 意味がないと思った燐は長四郎を立ち止まらせた。
「ちょっと、フル無視こかれているじゃん」
「いや、急に無視されるようになって俺も戸惑いを隠せないのよ」
「なんか気に食わないことでもしたんじゃない?」
「そう言われてもな。お昼にお茶した時は、あんな感じじゃなかったのにな」
「でも、あの男が事件の鍵を握っていそうなのは明らかだったわね」
 どこからともなく現れたミシェルは2人にそう告げた。
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