探偵は女子高生と共にやって来る。

飛鳥 進

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第弐拾漆話-大物

大物-16

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 長四郎が音々から事件について聞き出している頃、燐は普段通り? に学校生活を送っていた。
 朝礼のホームルームから出席し、クラスメイト達はここ数日、真面目に学校へ登校する燐を見て天変地異が起こるのではないのかと皆がそう思った。
「じゃ、ホームルームはここまで。何か質問ある人、居る?」
 担任の先生が質問の有無を確認すると、燐が挙手していた。
 クラスメイト達は、ざわめき出す。燐が挙手する時、それは先生に喧嘩を吹っ掛ける時だからだ。
 しかも、今の担任は教師になってまだ一年も経たない先生であった。問題児の燐は学校に登校する、しない問題、早退、遅刻の常習問題や学校行事に参加する、しない問題などでことごとく担任の先生と揉め担任の先生がこの生徒と関わるのは嫌だと教職を辞したり、他の私立高校へと転職したりとまぁ、揉めに揉めるのだ。
 この新任の担任の先生は別のクラスの副担任をしていたのだが急遽、担任に抜擢された先生なのだ。だが、先生は新任ながらも一生懸命に頑張るその姿勢にクラスメイト達は心を掴み物凄く慕われ、その担任が今、クラス一の問題児と戦う事となり先生の身を案じているのだ。
「羅猛さん。何?」
「あの、不審者がこちらをずっと覗き込んでいるんですけど」
 燐はそう言って、窓の向こうを指差す。
「不審者? え、どこ?」
 担任の先生は燐が座る席まで移動し、不審者の姿を確認する。
「羅猛さん。どこぉ~」
「先生、これ使ってください」
 燐はそう言って、双眼鏡を渡す。
「羅猛さん。用意が良いのね?」
「そうですか? そんな事より、双眼鏡を覗いて真っ直ぐ前を見てください。木に身を隠してこちらを見ている男がいるでしょ?」
「あ、居た」そう言ったのは燐の後ろに座る席の生徒であった。
 先生も確認すると確かに木陰から、こちらを見ている変な男が立っていた。
「いつから? そうですね。三日前からかな?」
「三日前って。どうして早く言ってくれないの?」
「最初は気のせいかなって、思っていたんですけどね。三日も監視されているとちょっとねぇ」
「分かった。他の先生にも共有しておくわ」
「ありがとうございます。後、絶対に警察には通報しないでくださいね」
「なんで?」
「私、知り合いに刑事さんが居るんで、その人達に連絡するんで」
「羅猛さん。一体何者?」
「ただの可愛い女子高生ですよ」
 燐はそう言って、ニヤリと笑う。そして、現担任の先生と揉めずクラスメイト達は安堵するのだった。
 それから、燐は自分を監視する男を気にしながら学校生活を送り、特に問題なく下校時刻を迎えた。
 燐はクラスメイト達からカラオケに誘われたが断り、一人で下校する。
 学校から少し離れた路地に入ると、目の前に如何にも反社会的勢力の人間が三人、燐の前に立つ。
「紅音々は、どこだ?」敵の一人が燐にそう話しかけた。
「紅音々? 誰、その人のことなんて知らないんだけど」
「まぁ、良い。じっくり聞いてやるさ」
 男達が燐の身柄を押さえようとゆっくりと近づくと、真ん中に立つ男の眉間にダーツの矢が刺さる。
「グエっ!!」男はその場に卒倒する。
「ふっふっふ。私はダーツの名手と言われた祖父を持つ女よ。かかってきな!!!」
 燐はダーツを今度は左側に立つ男目掛けて投げる。回避行動を取る男だったが、燐が最初に投げたのは陽動であり、間髪入れずにダーツの矢を投げる。
 ダーツの矢は見事に男の側頭部に刺さり「イデっ!!」という言葉と共に、地面に倒れる。
「甘いんだよ!!」右側に立つ男がサバイバルナイフ片手に燐目掛けて突き刺す。
 ブズッ!! という鈍い音を立てて燐は倒れる。はずだった。燐はバッグを盾にし難を逃れたのだ。
「進学校の分厚い教科書を舐めるなよな!!」
 燐はサバイバルナイフが突き刺ったバッグを男の顔面に叩き付ける。
 男は鼻血を垂らし白眼を向いて倒れる。
「ったく。あたしに喧嘩を売ろうなんて百年早えんだよ!!」
 止めの一撃といった感じで、ダーツの矢をお見舞いした二人の金的を蹴り上げ暫く再起不能状態にし、絢巡査長を呼び出した。
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