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第弐拾肆話-議員

議員-4

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 悲鳴が聞こえたのは、共用の女子トイレからであった。
「ちょっと、すみません!」
 長四郎が声をかけながら、野次馬根性で集まった人混みを掻き分けトイレに勢いよく入っていき、それに続き根岸も続いて入る。
「大丈夫ですか!」
 地面に尻餅をついて震えるおおよその年齢二十代の女性に声をかける長四郎。
「だ、ダメ!!」そう言いながら、長四郎にしがみつく。
 しがみつく女性の頭をポンポンと叩きながら、女性が怯える原因を確かめる。
 が、しかし、そこには、何もなかった。
「一体、何があったんすか?」
 根岸がそう尋ねると、女性は何も答えない。
「何があったの?」長四郎が聞くと「ゴ、ゴキブリ」と弱々しく答えた。
「ゴキブリぃ?」
 まさかの事態に根岸は呆れたといった顔をする。
「それは、それは。さぞ、怖かったろうに。根岸君。退治してあげて」
 長四郎は壁を這うゴキブリを指を指し、根岸に指示する。
「ったく、何で俺が」根岸はそうボヤキながら、壁を這うゴキブリを壁を蹴り踏み潰す。
「あ~あ、靴裏が」長四郎は顔を手で覆う。
 トイレでの事件を無事に解決した二人は、西天光の議員室へと戻った。
「探偵さん、以外にもキザなんすね」
 部屋に入るや否や、長四郎に話しかける根岸。
「キザって。俺は、ダンディなだけ。根岸君には、そのダンディが無いってだけの話」
「何すか、それ」
「分からないなら、それで良いや」長四郎はソファーに座る。
「でも、何もなくて良かったすね。何かあったら、上司に怒られますから」
「俺だって、そうだよ。しかも、お宅と違って、報酬がパァ~になるかも何だからね」
「そうすよね」
 そんなに会話も続く事もなく、そこから二時間の時が過ぎようとしていた。
「どぉ~も、差し入れ持ってきましたぁ~」
 制服姿の燐が紙袋片手に部屋に入ってきた。
「あ、暇な女子高生が来た」
「失礼な奴ね。調べ物してきた結果、持ってきてあげたのに」
 燐は紙袋を机の上にドンっと叩きつけるように置く。
「お~ これは。これは」
 長四郎は紙袋の中から、捜査資料を取り出し読み始めた。
 根岸も長四郎が読む捜査資料に目を通そうとする根岸を、燐は手を出して制止させる。
「あんたはダメ」と言われた根岸は「チッ」と舌を打ち、引き下がる。
 そんな間も長四郎は捜査資料を読み続ける。
「ねぇ、君はさ、探偵さんの相棒なの?」
「相棒。ていうより、こいつの助手ですね。貴方は、西議員のボディーガードですか?」
「ま、そんなとこ。でも、この通り、暇を持て余している」
「見れば分かります」
「君、見たところ高校生だよね?」
「まぁ、そうですけど」
「大丈夫なの? 法律的に」
「どうなんでしょうね。まぁ、これで二十四話分共に過ごしてきましたんで」
「なぁ、ラモちゃん。この襲われた人達に共通点はないの?」
「ないって。言ってたよ」
「ああ、そう」長四郎はそう答えながら、何かを考えるように顎をトントンと叩きながら考え事をするのだった。
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