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第拾伍話-異人

異人-18

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 翌日
 長四郎、燐、ミシェルの3人は、絢巡査長付き添いのもと道前の部屋へと来ていた。
「それで、ここに隠れたの」
 ミシェルはキッチンに隠れながら警察到着時の状況を長四郎達に説明する。
「そんなところに隠れて見つからないと思ったのがマジで面白いな」
「ちょっと、そんな事言わない!」と言う燐の顔は少しニヤついているように見えた。
 それぐらいミシェルの隠れる能力が低いという事が伺えるのだ。
「ま、それはさておきぃ~」
 長四郎はキョロキョロと部屋を見回し手掛かりを再度探す。
「手掛かりって言っても、早々見つからないでしょ」
 燐の言葉を無視して、長四郎は捜索を続ける。
 ソファーの下、テーブルの下、テレビの裏、ありとあらゆる普段あまり見ないところをひたすら覗き込んでいく。
「ねぇ、あれ何の意味があるの?」
『さぁ?』2人はミシェルの質問に声を揃えて答えた。
「う~ん」
 しかめっ面になりながら長四郎は困り果てたといった感じで、燐たちを見る。
「あのさ、さっきから何探してるの?」燐の質問に長四郎はドヤ顔で「人つなぎの秘宝」と答える。
「ワンピースね」
「That’s Right ミシェル」
「長さん、ふざけていないでちゃんと教えてくださいよ」
 絢巡査長に注意された長四郎は渋々答え始めた。
「例の男がここに居たっていう手掛かりを探しているのぉ~」
「例の男って?」事情を知らないミシェルが説明を求める。
「ああ、そうでしたね。この男の人なんです」
 絢巡査長は静止画を映し出したスマホを見せた。
「あ! この男知っている!!」
「ホントですか!」
「燐も知っているはずよ。見て!!」
 ミシェルは燐にもスマホに映った静止画を見せる。
「これって、昨日の夜に話していた人じゃん!!」
「え? 私に説明してくれない?」
 燐はそこから昨晩、津崎と出会った事を話した。
「その津崎っていう人が、この人なの?」
「そうです」燐は即答する。
 そんな会話を知らぬ存ぜぬで長四郎は津崎がいた形跡を、部屋を跨いで捜索し続けていた。
「長さんはこの人と話したことがある感じなの?」
「多分。中村っていう人の事をあいつに教えたのもこの人かなと」
 燐は自身の推察を絢巡査長に伝えると「私もそう思う」と返答した。
「この津崎って男のアリバイは取れているの?」
「多分、取れていないと思います。ミシェルさんが筆頭の容疑者だったので・・・・・すいません」
「貴方が謝ることじゃないわ。あの厭那っていう刑事が悪いのよ」
「ミシェルさんの言う通りですよ。絢巡査長が気に病むことはないですよ」
「ラモちゃん、ミシェルさん、ありがとう」
「じゃ、私たちも長四郎の手伝いをしましょう」
 ミシェルの号令の下、津崎がいた痕跡を捜索し始める。
 それから30分近く捜索していくのだが、一向に見つからない。
「計画的な犯行だったのかな」燐がボソッと呟くと隣で「これだけやって見つからないとなるとそうなるかもね」ミシェルはそう答えた。
「なぁ、絢ちゃん。被害者が刺されていたナイフってどんなのだったけ?」
 リビングで捜索している絢巡査長に別の部屋から戻ってきた長四郎が声を掛ける。
「凶器は見つかってないです。只、形状からサバイバルナイフに該当する刃物だってことは分かってます」
「ありがとう」
 それだけ言うと、長四郎は再び別の部屋に戻っていった。
「何だったんだろう。あいつ」
「さぁ?」
 ミシェルと燐はそんな会話を交わしながら作業に戻る。
 そんなことを言われる長四郎は、風呂場に来ていた。
 そして、長四郎が見つめるその先にあるのは天井であった。
「よいしょっと」
 風呂場に置いてあった椅子を踏み台にし、天井を持ち上げる。
 バゴッという音と共に天井が外れたので、天板を降ろすとスマホのライトを明かりにし、中を覗く。
 背伸びをしながら覗くので姿勢を維持するのが大変な中、目的のものはすぐに見つかった。
「て、ことはだ」長四郎はすぐさま、椅子から降りるとシャワーヘッドを見る。
 シャワーヘッドのグリップ部分に若干の血痕を見つける。
 次に排水溝を隠す蓋を取り外して、排水溝を見ると血がうっすらと付着していた。
「よしっ。これで大丈夫だろう」
 長四郎は現状を残し、絢巡査長を呼びに行くのであった。
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