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第弐拾肆話-議員
議員-10
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長四郎は西が居る議員会館へと戻り、部屋に入ると西だけが部屋に居た。
「先生。こんな時に、仕事ですか?」
「貴方の方こそ、吞気に挨拶してる暇あるの?」と嫌味を言い返される長四郎は、こいつ、面倒くせぇ~と言う顔をする。
「ま、それもそうですね。取り敢えず、先生の身の方が心配なので」
「フッ」と西は鼻で笑うと「確かに貴方の仕事は、私のガードですものね」と言いながら、冷たい視線を向ける。
「ともあれ、先生。今回の犯人は世間を騒がす政治家秘書襲撃犯だと思いますけどね」
「そう」
「あ、思い出した。知り合いの知り合いの刑事が言ってたらしいんですけど、襲われてた政治家達の共通点があるらしくて」
長四郎は西の様子を伺いながら、話を続ける。
「地元の選挙区で、何やら悪さをしていたっていう噂があるとかないとか」
西は眉をピクリと動かす。
「噂に過ぎないので、気にしないでください。先生は、不正する側ではなく不正を追及する側の人なので」
「そう言って頂けると嬉しいわ。私、これから地元に帰るから早く犯人を見つけてください」
「分かりました」
長四郎は部屋を出ていく西を見送るのだった。
その頃、燐は一川警部と絢巡査長に小岩が襲われた時の状況を説明し終えたところだった。
「それで、小岩さんは犯人の姿は見とらんとね」
「はい、そうみたいです」
一川警部の質問に、燐はハキハキと答える。
「ラモちゃん。西天光も地元の選挙区で不正を働いていると思う?」
「う~ん、どうでしょう。私的には、その可能性は低いと思いますけど」
「やっぱり、ラモちゃんもそう思うんだ。私もラモちゃんと同意見」
「あの、あの。女性方、議論して頂くのは結構なんだけど。これから、小岩さんに話を聞きに行くばい」
「う~っす」女性二人はそう返事しながら、一川警部に続いて小岩が搬送された病院へと移動した。
小岩の診断結果は軽い打撲による打身だけであったが、頭を打ったとのことでその日は検査入院する事となった。
「私が襲われた時は、背後からいきなりに襲われました」
「背後からだと、犯人の顔は拝めないですもんね」と絢巡査長はメモを取りながら小岩の話に耳を傾ける。
「はい。申し訳ありません」
「被害者の小岩さんが謝る事じゃないですからね」
一川警部がすかさずフォローする。
「そう言って頂けると、なんか救われます。僕と同じ政治家秘書が襲われているのに・・・・・・」
何も出来ない自分が情けないといった顔をする。
「何も小岩さんが気に病むことはないですよ」
燐がそう言うのだが、小岩の顔は晴れない。
一川警部はこのまま事情聴取を続けても意味がないと判断し、目配せで燐と絢巡査長に帰るという合図をして、その場を立ち去った。
「先生。こんな時に、仕事ですか?」
「貴方の方こそ、吞気に挨拶してる暇あるの?」と嫌味を言い返される長四郎は、こいつ、面倒くせぇ~と言う顔をする。
「ま、それもそうですね。取り敢えず、先生の身の方が心配なので」
「フッ」と西は鼻で笑うと「確かに貴方の仕事は、私のガードですものね」と言いながら、冷たい視線を向ける。
「ともあれ、先生。今回の犯人は世間を騒がす政治家秘書襲撃犯だと思いますけどね」
「そう」
「あ、思い出した。知り合いの知り合いの刑事が言ってたらしいんですけど、襲われてた政治家達の共通点があるらしくて」
長四郎は西の様子を伺いながら、話を続ける。
「地元の選挙区で、何やら悪さをしていたっていう噂があるとかないとか」
西は眉をピクリと動かす。
「噂に過ぎないので、気にしないでください。先生は、不正する側ではなく不正を追及する側の人なので」
「そう言って頂けると嬉しいわ。私、これから地元に帰るから早く犯人を見つけてください」
「分かりました」
長四郎は部屋を出ていく西を見送るのだった。
その頃、燐は一川警部と絢巡査長に小岩が襲われた時の状況を説明し終えたところだった。
「それで、小岩さんは犯人の姿は見とらんとね」
「はい、そうみたいです」
一川警部の質問に、燐はハキハキと答える。
「ラモちゃん。西天光も地元の選挙区で不正を働いていると思う?」
「う~ん、どうでしょう。私的には、その可能性は低いと思いますけど」
「やっぱり、ラモちゃんもそう思うんだ。私もラモちゃんと同意見」
「あの、あの。女性方、議論して頂くのは結構なんだけど。これから、小岩さんに話を聞きに行くばい」
「う~っす」女性二人はそう返事しながら、一川警部に続いて小岩が搬送された病院へと移動した。
小岩の診断結果は軽い打撲による打身だけであったが、頭を打ったとのことでその日は検査入院する事となった。
「私が襲われた時は、背後からいきなりに襲われました」
「背後からだと、犯人の顔は拝めないですもんね」と絢巡査長はメモを取りながら小岩の話に耳を傾ける。
「はい。申し訳ありません」
「被害者の小岩さんが謝る事じゃないですからね」
一川警部がすかさずフォローする。
「そう言って頂けると、なんか救われます。僕と同じ政治家秘書が襲われているのに・・・・・・」
何も出来ない自分が情けないといった顔をする。
「何も小岩さんが気に病むことはないですよ」
燐がそう言うのだが、小岩の顔は晴れない。
一川警部はこのまま事情聴取を続けても意味がないと判断し、目配せで燐と絢巡査長に帰るという合図をして、その場を立ち去った。
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