探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第弐拾伍話-対決

対決-26

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 前尾を乗せた車が晴海ふ頭に到着すると、ヤンが車のドアを開ける。
「首尾の方は、どうだ?」
 前尾がヤンに質問すると「No. Problem.(訳:問題ありません)」と答える。
「そうか」
 前尾は停泊している船に乗り込み、貨物室へと入る。
 そこには、大量の木箱が積まれており、ヤンから木箱の中身が書かれたリストを渡される。
「ヤン以外の人間は出て行け」
 前尾が貨物室で作業をしていた船員に指示をすると、船員は貨物室から出て行った。
「ヤン。これで、私の願いが叶う」
 前尾は、深呼吸をして昂る気持ちを抑えようとする。
「・・・・・・」
「ヤン。中身を確認するのを手伝ってくれ」
「Sir.(訳:了解)」
 二人は木箱を一つずつリストに書かれているものが入っているかを確認し始める。
 作業を開始して数分も経たない内に、船員がドアをノックもせず入ってきた。
「社長! 何者かがこの船に侵入してきました!」
 船員が報告すると同時に、ヤンはすぐに船員の方を振り向くや否や手に握られているS&W M360Jを発砲し、眉間を撃ちぬく。
 船員はその場に崩れ落ちて倒れる。
「Boss」
「分かってる。ネズミが入り込んだらしいな。フルコースの前菜としては悪くない」
 前尾は木箱に入っているコルトガバメントを取り出し、安全装置を外す。
「今、銃声しなかったか?」
 船内をゆっくりと歩く長四郎は勇仁に尋ねると「聞こえなかったぞ」と勇仁は答える。
「耳、遠くなったんじゃないの?」
 長四郎にそう言われた勇仁は両手の小指を両耳に突っ込み、「耳クソが詰まってただけ」と答える。
「ああ、そう」
 呆れた顔をしながら、長四郎は眉間を撃ち抜かれた船員の死体を見つける。
「早くも仲間割れか?」と勇仁が言うと、「仲間割れはしていませんよ」そう笑顔で答えながら前尾が姿を現した。
「入り込んだネズミは、あなた達でしたか?」
「ネズミじゃなくて、ウサギだ」
「勇仁。干支の話なんて誰もしてない」
「ああ、そ」
「あなた達、わざわざ殺されに来たわりには余裕ですね」
 そう言うと同時に、前尾は二人に向けて発砲してきた。
 間一髪で弾を交わした二人は守から貰ったエアガンをホルスターから取り出して、前尾の手首を目掛けてエアガンを撃つ。
「ぎゃっ!」
 見事に弾は当たり、前尾の手から銃が零れ落ちる。
「Boss!」
 前尾の銃声を聞きつけ駆けつけたヤンが前尾を庇うようにして、前尾の前に立ち二人に向けてサブマシンガンを向ける。
「勇仁!!」
 長四郎の掛け声と同時に、長四郎はヤンの足を、勇仁はヤンの眉間に向けてエアガンを撃ちまくる。
 二か所同時攻撃にヤンも対処しきれず、その場に倒れこむ。
「ひぃ!」
 何とも情けない声を出しながら、前尾はその場から走って逃げていく。
「情けない奴」
 長四郎はすぐに前尾の後を追う。
 それに続く勇仁は床に倒れこむヤンの金玉目掛けて「ぴょん!」と飛び踏みつける。
「Noooooooooooooo!!」
 船内にヤンの悲鳴が響き渡る。
 その頃、病院で昏睡状態の芽衣が意識を取り戻した。
「羅猛さん」
 今にも消えそうな声で、傍らに居る燐に声を掛ける。
「芽衣ちゃん。安心して、お兄さんは無事だから」
 燐は咄嗟に噓をついてしまった。慶次は芽衣が撃たれた後から姿を消したままであった。
「ありがとう」
 芽衣は目に涙を溜めて、礼を言う。
「芽衣ちゃんは、傷を治す事だけに集中してさ。怪我が治ったら美味しいご飯でも食べに行こう」
「うん」芽衣は少し笑みを浮かべてコクリと頷く。
「ラモちゃん」
 病室の戸を少し開けた絢巡査長が燐を手招きして呼ぶ。
「じゃあ、また来るね」
「羅猛さん」
 病室を出て行こうとする燐を呼び止める芽衣。
「何?」
「お兄ちゃんの事、宜しくね」
「任せといて」
 燐はサムズアップして、病室を出る。
 病室から少し離れた所で、絢巡査長が口を開いた。
「ラモちゃん。知ってるとは思うけど、今、勇仁さんと長さんが前尾と戦いに行っているんだけど。ラモちゃんはどうしたいかなと思って」
「勿論、行きます。絢さん、家まで送って貰えますか?」
「OK.」
 絢巡査長はそうこなくっちゃという顔をして、燐の言う通りに家まで送るのだった。
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