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第弐拾参話-会長

会長-6

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 絢巡査長は所轄署の刑事達から、生徒達の事情聴取結果の報告を受けこれからの指示を出していた。
「ここの食事を搬入した業者の方及び出入りの人間を洗ってください」
「分かりました。それで、あなた達はどうされるのですか?」
 所轄署の刑事から質問された絢巡査長は「私達は校内の方を捜査しますので、宜しくお願いします」
「了解です。では、分かり次第、報告します」
 所轄署の刑事達は自身の捜査に戻っていった。
 絢巡査長も自分の仕事にかかろうと校舎に戻ろうとした時、丁度、校舎から出てきた長四郎と出くわす。
「長さん」そう声を掛けると「ああ、絢ちゃんか」といきなりの声掛けに長四郎は少し驚いた感じで返事をする。
「もうお帰りですか?」
「いや、帰らないけど。少し思案中」
「思案? 何か気になる事でもあるんですか?」
「うん、ちょっとね。あのさ、調べてもらいたい事があるんだけど」
「何ですか?」
 絢巡査長に聞かれた長四郎は、ニヤッとし用件を伝える。
 長四郎の頼みごとを叶える為、絢巡査長は警視庁へと戻り、長四郎は再び校舎に戻る。
 燐と一川警部は、未だに付都と水野から事情聴取を続けていた。ほぼ、質問するのは燐でその質問の主体は永遠と被害者の素行についてばかり。
 付都と水野、一川警部はウンザリし始めた時、長四郎が戻ってきた。
「どうも」と言いながら、先程自分が座っていた椅子に座る長四郎。
「それで、彼は校内で問題を起こした事は無いんですか?」
「ですから、先程からそう言っていますよね」
 付都は嫌気がさしたといった感じで燐の質問に答えると、「ラモちゃん。どうせ、さっきから同じ質問してるでしょ?」と長四郎が問うと「そ、そんな事ないし」と苦し紛れな回答をする燐。
「すいません。同じ質問ばかりに答えさせてしまって」
「いえ、そんな事は」水野が答える。
「では、我々はこれで失礼します」長四郎が教師二人に告げると「なんで、あんたが勝手に仕切んのよ?」燐が噛みつく。
「一川さん、行きましょう」
「ボス、分かりました。ラモちゃん、行こう」
 一川警部も椅子から立ち上がり長四郎と共に、すぐに部屋を出て行く。
 燐も渋々、長四郎と一川警部の後を追う形で部屋を出る。
「ねぇ、どういうつもりよ」
「それは、警視庁へ行ってから話す」
 燐の質問にそれだけ答える長四郎に一川警部が「絢ちゃんの姿が見えんけど。どこ居るか知っとう?」と尋ねる。
「絢ちゃんには調べて貰いたいことがあったので、先に警視庁に戻って貰ってます」
「OK」
 一川警部はOKサインをしながら、了承する。
 そして、三人は警視庁へと場所を移した。
「長さんの言う通り、昨年、あの学校で事件が起きてましたよ」
 命捜班の部屋に入ってきた長四郎に話し掛ける絢巡査長。
「そうだよね。俺の記憶は正しかった訳か」
「どういう事?」長四郎と絢巡査長の会話についていけない燐は質問する。
「去年、あの学校で事件が起きてたの。事件と言うよりかは事故として処理されたみたいだけど。去年の七月、生徒会主催のキャンプで栗手 魁人くりて かいと君がキャンプ場の近くの川で溺死体となって発見されたんです。捜査の結果、栗手君は、誤って川に転落し、溺死したっていうのが捜査結果報告書に書かれてます」
「栗手って・・・・・・」
「ラモちゃんも気づいた? その子でしょ。ラモちゃんに告げ口してきたの」そう問うと「うん」と頷いて返事をする燐。
「なんか、気になるね」
「でしょう。一川さん。どうです? この事件についてもう一遍捜査し直してみないですか?」
 長四郎の提案に一川警部は「そうしよう」とすぐに乗っかるのだった。
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