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第弐拾弐話-結社

結社-20

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 長四郎の推理披露が終わると、桑子が口を開いた。
「探偵さんの推理面白かったですよ。でもね、私が麻薬を持っている証拠はあるんですか?」
 その問いに絢巡査長が「それについては、麻取が家宅捜索で押収したので、その点はご安心を」と答える。
「ご安心をって。ま、ここまでやられたら仕方ないか。大方、探偵さんの言う通りですよ」
 遂に桑子が自供したと同時に、長四郎達四人の周りに人が集まってきた。
「おおっ、例の主婦が寄越してきた連中らしいな」嬉しそうにする長四郎に「何、嬉しそうにしてんのよ」と燐がツッコミを入れる。
「はいたぁ~ でも、長さんの言う通りだったばい。ホントに組織の人間があたしらを消しに来たけん」
「一川さん。油断せずに行きましょう」
 絢巡査長はファイティングポーズを取りながら、一川警部に気合いを引き締めるように促す。
「わかっとう」と一言だけ返事をして一川警部はサングラスをかけ、懐からS&W M586を取り出し構える。
「おっ、ドンパチタイムか」
「喜ばない」燐が注意しても聞く耳持たずといった感じで長四郎は嬉しそうに身体を上下に揺らし始める。
 だが、組織の人間たちも拳銃やナイフ、警棒といった武器を取り出して、じわじわと長四郎達に近づいてくる。
 パァーン!!
 最初に拳銃を発砲したのは、一川警部だった。
「グワーッ!!」
 組織の人間の中の一人に被弾し、卒倒する。
「このハゲ、あぶねぇ~」
 燐が言うと同時に、もう一発、撃つ。
「ちょっと、一川さん!」
 絢巡査長が近接武器を持つ組織の人間と格闘しながら、制止しようとするが撃つのを止めず、来る敵、来る敵を撃ち続ける。
 燐は隙が多い拳銃を持った男に飛び蹴りをし、男の手元から銃が転げ落ちる。
 長四郎はその落ちた銃を拾い上げ、すかさず援護射撃を始める。
「長さん、サンキュー」
 一川警部は注意するどころか、感謝する始末。
「あいつ、いつから銃を使うようになったんだよ」
 楽しそうに銃を撃つ長四郎を横目に燐は、ナイフを持った男に切りかかられそうになるが済んでの所で交わして、顔面にハイキックをかます。
「ラモちゃん。やるぅ~」綺麗なハイキックを見て、感心する絢巡査長を他所に男二人、銃を撃ち続け遂に襲ってきた全員を倒した。
「ふぅ~ 終わった。終わった」
 長四郎は嬉しそうに銃を放り投げると「動かないで!!」と桑子が叫んだので、声がした方を見ると桑子が銃を燐に突き付けて三人を牽制する。
「あちゃぁ~」
 長四郎は顔を手で覆いあきれ返る。
「銃を捨てて!!」
 だが、一川警部はその手から銃を離さない。
「おい、この可愛い私がどうなっても良いと思ってんの? ハゲ!!」
 燐がそう言うと、一川警部は嫌そうな顔をしながら銃をその手から離す。
「一川さん、優しいですね。自分で可愛いって言う女にろくな奴は居ないのに・・・・・・・」
「長さんも知っての通り、ここで言う事聞かんと後が怖いけん」
「それもそうですね」
「何、吞気な会話をしているんですか!」
 絢巡査長に怒られた二人は、「すいません」と謝る。
「車を用意して」
「は、はい。只今」
 桑子の要請に長四郎は挙手して答え、燐を人質に取る桑子を連れて車を止めている場所に案内する。
「その状態じゃ運転もさぞ大変でしょう。僕が運転しましょう」
 長四郎はそう言って、そそくさと車に乗り込みエンジンをかけ車を桑子に突っ込むようにして走り出させる。
「きゃっ!!」
 桑子は思わず燐を突き飛ばして、逃げ出す。
 長四郎が運転する車は急ブレーキをかけながら車をターンさせ停車させる。
「はい、現行犯逮捕」
 絢巡査長が桑子に手錠をかける。
「ラモちゃん、大丈夫?」長四郎は車から降りながら燐に問いかけると、鬼の形相で近づいてきた燐に「殺す気か!」と思いっきりストレートパンチを浴びせられる。
「あ~ 可哀想」
 一川警部は殴られた長四郎を憐れむのだった。
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